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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫』大沼 紀子 

真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫 (ポプラ文庫 日本文学)真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫 (ポプラ文庫 日本文学)
(2013/10/04)
大沼紀子

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『真夜中のパン屋さん』シリーズ第4弾。
真夜中にオープンする不思議なパン屋・「ブランジェリークレバヤシ」に今回現れたのは、奇妙な取り合わせの男女二人組。そのうち女性の方は、なんと希実の従姉妹の沙耶だった。
彼らがかかえる秘密に今回も巻き込まれ、希実とブランジェリークレバヤシの面々は、事件に巻き込まれていくかたちに――。


『真夜中のパン屋さん』、読了からすっかり間があいてしまいましたが、感想を。
細かいところどころか話の大筋さえ頭から抜け落ちかけてるんですが……、でも今回のこの新刊、すっごく良かったんですよー!
希実や美和子さんの過去が大分明らかになり、ゲストキャラの人間ドラマも読み応えありいいお話で、心地良い満足感に浸りつつ頁を閉じることができました。
前回の感想にも書いていたけれど、やっぱり、人間ってまだまだ捨てたもんじゃないなー、自然にそう思えました。
それぞれハードな状況下におかれてて、色々間違えたり大切な人を傷つけたりぐるぐるしていても、裏の裏では皆いいひとなんですよ。皆美味しそうにパンを食べてるんですよ。
希実ちゃんの母親の印象がだいぶ変わったのが特に大きかったな。

希実ちゃんの従姉妹・沙耶は、またはじめのうちは希実ちゃんを自分勝手な理由で散々振り回す困った女の子で、ああ、また巻き込まれてるよ希実ちゃんかわいそうに……と、大いに同情しつつ読んでいたのですが、後半になっていくにつれ、ちゃんと沙耶ちゃんにも、情がわいてきました。
それぞれの立場で、縛られていた従姉妹だったんだな。
というか、お話の最初の段階から、昔自分をいじめていた従姉妹を放っておけない希実ちゃんのお人好しさは、今回も涙が出てきそうなレベルでした……(笑)。いや、受験生なのに、笑いごとじゃありませんよ、ほんと。

沙耶ちゃんのお相手の王子さまも二転三転しつつ一体どうなるんだー!と思いつつ読んでましたが、こちらもまたいいお話でした。
村上親子のエピソードが、うまく言えないんですけれど、すごく好きでした。なんだかひょろひょろ頼りない印象だった村上少年の、お母さんへのちょっと照れ混じりの愛情が、目に見えるようで、すごく良かった。
希実ちゃんに中華をごちそうしつつ愚痴りまくる村上母のシーンも好きでした(笑)。
ここでは希実ちゃん、割にあわない目にあいつつも、ご褒美もちゃんともらえてて、良かったよね。
こんな状況下でもごちそうを堪能できる希実ちゃん、さすが美味しいこだわりのパン屋の娘なだけあります。

ソフィアさんサイドのお話としても、しんみりと。
ソフィアさんの話し言葉がすごく優しく心に染みるようになってきたなあ、いつの間にか。
安田さんもまた印象が二転三転した複雑な役どころでしたが、彼もうん、いいひとです。

さて、今回私が一番ときめいたキャラがいまして、それは弘基さん。
希実ちゃんの身を真剣に案じて彼女の危機となれば即座に馳せ参じる、向こう見ずで熱い弘基さんの魂が、特にラスト近く、すっごく格好良かった……!!
初登場時は美和子さんとパン作りのことしか頭にないみたいな感じだった彼も、だいぶと変わってきたなあとしみじみしました。
これまでのお話では希実ちゃんのお兄さん的な存在とみなしていた弘基さんでしたが、今回もう、希実ちゃんの王子さまの候補、ナンバーワンでいいんじゃないか、私はそう思ってしまいました(笑)。
沙耶ちゃんの王子さまの場面で、じゃあ希実ちゃんは……?とイメージした時、ぽんと思い浮かんだんですもん(笑)。
もちろん腕の良いパン職人としての弘基さんの姿も、今回も惚れ惚れするくらい格好良かったです。
今回はクレさんの出番が少なめだったから、よけいに弘基の出番が光っていたというのも、あったのかな。

希実ちゃん母の律子さんと、美和子さんと、希実ちゃんの過去エピソード。
母と娘、なんと言ったらいいのか私には分からないけれど、難しいものなんだな……。希実ちゃんにとってはやっぱり本当に理不尽だったと思うのですが、律子さんの立場にも、はじめて共感できました。
美和子さんと幼い希実ちゃんの交流は、また別レベルで微笑ましくてよかったです。美和子さんやっぱりステキなひとだなあ。
希実ちゃんの過去に、こんな風なあったかいエピソードがあったということに、だいぶ救われる思いがしました。
ようやくおもてに出てきた律子さんの娘への想いにしんみり……こうくると、律子さんにも、何かのかたちで救いがほしいところ。

今回のメインのパンは、ウィークエンドシトロンかな?
沙耶ちゃんたちのふるさとの完熟レモンのイメージが鮮やかで、酸っぱさとほろ苦さときゅんとくる甘さのエピソードが入り交じっていて、パン馬鹿職人の弘基の工夫もあり、全てが合わさって、とにかく本当に魅力的で美味しそう!
あとは、過去の美和子さんと希実ちゃんがふたりでパンにたわむれてる場面も、繰り返しですがやっぱり好きでした。フルーツサンドやっぱり美味しそうです。

次回のお話は、希実ちゃんと律子さん、ご対面、ということになるのでしょうか。
というか、続き、まだ出るんですよね?ね!


ああ、それにしてもブランジェリークレバヤシのパン、食べたいよう……。近くに住んでいる人たちが本当にうらやましい。


ここ何日かの間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 日常のお話

タグ: 大沼紀子 

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