Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『図書館の魔女 上下巻』高田 大介 

図書館の魔女(上)図書館の魔女(上)
(2013/08/09)
高田 大介

商品詳細を見る


図書館の魔女(下)図書館の魔女(下)
(2013/08/09)
高田 大介

商品詳細を見る



鍛治の里に暮らす少年キリヒトは、師の命により、一の谷にある高い塔、巨大な図書館を統べるマツリカに仕えることになる。
古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声をもたないうら若き少女だった――。


『図書館の魔女』上下巻、読了。(ってもう先月の話なのですが。)
タイトルとあらすじに出会った瞬間から惹きつけられて、本の分厚さにかなり怖気ついたものの(笑)、やっぱりどうしても気になって読みたくなって、読みはじめてみました。
上下巻二冊ともたいへんな分厚さと内容の濃さで、読み進めるにはかなりの時間と気力を使いました。
特に下巻は途中で休み休みしつつでようやく読了。二週間以上かかったような。

「図書館」のお話というよりは、「言葉」「言語学」がメインの素材のお話であるように、私は読んでいて感じました。あと政治の駆け引きのお話。(でもちゃんと図書館のお話でもありましたけどね!)
すらすら読みやすい……とは正直いかなかったのですが、それでも、面白かったー!
読んでいてすぐに理解できない部分はかなり飛ばし読みしちゃいました(笑)。けれども、ひとつひとつの(正直けっこうまわりくどい)細部の描写が結びつき、ひとつの解決につながっていく流れがきっちり作りこまれていて、読んでいてほおっとため息でした。

なにより素敵だったのは、主役二人、図書館の魔女たる少女マツリカと、彼女の手話通訳士(付人?)としてやってきた少年キリヒトが、次第に心を通わせて、手に手をとりあって(←文字通り)、冒険に身を投じていく様でした。
恐ろしく頭が切れるけれども高慢でいつもひやりと冷たくて人としての感情がどこか欠落しているようだったマツリカが、上巻の最後の方、キリヒトの真のお役目が知れた辺りで、己の役目を恥じているキリヒトの気持ちを思いやり、混じりけのない優しさを見せてくれたあたりが、彼女の涙が、私はとっても好きでした。
上巻の、キリヒトとマツリカのお忍びでのたわいないお散歩(?)も楽しそうでよかった!
特にマツリカが、ほんっとうに生き生きしているんですよねー。
下巻あたりになると、キリヒトの無知を容赦なく生き生き楽しそうにこき下ろすマツリカと、それを情けなさそうーな顔で受け止めつつやはり忠犬のようにそばにいるキリヒトのふたりのお決まりのかけあいが、微笑ましくって。
たまにキリヒトがマツリカに反論できると、やったーと(笑)。
「マツリカ様の酒蒸しができてしまいますよ」とかなんとか言ってる箇所がお気に入りでした(笑)。
老獪な一国の主を前にして、ふたり手を取り合って小さな身体でどうどうと胸をはって対等に渡り合うマツリカとキリヒトのふたり姿が、読んでいて自分の目で見えるようで、格好良かった。
キリヒトの特殊な御役目の無敵な戦いっぷりもとても凛々しく格好良かったです。彼の素朴な澄んだ目で見る新しい世界のなんて生き生きと美しいことでしょう。(もっとも敵さんによってはホラーになったりしましたが……。)

マツリカに仕える司書のハルカゼとキリン、マツリカたちが住む離れの家刀自の少女イラム、等、脇役陣も魅力的でした。比較的女性陣の方が強くて、私的にはとても良かったです♪
おしゃべりで世話焼きで美味しいご飯をたっぷりつくってくれるイラムがかなりお気に入りでした。キリヒトに一番優しかったからかもしれません(笑)。
イラムがキリヒトとマツリカにそれぞれ作ってくれたお弁当、味の違うガレット、美味しそうだったなあ。私はもちろん甘いほうがいいなあ(笑)。
優しげでおだやかな裏の参謀役ハルカゼと、きりりと凛々しい正面勝負好きの軍師キリン、それぞれキャラが立っている素敵なおねえさんで、どっちも好きでした!
下巻ではお留守番役になったハルカゼの出番が少なくなってしまったのがちょっと残念だったかなー。
その代わり下巻でメインで活躍するようになった図書館付きの衛兵集団も、それぞれ個性的でいいひとたちで、彼らを交えてのかけあいがまた良かったです。
「彼」の正体がまさかあんなだとは思わなかったですけどね……。最後の最後でびっくり仰天でした。全然気づかなかったです。
ちょっと初々しい恋のはじまりもあったりして、あのふたり、うまくいくといいな。

言葉を話せないマツリカがキリヒトとの会話のために作り上げた言語、諸地域の言語を考えあわせての謎解き、または言葉で思いを伝え合う意味そのものとか、細やかに書かれていて、読み応えありました。
うーん、一読した段階では、とてもとても、理解しきれていません(笑)。
飛ばし読みしつつも、それでも楽しかったからいいやー。
「こんなに嵐がひどくなると知りたらましかば」お忍びで聞いたなにげない台詞だけで百の事実を導き出せてしまうマツリカが、すごいっ!!とうなってしまいました。
月並な表現なんですが、ああ、言葉ってすごいものなんだなあと、改めて思いました。
日常のなにげないマツリカの文献講義の部分も面白かったです。大の男が恐れるあやしげな書を、偽書とばっさり切り捨てるマツリカ様が、楽しくてよかったです(笑)。

下巻のラスト辺りのキリヒトとマツリカのふたりのやりとりがまた素敵でした。
思えば彼らのしかけた駆け引きはまだまだ解決にはほど遠そうで、ふたりのこれからの活躍も、できればもう少し、見ていたかったかな。
マツリカはまだ人としてちょっとアンバランスなところがある娘さんだと思うので、彼女のその方面の成長も、見守っていきたかったな。

読んでいて私が常に感じていたのは、この物語、何かの形で映像化すると、ものすごく映えるんじゃないかなーと。
私が脳内で思わずイメージ変換してしまっていたのは、あきづき空太さんの絵。
特にキリンやマツリカ様や、きりっと気の強そうな女の人達は、あきづきさんの絵がぴったりはまると思うんだけどなー(笑)。
正直なかなか入り込みにくかった世界観も、絵と合わせてなら、もっとするりと入れて楽しめるんじゃないのかな、とか思ったり。

そう何度も読むと多分疲れてしまうので(笑)、できれば少し時間をおいてから、再読したいお話だなと思いました。


ここ何日かの間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

関連記事

カテゴリ: ファンタジー(西洋風)

タグ: 高田大介 

この記事に対するコメント

コメントの投稿
Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://hananomi691.blog10.fc2.com/tb.php/1290-48db34b6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)