Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『八百万の神に問う1 - 春』多崎 礼 

八百万の神に問う1 - 春 (C★NOVELS)八百万の神に問う1 - 春 (C★NOVELS)
(2013/05/31)
多崎礼

商品詳細を見る



北の大地の北の果て、霊峰常世ノ山の山麓に、八百万の神の庭がある。
かの楽土の土地で人は、「音導師」に助けられ、争うことなく穏やかに暮らしていた。
その中のナナノ里、サヨは専属音道師として受け入れられ、里人となかよく平和に暮らしていた。
しかし春のある日、里長が伝説の音導師・イーオンを連れてきて——。


『夢の上』シリーズがとてもとてもお気に入りの、多崎礼さんの新シリーズ。
もっと早く読むつもりだったのに、気づけばこの一巻目発売から一年弱が経過している……。
もうすぐ完結巻も出るんだとか。待たずに続きを読めるので、まあある意味いいタイミングになりましたね(笑)。

和風のファンタジーって大好きなので、今回の新作の内容にもとても期待していましたが(むしろそれで大切にとっときすぎましたね……)、実際に読んでみて、ええ、やっぱりとても良かった!
『夢の上』シリーズに比べて、作風がどっちかというとからりとして明るくて、構えずに読めました。
最初のほうはやはり世界観に慣れるまでもたつくのですが、いったん入り込んでしまえば、もう夢中です。
この物語の世界にひたり存分に心を遊ばしているのが、至福の時間です。
といっても世界観とか色々まだ理解してないことだらけですが、いいんです、また読み返しますから(笑)。

まず、文章の言葉のリズムが生き生きとしていて素敵でした。なんでもない自然の草木や花の描写のひとつひとつが美しい。
作品世界そのものが、丁寧に作りこまれていて、美しいです。うーん、本当にはまっちゃうなあ。
ちょうど今の季節が春、読んだタイミングが桜の花のシーズン真っ盛りだったのも、良かったです。

いさかいごとの調停を音討議によって行うとか、音導師とか、音叉が鳴るとか、設定もちょっと変わっていてなかなか面白いです。私は言葉というものが好きなので、こういう設定好きだなあと思いました。
こういう設定なだけあって、皆の名前にも色々由来や願いがこめられているのもいいです。
言葉のちょっとした洒落っけも楽しいです。めたぼやつんでれや。なんちゃってな世界観がとぼけた味出してる。

ヒロインのサヨ、彼女の想い人でちょっと(?)頼りない絶世の美貌の主カンナミ、伝説の飲んだくれ音導師イーオン、大きな猫さん、名無しの少年、ナナノ里の里人たち……、キャラクターがまた皆個性豊かで生き生きとしていて、彼らの掛け合いもとても面白かったです。
気立てよく愛らしい春の花そのものなおサヨさん、読み進めるうちに彼女の辛い過去や屈折した思いも表に出てきて、すべて合わせて頑張ってと自然に思える、私好みの実にいいヒロインでした。特に後半の彼女の成長っぷりと頑張りは良かったです。
里長の息子のカンナミとサヨの初々しくこそばゆい関係、ああ、ほほえましいなあ。やっぱり恋は良いものです。春ですもん(笑)。
相思相愛丸わかりなのに全然くっつかないふたりを、皆がほのぼの見守っている様にも、和みました。
カンナミの煮え切らない態度の理由は予想外でしたが……、そんな彼にサヨが返す言葉が、また良かったです。凛と動じないサヨの愛情が素敵。
お幸せに。読んでいる私も幸せで心がいっぱいに満たされました。

サヨのはじめの印象的には最悪だったイーオン、イーオンに振り回されまくり一の里まで一緒に旅をしていくうちに、彼女の人となりや複雑らしい過去に触れ……、次第に距離が縮まっていく様も、良かった。(いえやっぱりイーオンはどうしようもない飲んだくれなんですが)
素直じゃない分かりにくすぎるイーオンの心づかいが好きです。すぐ目に見える強い力を持っているというより、こういうひとが伝説の最強の音導師って、いいですね。
名無しの少年君も大きな猫さんも、ガガ様も、皆好きです。
ガガさまとおサヨとイーオンのガールズトークの時間が、やけに楽しそうで(笑)。
トウロウさんが作る春の膳がとても美味しそうでした。
ぜんまいの天ぷら食べたいですね。

サヨの家族のことも、兄のことも母のことも、最終的には救いがあって、良かったです。タイガ兄様があそこまで屈折したのも理由を考えれば分からなくはないな、ときょうだいの上の私としては思いました。
お母さんとの再会と和解の場面には、ほろりときました。この場面も桜色でとてもきれいなの。

章ごとに挿入されているエピソードや、マデリさんのことや、死んでいく人とその想い、どれも不思議と重たくなりすぎず心に染みるもので。
特にマデリさんの最後の台詞が良かったです。こんな風に生きられるといいな。
最後のカンナミ視点のサヨとの出会いのエピソードも優しくてあったかくて何度読んでも好き。

楽土の地のありようの矛盾?やイーオンの過去、迫りくる危機のこと、不穏な要素はけっこうあるので、続刊以降でストーリーも進むのかなあ。続きも入手してきました。とても楽しみです。
って、また読むのがもったいあまり、スローペースで読むのかもしれませんが(笑)。

カラー口絵のおサヨとカンナミの仲睦まじいお散歩と水の可見さま、可愛らしくて微笑ましくて、見返すたびに和みます。


ここ二週間くらい?それぞれの記事に拍手くださった皆さま、どうもありがとうございました♪
ふと気づけば現実世界では桜はすっかり葉桜です。4月中にブログでももう少し何かできるといいな。

関連記事

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 多崎礼 

この記事に対するコメント

コメントの投稿
Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://hananomi691.blog10.fc2.com/tb.php/1339-282fedbd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)