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『昔返りの乙女と竜の王たち 四竜の帰還と再会の約束』河上 朔 

昔返りの乙女と竜の王たち 四竜の帰還と再会の約束 (一迅社文庫アイリス)昔返りの乙女と竜の王たち 四竜の帰還と再会の約束 (一迅社文庫アイリス)
(2014/01/18)
河上 朔

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辺境の村に住む少女・アナベルは、「昔返り」という現象にあい、その昔に村を訪れた太陽王・ソールに恋したミリヤの記憶を思い出す。
世界ではあちこちで、「昔返り」にあう人々が表れはじめる。
そんなアナベルのもとに、突然太陽王の「昔返り」を名乗る青年と、前世で太陽王に仕えた者たちが表れる。
昔返りを唯一鎮められる力を得たアナベルは、彼らとともに前世からずっと暮らした村を出て、旅に出る——。

『Wonder Wonderful』の作者さんが描かれた、新作異世界ファンタジー少女小説。
少し前から積み本になっていたんですが、最近記憶やよみがえり系のファンタジーをずっと読んでいるせいもあるんでしょうね、あらすじに共鳴して、読み始めてみました。

序盤、かつての村娘ミリヤが、村を訪れた太陽王ソールに出会い、憧れめいた浮かれた幸せいっぱいの気持ちをたたえるさまが、つつましやかな恋心が、読んでいてよく伝わってきて、早くも心をぎゅっとつかまれました。
(あと美味しそうなごちそうのオンパレード!)

そんなミリヤの記憶を自分の中に得た、現在を生きる村娘のアナベル。
ミリヤもアナベルも、最初から最後まで、ごく普通の、気立ての良い素朴な村娘で。そこが最後まで損なわれなかったところが、読んでいてとても良かったです。
ミリヤの記憶、恋心を胸に抱いて、親しい友のように思うアナベルの姿に、心があったかくなりました。

とはいえ「昔返り」をしたアナベルを、同じく「太陽王」に「昔返り」したという青年・ローシが「鎮めの乙女」として見出し……、ここから村娘アナベルの世界は、大きく外に広がってゆくことに。
加えて太陽王にかつてつかえていたという「五爪」の「昔返り」を名乗る青年たちも次々に現れて、一癖もふた癖もある彼らに、翻弄されつつも次第になじんでいくアナベル。
しかし彼らとの生活にも少しずつ不穏な影が……。

なんか、最初から怪しいなあと思っていたんです、彼。でもいまいち疑いきれないところもあって……。
とはいえ、ラストの正体種明かしは、まったく予想外の方向でした。そっちだったのか!
そういうことなら、ミリヤのあの切なくも本当の恋心も、報われたと考えてもいいよね。
ラストに向けてのアナベルの頑張りともども、最後に素敵な余韻が残りました。

クレフやエルノス、スアン、五爪の青年たちが、それぞれのやり方で昔返りを受け入れて、アナベルと一緒にわいわいにぎやかに過ごしているさまが、なんだか、好きでした。
みんなアナベルから見たらどこかうさんくさくあやしいんですが、不思議な信頼感があって。
特にラスト直前のエルノスは格好良かったです。
クレフも後半になるにつれ好感度アップしていきました。
アナベルの「おとうさん」には、がっくりきましたが(笑)。頑張ってほしいですおとうさん。

アナベルの「鎮めの乙女」の力は、とてもすごい力なんですが、なんだかとても優しいものだなあ、と。
というか、このお話全体のこの懐かしいような優しい雰囲気、とても好きです。
エルーダと仲直りできた場面がお気に入りです。

ミリヤとアナベルの故郷の村・りんごの特産地・ケトムの村の描写が、とっても良いんですよね!
白く美しいりんごの花、甘くとびきり美味しいつやつや赤いりんご、素朴で人の良い村人たち、新鮮でおいしそうな食べ物。
なによりりんごパイはじめとしたりんご料理が、もう本当に美味しそうで!
美味しいもの大好きで、村一番のりんご菓子作りの腕を持つという、ミリアとアナベル。このふたりのりんごパイ、食べたいよ~。
もとよりりんご大好き、甘いお菓子大好き人間の私には、二重に美味しい物語でもありました。
気分が沈んだ時でも、美味しいお菓子を作って、みんなで美味しい美味しい笑って食べれば、慰められますね。
ミリヤのひそやかな失恋の場面のりんごパイには、せつなくなりました。

この話は、続き、ぜひとも希望します!!
彼らの道行きは今後どんなものになるのでしょう。ロマンスの行方もぜひ。
過去の太陽王と五爪たちの日常とかも面白いかも。紅一点のニケさんとか気になります。

河上朔さんの他の作品に比べると、糖度高めの少女小説で、でもその糖分のさじ加減が、またとても良かったです。
優しくて懐かしくて幸せな気分になれるお話でした。
初々しく恋に恋する女の子って本当に可愛らしい。


昨日記事に拍手くださった方、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 河上朔 

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