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『天の梯 みをつくし料理帖』高田 郁 

天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-12 時代小説文庫)天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-12 時代小説文庫)
(2014/08/09)
高田 郁

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「食は人の天なり」——源斉の言葉に触れ、料理人として自らの道を見出した澪。
その一方で、吉原のあさひ太夫こと野江の身請けについて、懊悩する日々が続いていた。
つる家を離れて、鼈甲珠の商いをはじめた澪。悲願がかなう日を信じて——。
「雲外蒼天」を仰ぎ見る、堂々のシリーズ完結巻。

『みをつくし料理帖』シリーズ、ついに完結巻が出ました!
前巻の告知から、待ち遠しいけどさびしい、でもやっぱり早く読みたい……複雑な思いで待っていました。

先週末の大雨の中書店に出かけて入手してきたはいいものの、読みはじめるのがもったいなくて。結局、週はじめの電車の中で、読みはじめました。
ひとつひとつのエピソード、皆の人情に楽しそうな掛け合い、美味しそうなお料理が、疲れた心に染み入って、励まされるような、元気をもらっているような。
最終話まで進むと、もう途中で読み進めるのをやめられなくなって、最後までひと息に読んでしまいました。
ああ、なんて素敵なラスト。
なかなか上手く言葉にあらわせないけれど、本当の本当に良かったです。
表紙のごとくに清々しい「雲外蒼天」が、心の中にいっぱいに広がりました。

いつもの通りに各話ごとに感想を。
ネタばれ注意のため、今回は追記にたたむことにしますね。

『結び草——葛尽くし』
水不足も大雨も、水の災害は恐ろしいなあ。リアルでも大雨の被害があったばかりで、よけいに身につまされました。
水に器をつけるとは、粋な工夫!澪と政吉さんが時知らずで美味しそうな料理を作っている姿に、私もなんとなく真似したくなって、切り干し大根のお味噌汁を作りました。滋味のあるお出汁がいいですねえ。
そんな澪と政吉さんがふたりでそれぞれ工夫をこらし協力しながらつる家の料理を作っている姿が、もうすっかり馴染んできて、お臼さんやふきちゃんたちの助けも馴染んできて、読んでいて安心できていい気分になりました。
そしてついにあさひ太夫身請けのため、鼈甲珠商いをはじめる澪。危なっかしいけれど、もう見守るしかない。
そして、美緒さんも、しんどい境遇みたいで。
確かに葛はとても強い雑草というイメージで、そんな葛で澪が心づくしの料理をこしらえたら、つらくても、元気をもらえそうです。
源斉先生が教えてくれた「雲片」も、美味しそうな料理だなあ。冷やご飯と一緒に食べれば、今の時期に美味しそう。

『張出大関—親父泣かせ』
政吉さん作の自然薯料理が本当に美味しそうで魅力的です!「親父泣かせ」なんてネーミングセンスもぴったり(笑)。というかいかにもつる家らしくてほっこりしました。
政吉さんをしっかり理解して寄り添っているお臼さんの姿がよく、素敵な夫婦だなあと改めて。
お弁当作りの依頼の話もよかったです。確かに、鼈甲珠を作ると同時に、つましい工夫をかさねた料理を作るのは、バランスが取れてとてもいい塩梅だったなと思いました。安心して読んでいられました。
源斉先生のお母さまのエピソードでは少しひやりとしましたが。本当に、大事にならなくてよかったです。
人の口に入るものだから、常に気を抜いてはだめだなあ。

『明日香風—心許り』
佐兵衛さんと登龍楼と…関連に、最後の決着がつくお話でした。
この期に及んで容赦なく突き落とされたり、はらはらとても気をもみました。
過去にいったい何があったのか。そういうお話だったのかあ。ため息。
澪の蛸飯と富三にも、しんみりしました。
佐兵衛さんの気持ちもようやく完全に腑に落ちました。美味しいものを求める料理人の心を利用されるなんてたまらない。
そして佐兵衛さんの料理人としての思いに共感して情けをかけたのではないかという、あの方の計らいがまたなんともありがたくて、心が通じ合う様が、とてもとても良かったです。
料理人として三人、それぞれ別の道をいくんだなあ、それぞれが正しいんだなあ。
ラストのふたりのつかの間の再会と別れの場面にも、目がうるみました。
采女氏は逃げていきましたか……健坊が姉のもとに無事に帰れて、ほっとしました。
あと、神狐の世話をひそかにしてくれていたひとの、正体。
なんだかもう胸がいっぱいになって、澪がそれを知ることができて、本当の本当に良かった。

『天の梯—恋し粟おこし』
最終話。澪と源斉先生、そして澪と野江ちゃんの話に、ようやく答えが。
源斉先生、ようやく言った!良かった!格好良かった!とてもときめきました。
美緒さんの後押しを受けての、澪の返事も、本当に良かったです。
いままで澪が潜り抜けてきたどんなに困ったときもつらい時も、源斉先生はずっと静かにそばに寄り添ってくれていたんだなあ。改めて思い返して、想いの深さに感じ入るしかありませんでした。
源斉先生のおうちのほうも、すべてスムーズにいった訳ではないようでしたが、お母さまがとても素敵な方だな。と。
澪の母親も同然の芳さんの心遣いもとても良くて。
一番粋なのはやっぱりりうさんでしたけどね!やっぱりりうさん本当に好きだなあ。最後まで。
そして野江ちゃんの身請け話も、最後まではらはら読んでいましたが、円満に決着が、つきました!
澪の料理の才とひたむきな努力と、又さんの想いと、摂津屋さんの想いと、色々なものが合わさっての悲願達成。
私にはやはり雲の上の世界ではありますが、本当に良かったなあ。
お狐さん、こん、こん、の唱和が、ぴったりで、やっぱり好きです。
身請けの主のことも、そうきますか。

ラストは少し駆け足気味だったかなという気もしましたが、なんとも素敵な余韻が残る、今後の想像の余地がある、いい終わり方でした。
ふたりの幼い日、仲良く並んでたたずむ姿が、心に思い浮かびました。
おこしの優しい甘さのイメージも、ふんわり心地よく。

そして巻末の料理番付。
ネットで皆さまの感想を見ていて、二回、三回眺め返していて……、高田さんファンには嬉しい名前が、いくつもうずもれていて、これを確かめるだけで、また胸がいっぱいに。
「病知らず」がいちばん気になるところですが、「寒天尽くし」も「新琥珀寒」も、気になります!
特に今とても暑いので、寒天食べたいです!!(笑)

今一度じわじわ思い返すと、澪が、つる家のいつものメンバー、そして芳さんと離れてしまったのは、とても寂しいことではあるのですが、でもいつかまた、再会の機会もあるでしょう。
清右衛門先生は澪の料理を食べに行く気満々のようですし(笑)。
そう、『みをつくし料理帖』名前の由来がここにきてようやく……というのも、粋な書かれ方でした。

瓦版にちらりと書かれていた特別巻が、今からとても楽しみです。

読んでいると私も美味しいご飯を手をかけて作りたくなる、素敵な時代小説シリーズでした。
完結、本当におめでとうございます!!

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カテゴリ: 歴史もの

タグ: 高田郁 

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