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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『灰色のマリエ』文野 さと 

灰色のマリエ (レジーナブックス)灰色のマリエ (レジーナブックス)
(2014/06)
文野 さと

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マリエは辺境の町に住む娘。昔から人と少し変わった目を持つマリエは、しかし家族思いでよく働くしっかり者の娘だった。
そんなマリエに突然やってきた結婚話。話を持ってきたのは祖父の友人であった老紳士で、彼の願いであればとマリエは承知して王都にやってくる。
しかし孫息子のエヴァラードは「この婚姻は祖父が身まかるまでだ」と、マリエには冷たい態度で。
偽りの結婚からはじまる、ふたりの物語の行方は——。


元オンライン小説の一冊。
私はWeb版は未読だったのですが、良い評判を聞いていて、あらすじもなかなか好みだったので、書籍化を機会に手に取って読んでみました。

一昔前の西欧のような世界観。
マリエは少々特殊な力を持つ目の持ち主なのですが(灰色のマリエたる所以?)、その特殊能力がお話のキーポイントになってくるかというとそうでもなく、読んでいてファンタジーらしさはほとんどなかったです。
昔の海外の少女小説っぽい雰囲気。
劇的な事件があるわけでもなく、物語はマリエとエヴァラードの新婚生活をメインに、基本的に淡々と静かに進んでゆきます。

なんといいますか、読んでいて優しい気持ちになれる物語でした。
頑張り屋で健気で奥ゆかしいマリエは、とても私好みのヒロインです。旦那様に冷たい態度をとり続けられてもめげずに新妻として尽くし続ける姿、応援し続け読んでいました。
でもマリエも単なる貞淑な妻というだけではなく、心の中にひっそり想いをかかえています。
最初はまあそういうこともあるだろうというだけでしたが、彼女が常に想いをはせているのは夫以上にそのひとのことばかりで、だんだんと、ああ……、と。
憧れのような、初恋のような。
不思議な三角関係……三角関係というとちょっと違うかな。
でも旦那様に冷たくされると、やっぱり傷つくんですよ。

たいするクールな色男・旦那様エヴァラード、最初のうちは嫌々押し付けられたものの、手のかからない家事上手な奥さんも悪くない……程度のあんまりな認識しかしてなくって、ひどいひとでしたが、ひどい態度をとり続けているにも関わらず貞淑な妻で居続けるマリエに次第にいらだちの感情を抱き始め……、このあたりから人間味が出てきて、可愛くなってきました(笑)。
素直じゃなく女に真剣に恋愛したこともないので、そんなつもりはなくてもマリエにひどい態度、言葉しかかけてあげられません。最初にひどいとりきめをしたのも自分自身です。それでさらに自分にいらだっているさまが、可愛い(笑)。
周りにちやほやされて若気のいたりでいい気になってただけで、中身はけして悪い人じゃないんだよなー。
なんだかんだ真面目な働き者だし、ハリーみたいな人が友人だし、なにより本当はおじいさん大好きだし。

まあ、ヴィリアン様が、罪作りだよなあ、といいますか。
彼は彼で昔つらい恋をしていたようですが。
3人が3人、自分の胸だけにかくす想いを持っていて、それがお互い見えないものだからすれ違ってしまって。
でもマリエとエヴァラードの二人に関しては、これからはじめられる、確かに。
ぎこちなくも夫婦として心を通わせはじめた二人の姿にほっこりし、そしてラストのマリエの目に映る「色」がおだやかな幸福感を添えてくれ、優しい気持ちで本編を読み終えられました。

番外編は、一人滑稽に空回りしているエヴァラードがおかしかったです。
もうここまでくると、がんばれ旦那様!としか。

エヴァラードの母と姉はテンプレートの方々でしたが、兄嫁モリーヌさんやエヴァラードの同僚ハリィさん、いいひとたちでした。
自分の女性関係のことは棚に上げてハリィさんに嫉妬しているエヴァラードがなんだかなあ、でした(笑)。

あとこのお話、マリエが作る料理の数々が、地味にとても美味しそうで。
初日にぱぱっと作ったチーズのサンドイッチもじゃがいもスープもおいしそうだったし、肉の煮込みも手作りパンにバターも……、エヴァラードがしっかり胃袋つかまされてしまった気持ちが、よくわかりました。
毎朝焼き立てパンをごはんにできるなんて、贅沢!
食生活からも、マリエの影での気遣いがのちに分かってしまった訳ですが……、エヴァラードはしっかり悔い改めてくれたようなので、よしとします(笑)。

あと挿絵もお話の雰囲気によく合っていて、しっとり落ち着いた可愛らしさがあって、男性陣も格好良くてよかったです。

ラスト、一区切りはついているけど彼らの関係の決着はついていないよな……と思っていたら、このお話、もともと続きがあったようで。そして書籍で二巻目が出るかどうかは、売れ行き次第ということで。
私はこのお話とても好きで、続編も読みたいので、応援の気持ちも込めて、こうして感想を書かせていただきました。
マリエが心から幸せになれると良いです。あとマリエの方の心の揺れ動きをもう少していねいに読みたいかな。


ここのところずっと拍手くださった方々、皆さまどうもありがとうございました♪
更新は全然できていませんでしたが、読んでくださっていた方の存在は、とても心の励みになりました。

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カテゴリ: ファンタジー(西洋風)

タグ: 文野さと 

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