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『神ノ恋ウタ あめ つち ほし そら』石和 仙衣  

神ノ恋ウタ あめ つち ほし そら (講談社X文庫―ホワイトハート)神ノ恋ウタ あめ つち ほし そら (講談社X文庫―ホワイトハート)
(2014/04/30)
石和 仙衣、絵歩 他

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神と人とが親しく暮らす古代の世界。
病弱な徒野巫女の末娘・雪荷(せつか)は、月を司る最高神・伊布夜(いうや)に思いがけず見初められ、大神殿に迎えられることに。ところがその道中襲われ、落人の里で土地神のいけにえにされそうになる。
雪荷の命を救ったのは、荒々しくも美しい炎のような若い神・炬(かがり)だった。粗野で神としては未熟だが純粋さも持つ炬に、巫女として仕えるようになった雪荷。疲弊しきった里を甦らせようと、ふたりの想いと関係に次第に変化が——。

かつて『ギデオンの恋人』でお気に入りになった、石和仙衣さんの新作。
古代日本の神話の世界のファンタジー・ラブロマンスでした。

かつくらのホワイトハートの新刊情報ページでイラストが目にとまり、これはなんだかよさげな少女小説!と、発売とほぼ同時に購入、読了。
……ええ、これは、良かった!期待以上に私好みの少女小説でした。
お話が進むにつれ波乱万丈の展開にひきこまれ、気がつけば無中になって最後まで読み切っていました。
読み終えて、しみじみあたたかな気持ちで胸が満たされました。
しばし天葦原の世界にぼうっと心を遊ばせていました。

まず惹かれたのは、読みやすくて丁寧な文章と言葉。
とても自然でなだらかでひっかかりがほとんどない文章で、読み心地が良かったです。最近少女小説でこんなに丁寧な文章なかなかない気がします。
神話の世界特有の固有名詞も、ほどよく平易でほどよく雰囲気があって素敵です。
あめつちの歌のひらがなも、優しい響きがいいな。

帯の紹介で、一見よくある三角関係のお話か……?(あまり好きじゃないな……)と思ったのですが、実際に読んでいると、全然気にならなかったです。それよりなによりお話が良かった。主役二人の不器用で一途な愛のかたちに、すっかり心をつかまれてしまいました。
病弱だけど健気で芯が強い雪荷ちゃんは、とても好感の持てるヒロイン。
どうにもならない運命に弄ばれながらも謙虚に頑張り、自分の意志で生きる道をつかみ取っていく姿を、ずっと応援して読んでいきました。
そんな雪荷ちゃんに、二柱の神が惹かれていくのが、読んでいくごとに良くわかるなと思ったのでした。
雪荷ちゃんにはかえって災難なのですが、ほんと。

特に、炬と雪荷と流れ里の住人、神様たちのわけ隔てのない暮らしぶりが、楽しそうであたたかくって、本当に好きでした。このあたり、何度読みかえしても幸せ。
蟇蛙に乗った古参の女神様・初土比売(はつにひめ)も、明るくてお調子者の風神息吹、双子のちっちゃな神様達も、幼さに見合わない有能さで雪荷に仕える菜摘ちゃんも真鳥も、皆いいキャラしてる~!
里の皆皆に見守られ、次第に心の距離を縮めていく雪荷と炬のふたりが、また良いものでした。
雪荷を愛することで、優しさを覚え、神として成長していく炬の姿がまたいい。自分を馬鹿だと自覚しているからこそ、素直で、なんだかんだ根はいいやつです。憎めませんね。手下(?)の息吹との会話が笑えますね。
雪荷の方も、病弱さで己の運命を半ばあきらめていたのを、愛し愛されることで生きる活力を取り戻していくのが、すてきだな。
美味しいご飯で神様たちの胃袋をすっかりつかんでいる雪荷はとても大物です。

しかし幸せはやはり、長くは続かず。
雪荷を先に見出した伊布夜の再登場もあり、事態は複雑化し、悲劇が悲劇を読んでしまいます。
伊布夜はねー、とことんえらっそうで、自分勝手に雪荷に愛情を押し付けているわけですが、彼は彼で、姉の女神不在の中大変な苦労をしてげっそりしてるわけで、そう単純には嫌えません。
一度手の内からさらわれてしまったから、よけいに執着心が募っちゃったんでしょうね……。
神使の兎さんたちが可愛いですね(笑)。
雪荷を連れ戻しにきた炬と伊布夜の対決で、思いもかけなかったお方の登場もありました。
なるほど、そうつながるのか!
恋愛に関しては周囲との兼ね合いをあんまり考えずにわが道を貫く、ある意味この姉弟よく似ています。

ほんのり救いと希望が見えるラストで、良かったです。
伊布夜の目論見の底までは見えず、なのですが(笑)。

伊布夜サイドで気どりなくおおらかな女神・神楽女、心に染みる助言役でちょっとお茶目な初土比売、脇役の女神さまが好きだ!初土比売のイラストがほしかったなあ。

二巻目もそう待たずに読めるということで、どんなお話になるんだろう。
雪荷と炬の物語としてはこれできれいにまとまっている気はするので、主人公は変わるのかしら。それとも?
なんにせよ、楽しみです!!

荻原規子さんの『空色勾玉』と色々似通っている部分があり、あちらも久しぶりに読み返したくなりました。
石和さんの『古事記』アレンジも、こういうお話もいいよね!
私はそれぞれどちらも別の魅力があっていいなあと思いました。

文庫にはさまっていた特別番外編も、サイトの方に載っていた登場人物紹介&番外編も、良かったです。


この何日かにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 石和仙衣 

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