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『思い出のとき修理します 2 明日を動かす歯車』谷 瑞恵 

思い出のとき修理します 2 明日を動かす歯車 (集英社文庫)思い出のとき修理します 2 明日を動かす歯車 (集英社文庫)
(2013/09/20)
谷 瑞恵

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寂れた商店街の片隅にたたずむ「おもいでの時 修理します」という不思議なプレートを飾った飯田時計店。
店主の「時計屋さん」秀司と、彼の恋人で美容師の明里のもとを、傷ついた記憶を抱えた人たちがプレートの言葉に引き寄せられるように、今日もおとずれる。
家族や恋人、大切な人たちとのすれちがい、悲しい過去を修復して取り戻すことは、果たしてできるのか……。


谷瑞恵さんの『思い出のとき修理します』続編です!
1巻目を読み終えた時点では続編が本当に出るとは思っていなかったので、びっくりしつつもとても嬉しいです。
この作品、私が手にとって読んだ後、人気が出たのですねえ。
谷瑞恵さんはコバルト文庫の方で何年も新刊を追いかけて読んできている大好きな作家さんで、谷瑞恵さんの作品がこうしてたくさんの人に読まれるようになっていったのは、なんだかとても素敵なことだなと思います。

そんな二巻目も、良かったですよー!個人的には一巻目よりもさらに気に入りました。
少し古風で少しせつなくて、とてもあたたかく優しい気持ちになれるお話ばかりでした。
一巻目と違っていたのが、明里さんと秀司さんのふたりが、もうしっかり恋人同士になっていたこと。
おつきあいをはじめたばかりの、初々しいふたりのやりとりが、読んでいてきゅんきゅんときめいて仕方がありませんでした。
まずお互いの呼び方からして「明里ちゃん」「秀ちゃん」で、距離がぐっと縮んでいて、可愛らしいのです!
ふたりの甘さにとても癒やされました。良かったです!(笑)
しっかり者でちょっと甘え下手な明里さんと、彼女を優しく包み込む秀司さん、お似合いのいいカップルだなと思いました。

4つの短編、読み終えてしまうのがもったいないくらいでした。ずっとこのセピア色した優しい世界に浸っていたかった。
そしてこの安定した甘酸っぱさとときめきは、まさに大人のための少女小説、なのかもしれない。

各話ごとに、感想を書いてみます。
『きみのために鐘は鳴る』
引き続きヘアーサロン由井で暮らす明里の元に、明里の父親の違う妹・香奈が訪ねてくるお話。
香奈ちゃん視点から見る明里さんが、すらりとクールな大人の女性で(でもちょっと甘え下手で)、新鮮な感じでした。
というか、「心配ないよ。これからは僕が、好きなだけあまえてもらえるようにするから」という秀司の何気ない台詞に、香奈ちゃんと一緒に読んでいる私も赤くなってしまいました(笑)。なんて天然なひとなんだ秀司さん!
明里さんと香奈ちゃん、そしてみどりさんと菫さん、ほんの少し過去を重ねあわせての、姉妹の心の通い合わせが、読んでいてなんとも心地よくてすてきでした。
みどりさんはきっと菫さんのことを本当に想っていたんだろうなあ。昔の幻の中の姿が優しげで美しくて、とてもよかった。

『赤いベリーの約束』
商店街のおしどり夫婦・果物屋さんの若夫婦の過去をめぐるお話。
保さんと光一さん、葉子さんの幼馴染み三人、それぞれの欠点もひっくるめてそれでもお互い本当に大切に思い合ってる様が読んでいて伝わってきて、ほっこりしました。それ故気持ちのすれ違いもおこってしまったのですが。
いちごとラズベリーの謎解きが解けた瞬間がとても好きでした。思い出の中だけに存在する果物味のソフトクリームも美味しそうで、いかにも懐かしい雰囲気もまとっていて、魅力的でした。

『夢の化石』
明里の高校時代の先輩が、秀司の店に「石」の時計を修理に持ち込んでくるお話。
酔っ払った明里さんと、酔いがさめたあとの、秀司さんとのちょっとぎくしゃくしたやりとりが、可愛らしくて微笑ましくて、良かったですー(笑)。
彼女の先輩という男性がここまで踏み込んでくるのはいい気分ではなかったと思うのですが、それが霞んでしまうくらい、お酒に酔った明里さんの言動が可愛らしくって、なんだかこの姿を見せてくれただけで、確かに許せちゃいそうだと思いました。(←私的意見)明里さんが甘える相手はゆるぎなく秀司さんだったしね。
弘樹さんの過去は思っていたより重たいものでしたが、もうひとりの人物の過去への悔いと思いがけないかたちでつながり重なり合わさって、やがてほどけていく様が、とても素敵でした。
時計の石の化石って、正直最初はなんのことやら意味がわからなかったんですが(笑)、ぴたりとつながったときに、ああ、そういうことだったのかー!
ふたりのラブラブの場面、美味しいパンの袋、小道具の使い方が好きでした(笑)。

『未来を開く鍵』
落雷事故にあい、記憶を一時的になくしてしまったふたりの女性をめぐるお話。
偏屈者で通っている森村のだんなさんの、奥さんへの不器用な愛情が、もうすごくよかった……!不幸な人生を歩んできた奥さんのこと、本当はとても大切に思っているのが、読んでいくごとに伝わってきて。
千佳代さんに託された時計の世話。素敵だな。
あと、沙耶さんが秀司さんに託されていた品は、ふふふ、そういうことでしたか(笑)。
85頁のふたりの会話も考え合わせると、もしかすると、ある意味(プロポーズ)になるのかしら?

どのお話にも重要なアイテムとして登場してくる「時計」が素敵な品ばかりで、大切に手入れし修理する描写もよくって、読んでいて心地よかったです。
こちこちと時計の動く規則正しい音が本から今にも聞こえてきそう。
学生時代から十年くらい使っている私の腕時計(当時の私的には背伸びして買ったちょっといい時計)、これからも大切に使っていきたいなーとか思ったりしました。
『伯爵と妖精』シリーズに出てくる各種謎めいた宝石みたいに、谷瑞恵さんが描かれる小物の描写はどれも魅力的でいいものです。

相変わらずあるかなしかのファンタジー要素、特に何も説明なく作品世界にふわっと溶け込んでいて、このさりげなさも好きだなと思いました。
そしてやっぱり最大の不思議要素は、太一くんの正体だと思うのでした。
でもニコの兄弟というのは個人的にはちょっと違うような……(笑)。

これのさらに続編って、出るのかしら。ぜひ読んでみたいです。
今度は秀司さんサイドの人間関係も、もっと覗いてみたいです。


ここ何日かの間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 谷瑞恵 

この記事に対するコメント

以前森晶麿さんの感想にコメントを入れたものです。
私も谷さんがとても好きだったので嬉しくて再度こちらに訪問させていただいた次第です。
魔女の結婚シリーズは読まれましたか?わたしはあの二人と世界観が堪らなく好きです

URL |  #-
2013/11/23 01:09 * 編集 *

Re: タイトルなし

>再びのコメント、ありがとうございます。

どうも、こんにちは~。
わあ、谷瑞恵さんもお好きなのですね!
『魔女の結婚』は私、数年前にシリーズ三巻目くらい読んだ辺りでなんとなくストップしてます……(汗)。
この記事の作品の方は、読まれましたか?
この作品の主役カップルのふたりも、関係性がとても好みです。きゅんきゅんです!(笑)

URL | fallclover #SvKcs0as
2013/11/26 19:51 * 編集 *

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 |  #
2015/11/04 23:18 * 編集 *

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