Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『ミス・エルズワースと不機嫌な隣人』メアリ・ロビネット・コワル 

ミス・エルズワースと不機嫌な隣人 (ハヤカワ文庫 FT コ 4-1)ミス・エルズワースと不機嫌な隣人 (ハヤカワ文庫 FT コ 4-1)
(2014/04/10)
メアリ・ロビネット・コワル

商品詳細を見る


一九世紀初頭・女性のたしなみとして日常的に魔術が用いられている英国。
地味な容姿ながら魔術の才があるジェーン・エルズワースは、美しいがわがままな妹メロディの恋愛騒動に振り回される毎日。
ジェーンがひそかに気になっている男性に、メロディも熱をあげているようで、あきらめ交じりに見守っていた。
そんなある日、ジェーンは舞踏会で、偏屈だが優秀な雇われ魔術師の青年・ヴィンセントに出会う——。

お久しぶりに読んだ翻訳もの小説でした。
19世紀英国、ジェーン・オースティン、二人姉妹のお姉さんがヒロイン、ロマンティックな魔術……私好みの各種キーワードにつられて、購入、読了。

魔術が女性のたしなみのひとつとして成り立っている世界観が、まず斬新で面白いなあと思いました。
人を助けたり世界を変えたりではなく、音楽とか絵描きとかに幻を効果的に組み合わせて芸術にする、その辺りの描写がとても巧みで読んでいて楽しい。
神話のニンフの姿、ジャスミンやバラや美しい花、家族の肖像画、身だしなみのアクセント、ピアノ、などなど、女性的な優雅な雰囲気が私好み。
魔術を自分の職業としている魔術師さんたちも存在していて、ご令嬢たちは彼らを教師に雇って教養を身につけたりしています。

魔術要素をのぞけば、本当に、ジェーン・オースティン作品と雰囲気を同じくする、英国のとある地方の社交界が舞台のラブコメでした。
作者さんがオースティン作品を意識的になぞらえて書かれたというのを最初から頭に入れて読んでいるので、あ、この場面はあそこがモデルなんだなーとか、作者さんのお遊びに一緒に付き合っている感じで、面白かったです。
とか言って私、『自負と偏見』と『分別と多感』の二作しか、読んだことないのですが。
どちらかというと、『分別と多感』の方に、お話として似ていたと思います。

冴えない容貌ながら思慮深くたしなみもあるヒロインのジェーン、とても共感を覚え読んでいくことができました。
分別がたりないものの美貌が補ってあまりある妹メロディとの姉妹の間の複雑な感情が、なかなかリアル。
恋愛がからむとね、難しいですね……。ジェーン、そこまで我慢しなくてもいいんじゃない……何度も歯がゆく思ってしまいました(笑)。
ジェーンの心も知らず、自分の恋のままに突き進み、姉や周囲を振り回しまくるメロディは、正直読んでいて何度もいらいらしましたが、最後まで読むと、なんだかんだ言って愛すべきお嬢さんだなと思いました。末っ子をみんなが甘やかしてるのがよくなかったのかもしれない(笑)。仲直りの贈り物が可愛かった。
姉妹のパパが、けっこう頼りがいがあって、基本的にジェーンの味方で、良かったです。
ママは……、やっぱりオースティン作品のママっぽい感じでした(笑)。まあなんだかんだこの方もジェーンを娘としてちゃんと大事に思って入るんですど、ね。こんなひとがママだと、ちょっと(だいぶ)困っちゃいますね。

そんな姉妹をめぐる人々。
ジェーンが最終的に誰と結ばれるのか、分かりそうで分からなくて、最後までけっこうはらはらでした。
(以下ちょっとネタばれ注意)
ダンカーク氏、穏やかで思慮深くてすごくいいひとだったんですけどねえ。でも、最後のあのシーンはちょっとひどかったですね……途中まで好印象だっただけに残念。メロディよりジェーンを選んでくれると思っていたんだけどな。
ミス・ダンカークも好きだったので、ジェーンとの友情も好きだったので、欲を言えば、この兄妹のそのあとのフォローがほしかったです。ミス・ダンカークは箱入り娘なだけに失敗しただけで、これからしっかり者に成長するのもできると思うんだ。
対するヴィンセント氏は、最後の最後まで、あんまりヒーローっぽくなかったんですけれど(笑)、彼の気持ちをジェーンが写生帳から悟る場面が、良かった。ちょうどコバルト文庫の『英国マザーグース物語』っぽくて。
最後の最後でジェーンを救ったのも、(ようやく)格好良かったです。
後日談が、ふたりらしくて幸せそうで、良かったです。


ジェーン・オースティン作品を実際に読んでいて好きな人が、一番楽しめるんじゃないかな、と思いました。
幻想の英国年代記、良かったです♪
積んであったり気になっていたりな他の翻訳者ロマンス小説も、崩していきたいなあ。


ここ一週間の間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

関連記事

カテゴリ: ファンタジー(西洋風)

タグ: メアリ・ロビネット・コワル 

この記事に対するコメント

コメントの投稿
Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://hananomi691.blog10.fc2.com/tb.php/1348-5c28d93f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)