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『リリー骨董店の白雪姫 トワイライト・ルビーの夜明け』白川 紺子 

リリー骨董店の白雪姫 トワイライト・ルビーの夜明け (リリー骨董店の白雪姫シリーズ) (コバルト文庫)リリー骨董店の白雪姫 トワイライト・ルビーの夜明け (リリー骨董店の白雪姫シリーズ) (コバルト文庫)
(2013/11/30)
白川 紺子

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ジェレミーへの気持ちを自覚して以来、クレアはマーチ家の呪いにおびえていた。
「当主の愛した人は死んでしまう」という呪いが解けなければ、いつか自分は彼を殺してしまう――。そんなクレアはジェレミーの好意を素直に受け入れられない。
そんなある日、クレアはブラウン姉妹と一緒に出席したお茶会で、「エデン・ブルー」らしきアンティークジュエリーが売りに出されるという話を聞き……。


『リリー骨董店の白雪姫』、シリーズ三巻目にして完結編。
三巻目で完結するとは思っていなかったので、新刊情報にはじめびっくりしました……。
私のなかですっかりお気に入りのシリーズだったので、終わってしまうのは、ちょっと寂しいなあと思いつつ、発売日を待っていました。

表紙、クレアとジェレミーがふたり微笑んで寄り添う姿が幸せそうでとても美しくて、ながめていてうっとりです。オーガストも凛々しくて可愛らしい。
お花や宝石や小道具も雰囲気たっぷりです。淡い色使いと透明感もあって素敵!
クレアは本当に毛並みのいい可愛い白猫ちゃんで、ジェレミーは人懐っこいワンちゃんみたいな感じ(笑)。血統書付きの。

さてクレアが前巻のラストで想いを自覚して、ジェレミーの真っ直ぐな好意を素直に受け入れられなくなってぎこちなくなってる姿が、読んでいて切なかった。
ジェレミーの打たれ強いプラス思考の愛情は相変わらずで、読んでいて安心でしたが(笑)、でも彼も別の意味でクレアの愛情に悩んでぐるぐるしていて、あああー、と。
クレアに恋するときのジェレミーは本当に、初恋に悩む少年みたいで、初々しくって微笑ましくて可愛いのね。

そんな中で、ブラウン四姉妹のあったかな賑やかさは癒やしでした。女の子の友情っていいものです。
姉妹が一斉におしゃべりしているの、なんとなく個性とか年の順番とか察することができたりして、息がぴったりあっていて、ほのぼの和みました。可愛いですねえ。
「グリーン・シスターズ」、姉妹で共有するジュエリーを受け継ぐというエピソードもいいなあ。
あと私はブログでも何度も書いているように、中学生の頃から熱心な『赤毛のアン』シリーズファンで、赤毛の女の子に似合う色について云々にはちょっとこだわりがあったりするので(笑)、よけいにお気に入りな場面でした。
つんつんしたベアトリスも、セドリックお兄さまも押しでは敵わない(笑)、彼女たちが実はいちばん最強なんじゃ……。

それと印象的だったのは、森へふた手に分かれて探しに行く場面での、ジェレミーとセドリックのケンカ。
このふたりには、こんなふうに一度本気で実際にぶつかり合うことが、必要だったんだろうな。そんな風に思いました。どちらの心のためにも。
そしてバートお兄さまの株がますます上がりました……!冷静沈着で、でもけして冷たいわけではなくなんだかんだ言って面倒見がよくて弟思いで、しかも常に物持ちがいい(笑)、最高です!
イラストのバートお兄さまも、めがねにきりっと隙のない着こなしが、とっても格好良かったです!
ヒーローとして大好きなのは、もちろんジェレミーなんですが、個人的タイプとしてなら、バートお兄さまが一番かもしれません、私(笑)。

「レディ・アン・ジュエル」と「エデン・ブルー」の謎解きが進むにつれて、明かされてきたのは、アンとラルフの過去の切ない恋の物語。
これが現在のクレアとジェレミーの恋と上手い具合に重ね合わせられつつ語られていって、良かったです。
アンとラルフ、過去ではついに伝わらなかったラルフの愛情が、切なくてたまらなかったです。
アンも、え、実はすごく怖いひとだったんだろうか……とひやひやしましたが、なんだかんだ言ってロビンのしでかしたことを止めようとしたわけで、理不尽すぎる目にあっても彼女自身は最後まで良き魔術師であったようで、なんというか、ほっとしたといいますか。それはそれでやりきれなく切ないのですが。
ロビンもね、やってることはクレア達にとってひどすぎるけど、やっぱり完全には憎みきれない敵役でした。
ベアトリスの不器用で純粋な想いが、こちらにも静かにせまってくるから。後押しされてしまいました。

クレアとジェレミー、ふたりの想いが、ついに通じ合った場面も、素敵でした!

どうして死ぬことがわかっていて、愛されることができたのか。
母の気持ちが、今、わかった気がしたのだ。
そうして、父の気持ちも。
信じられたからだ。
自分の存在が相手をしあわせにすると、信じられたから、父は母を愛せたのだ。  (176頁)

――そんな風に思える恋ができるって、すごく幸せだな。シンプルに胸に染み入りました。
前作の『嘘つきなレディ』のメアリもそうでしたが、自分の中の恋を自覚して、ぱっと花開くように、新しい魅力、相手のしあわせを思い行動する強さを身につけるヒロインの描写が、あざやかでとても素敵です。
いいですねえ、これぞ少女小説!
それからの場面のラブラブなジェレミーは……、もう勝手にやっているといいよ。あ、箱入り娘のクレアが嫌がらない範囲でね。

セドリックお兄さまのお兄さまとしての愛情とその決着(?)も、とてもていねいに描かれていて、とても良かったです!オーガストとどんぐりのエピソードも好き。
ラブラブな後日談の三人のエピソードにはほっこりでした。クレアたちのケンカの仲裁、妹の性格をよく分かっているお兄ちゃん、さすが!でした。
もうこの三人は、クレアとジェレミーが結婚しても、ずーっとこんな感じでやっていくんだろうな……。微笑ましいことです。

もうひとつの番外編、ベアトリスとロビンの出会いエピソードも良かったです。
確かにベアトリスにとってみたら、ロビンは王子さま以外の何者でもないですよね……。彼女が純粋なお嬢さま育ちのクレアに反発してしまう気持ちも、分かるなあと。

あとバーナードくんが、(やってたことはひどかったとはいえ)最後までフォローがなくてかわいそうだな……と思っていたら、最後の最後の宵マチさんのイラストの頁が、バーナードくんへの愛情であふれていて!ここで大分、報われた感じがしました(笑)。
大人になった彼の姿も麗しいです。なんとか彼も、愛する人をみつけて、幸せな人生を歩んでいってほしい……。

コンパクトにきれいにまとまっていたラストでとても良かったのですが(まさにサブタイトルの「夜明け」みたいに明るい希望の余韻が)、やっぱりできればもう少しこの物語を長く読んでいたかったかなあ、とも思ってしまう感じでした。
ジュエリーやドレスやお菓子や、乙女ちっくなヴィクトリア朝アイテムの、細部までていねいで品のある描写が、とても魅力的なシリーズでした。少女小説としてのときめきのさじ加減もとても好みで良かったです。
白川紺子さんの次回作も、楽しみにしています♪
あと、宵マチさんの透明感と繊細さをもつ可愛らしい挿絵も、物語によく合っていて、素敵でした!

Cobalt本誌の方の『オパールのうさぎ時計』も、可愛らしいお話で、楽しませていただきました。
アリスとクレアがかわいい。
セドリックと、あとハロルドが意外にもいいお兄ちゃんをやっていて、微笑ましかったです。


ここ1週間くらいの間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 白川紺子 

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