Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『八番街の探偵貴族 はじまりは、舞踏会。』青木 祐子 

八番街の探偵貴族 はじまりは、舞踏会。 (コバルト文庫)八番街の探偵貴族 はじまりは、舞踏会。 (コバルト文庫)
(2014/05/01)
青木 祐子

商品詳細を見る



ヴィクトリア朝末期のロンドン。
とある事情でメイドとして働いていた家を辞め求職中だった少女・マイアは、新聞の求人広告に応募する。
マイアの目の前に現れたのは、レヴィン・クレセントと名乗る、黒髪碧眼の貴族風の美青年。
レヴィンが経営する探偵事務所に採用されたマイアは、さっそく奇妙な仕事をすることに——。

青木祐子先生の新シリーズは、再びヴィクトリア朝が舞台。元メイドさんの女の子がヒロインのミステリー風味少女小説でした。
最初『ベリーカルテット』の新作かなと思っていたら全然違って、あれれ?と思いましたが、ふたつは同じ時間軸にあるお話みたいです。こちらの作品の中で、ベリーカルテットの例の二人組の影がちらりと出てきました。

こちらのお話もとても青木先生らしい、落ち着いた文章と登場人物のたくみな心理描写で、いつもの通りにどきどき楽しめました。
このお話のヒロイン・マイアは、シャノンほど完璧無敵な(元)メイドさんではなく、ほどほどに普通っぽさを持ち合わせていて。周りに振り回されつつ慣れない仕事に必死でついていく姿に自然と応援して読んでいました。
勝ち気でたくましい働き者の女の子で、ちょっと『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』のパメラを思い浮かべてしまいました。
本文中の描写でありましたが、手入れされずに一輪、たくましく咲いた赤いバラの花のような。
まあ、男の趣味はあんまりよくないですけど(笑)。でもこの時代のメイドさんの立場ってやっぱり弱いんだな……改めて思ったり。
ヒーローのレヴィンの方が、より青木先生作品らしいキャラだったような。
いわくつきの事務所の所長という肩書自体が(笑)。
マイア視点で読んでいるので、この巻の時点ではいまいち謎なキャラのままでしたが、悪いひとではないんだと思います。

お話は、マイアがレヴィンに雇われるきっかけになったさる貴族の令嬢の依頼で良家の舞踏会に乗りこんでいく第一話と、正式に雇われてからトラブル解決にかつての職場をたずねていく第二話、セットのスタイルでした。
第一話は複雑な愛情とプライドがからみあう、なかなかヘビーなお話でした。二話目の方が気軽に楽しめて、私はこちらが好きでした。
アンジェリカがお気に入りキャラ。自分自身は賢くてしっかりした女性なのに、だめだめな男性と分かりながらもずるずる引きずってしまってて、マイアとなんとなく心が通じ合っている感じなのが好き(笑)。
彼女は今後も出てきてくれると嬉しいな。
第二話は、なんだかんだ仲良く一緒にいつづけている幼馴染組にほのぼのしました。キャシーの憎めないかわいらしさがいい!
でも確かに、ふたりが特別親しくなってしまったら、もうひとりは辛いですよね。
ここで、マイアもひとまず過去を清算できたみたいで、良かった良かった。ラストのイラストがいい表情していました。

さて、私がある意味ストーリー以上に気になったのは、大好きな大好きな『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズとこのお話との、ほんのささやかな関連の描写。
のっけから、ヘイルさんのミドルネーム、ローゼンブラッド!
きました、ローゼンブラッド一族!(笑)
ヘイルさんは、このお話の中の感じだと、あくまで実直な使用人、だったかな。少なくともメイドあがりのマイアを見下しているようにはみえない、評価できます(笑)。
あとですね、レヴィンのガラスのような青い瞳に黒い髪、貴族のようでもありフランスのどこかの出身のようでもある外見、駆け落ちしたという両親……、とても濃厚に、『恋のドレスと追憶の糸』で過去語りをして失踪した誰かさんと共通するものが……偶然にしては、色々そろいすぎていると思うのですが、どうでしょう?
そうくると、マイアのオリーブ色の瞳という描写も、誇り高きかの貴族のご令嬢を彷彿とするものが。
一話目のバークレイ家とウォートン家の関係も、例のトレヴィシク家とクライン家の二家と、なんとなく似たものを感じました。後者はどちらも貴族でしたけどね。
ヴィクロテと時間軸がどういう風につながっているのか分からないので何とも言えないのですが、うーん、気になる!!

レヴィンがベリーカルテットのロイと友人だというのは、なんとなく、納得(笑)。
個人的にはどちらかというとベリーカルテットのふたりの方が好みなのですが、探偵貴族さんの方も、これから面白くなっていきそうです。期待しています。
マイアはシャノンに優秀なメイド育成のレッスンを受けてみるのもありなんじゃないかな(笑)。
あ、シャノンのお父上とヘイル氏あたり、実際に親しい関係だったりしそう。

この巻の時点では主役二人に甘さはほとんどなくて、さらりと読めました。
少女小説というよりは、どっちかというと、森薫さんの初期のメイドさんもの漫画に近い雰囲気を感じました。
メイドさんのお仕事はほとんど出てきませんでしたが……。

『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズの番外編も、年に一冊くらいのペースでこれからも出てくれたら、私の人生の幸福度がまるで違うのになあ、とか思いつつ。

昨日それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

関連記事

カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 青木祐子 

この記事に対するコメント

コメントの投稿
Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://hananomi691.blog10.fc2.com/tb.php/1347-54933683
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)