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『ベリーカルテットの事件簿 薔薇と毒薬とチョコレート』青木 祐子 

ベリーカルテットの事件簿 薔薇と毒薬とチョコレート (コバルト文庫)ベリーカルテットの事件簿 薔薇と毒薬とチョコレート (コバルト文庫)
(2013/11/30)
青木 祐子

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舞台はヴィクトリア朝イギリス。
優秀な使用人の娘シャノンは、新人メイドとして貴族のお屋敷に勤めることに。
勤め先は、カルヴァート家の別邸・ベリーカルテット。
しかしメイドとしてやってきたのと同じタイミングで、お屋敷に滞在していた若い女性が部屋で亡くなる、という事件が起こってしまう。
カルヴァート家の次男で小説家のロイと、優秀な新人メイドのシャノンは、不可解な事件の真相解明に乗り出すことに――。


青木祐子先生の新作は、ヴィクトリア朝イギリスが舞台の少女小説!やったー!(笑)
この『ベリーカルテットの事件簿』、私は以前Cobalt雑誌の方ですでに読んでいて、好きなお話だったので、今回文庫化されるときいてとても楽しみにしていました。

今回のお話は、雑誌掲載の短編の前日談というか、シャノンがベリーカルテットにメイドとしてはじめてやってきて、ロイのメイドさんになるまでの物語、でした。
雑誌掲載時とはイラストレーターさんが変わったんですねえ。
イラストひとつで登場人物の印象がだいぶ変わってくるなあと思いました。

あとがきに書かれていてはじめて気づいたのですが、シャノンの一人称で最初から最後まで物語が進んでいくスタイル。
でも読んでいて全然気づかなかったくらいに、いつもの青木先生の作品らしくしっくり馴染んでいて、文章も洗練されていて読みやすい物語でした。
シャノンはヒロインとはいえ、あくまでメイドさんで、お屋敷の主人一家をめぐる事件の傍観者っぽいというか。そういうのもあったのかも。

そう、今回のヒロイン・シャノンはメイドさん。
なにをかくそう(?)、少女小説等にいつも登場する脇役の侍女やメイドさん、私、大好きなんです。
『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』のノラやブリジットも好きだし、『伯爵と妖精』のケリーも大好きだし。
ヴィクトリアものの少女小説をいくつか読んできて、一度、メイドさんが主役のお話もあれば読んでみたいなあとずっと思っていました。青木先生作品で実現して嬉しいな。
小規模なお屋敷ベリーカルテットで、性格や年齢や仕事のやり方や、いろんなタイプのメイドさんがひとところにいてふつうに仲良く働いてる様が、読んでいてとても楽しかったです。
ああ、可愛らしい女の子キャラがたくさんいるお話はいいですねえ。
ルースがなんだか特にお気に入り!生真面目なお仕事熱心メイドさんではないんだけど、なんとなく空気を読んでお屋敷をなんとなく上手く回していってしまえるところとか。基本おおざっぱなのだけれど、実は同僚をさりげなく細やかに気遣ってあげられるところとか。
エリザベスも一生懸命でメイドの枠を逸脱してまで主を思えるところ、好きでした。
でもたとえばアガットとくらべてどっちがいいとかは言い切れないのかな。
今回のお話を読んでいる分には、アガットが悪役してたからあれでしたけれど。アガットはアガットでどんなことがあっても主人に忠誠を貫いてて立派なメイドさんです。
新入りで年若いメイドのシャノン視点からこういうのを読めるというのがまた新鮮な感じで面白いのです。
そしてシャノン自身のメイドとしての有能っぷりも読んでいて痛快でした。

そんなシャノンと、ヒーロー役のロイとのちょっとちぐはぐなコンビも、読んでいて楽しかったです。
雑誌掲載時ですでにお互いしっくり馴染んでいたふたりが、現時点ではまだ遠い感じで、新鮮でした。
ロイの前でまつげをカールさせてるシャノンが可愛い。普段の冷静で優秀なメイドさんっぷりとのギャップがまたよし(笑)。まあ基本的にロイにも容赦無いシャノンですが……。
ロイも、単なる貴族のわがままなおぼっちゃまという訳でもなく。
今後のふたりの関係が気になります。
雑誌のお話のふたりを読んでいる分、よけいに!
あ、今後も気になるけれど、幼いころのふたりの出会いエピソードとかも気になります。
「ベリーカルテット」には、どんなエピソードがかくされているのか。

「ぼくを魅了した、小さな女の子に捧ぐ」(167頁)――意味深!
ここの部分だけ、優秀なメイドさんからふつうの女の子に戻って夢中に本を読みはじめてしまったシャノンが、可愛らしかったです。そのあとのロイとのかけあいもよし。

事件的には、「薔薇と毒薬」、けっこうシビアでした。
『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』のリコとまではいかなかったけれど、近い感じ。地味にリアルでこわい……。
ロイのお兄ちゃんがちょっと、いやかなりかわいそうなキャラでした……。彼自身は悪い人じゃないんだよなあ。

地味に気になるのが、シャノンの生い立ちとか。
お父さまが仕えていたローレンス家って、やっぱりあのローレンス家でいいんでしょうか。ね。「上級軍人や名政治家を輩出している家」ですし!
お父さまはたとえばあのヘイワース家の誰かとも親交があったんじゃないかとか、色々妄想してしまいます(笑)。いつかご本人が登場しないかなあ。
シャノンって、使用人役ではあるけれど、普通に親に愛されて育った娘さんで(まあ普通なのかどうかはわかりませんけど)、素直な育ちの良さとかそんなのがありますよね。ヴィクロテのクリスにはなかったものなので、新鮮にうつります。

これは続きが楽しみなシリーズです!
個人的にはロイに、もっともっと頑張って欲しいところです(笑)。(でもちょっと情けないところも彼の魅力ではある……笑。)


ここ何日かにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 青木祐子 

この記事に対するコメント

はじめまして

はじめまして、こんばんは。

数年来、ゆりさんのブログおよび読メを拝読していますが、初めてコメントいたします。
ritzと言います。

ゆりさんと同じく、雑誌cobaltに掲載されていた中編『ベリーカルテットの事件簿』を好きだったので、文庫化されると聞いて楽しみにしていました。

期待を裏切らない内容で、とても良かったですよね。

青木さんの描く働く女の子は仕事に対する誇りがきちんとあって、お仕事描写もしっかりしているので、楽しめます。順調にシリーズ化されると良いのですが、最近のコバルトは単発や短いシリーズが多い印象なのでちょっと心配です。
『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』までの長編にはならずとも、せめて『霧の街のミルカ』や『上海恋茶館 』は越えて欲しいなと(笑)

なお、事後かつ、コメント欄でのご報告で大変失礼かとは思いますが、ゆりさんのブログへリンクを貼らせていただきました。

物語への愛に溢れたゆりさんの読書感想をいつも本を選ぶ際の参考にさせてもらっています。

今後とも、どうぞよろしくお願いします。

URL | ritz #TpxBOJeA
2013/12/08 22:33 * 編集 *

Re: はじめまして

>ritzさん
コメントありがとうございます。

どうも、こちらこそ、はじめまして♪
とはいっても、私の方こそ、読書メーターでritzさんの読まれた本のことをいつもとても参考にさせていただいているので、あんまり、はじめましてという感じではないです(笑)。
なので、いつも、どうもありがとうございます!!
『ベリーカルテットの事件簿』、文庫化されてよかったですよね~。
確かに、青木先生が書かれる働く女の子って、魅力的ですよね。
描写がいい感じに地に足ついていて。それでいて少女小説らしさはふわっと保たれているのが好きです。
本当に、シリーズ続くといいですよね!

リンクの件も、わあ、こんなブログに光栄です。どうもありがとうございますー!!
私もちょうど『妖精は騎士のキスで目覚める』を読んだところだったので、ritzさんのご感想、うんうん頷きながら読ませていただきました。
こちらの方こそ、こんなブログで良ければ、今後ともぜひぜひよろしくお願いいたします♪

URL | fallclover #SvKcs0as
2013/12/11 22:40 * 編集 *

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