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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『花咲家の休日』村山 早紀 

花咲家の休日 (徳間文庫)花咲家の休日 (徳間文庫)
(2014/09/05)
村山 早紀

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村山早紀さんの風早ワールドの一作・『花咲家の人々』の続編。
少年時代の不思議な転校生との交流を振り返る父・草太郎、日本狼を探しにでかける末っ子・桂、月夜に死神の少女を見た次女・りら子。
植物と心を通い合わせる不思議な力を持つ花咲家の家族、それぞれの休日の物語。

大好きだった『花咲家の人々』の続編!とても楽しみにしていました。
今回の表紙は、木太郎お父さんですね。ダンディーなおじさまで緑の色味も素敵です。

タイトルに「休日」とあったので、なんとなく、先週の週末、お休みの日に読むことにしました。
(村山先生の優しい物語は平日に読むのもいいんだよなあとは思ったのですが……。)
前作よりボリュームはいくらかひかえめで、ゆったりのんびりと読み進められました。

休日というだけあって、作品世界の時間も、のんびりまったり動いていたような。
ふんわり優しくてあたたかくて心地よくて、時々心をしめつけられるようにせつなくて。
読み終えて、この一週間、ふとこの物語の世界を日常に思い出しては、ひたっていました。
しんどいときでも、ふっと心が楽になって少し前向きになれる、そんな素敵なお話でした。

各話ごとに、簡単に感想を。
『魔法のコイン』
草太郎お父さんの、少年時代の友情のお話。
少年時代のなかなか複雑なものをかかえていた草太郎少年の姿が新鮮だったり(笑)。すっかりおだやかで優しいお父さんですもんねえ。
不思議な転校生・聖也少年との友情も、わくわくしました。良かったです。
村山先生の異世界との地続きのお話は、淡々とした描写でも心の中に美しいイメージがぱああっと浮かび上がってきて、ステキだなあ。
彼も、こことは違う世界で、頼りがいのあるパパさんとして暮らしているのかな。とかいろいろ想像してみる。
四角いバターに蜂蜜をそえた、美味しいトーストを食べたくなりましたよ(笑)。

『時の草原』
末っ子桂君が、友人たちと日本おおかみを探す冒険に出かける物語。
友人たちとすっかり打ち解けて楽しそうな桂君の姿に、読んでいてああよかったなあ、とこちらも嬉しい気分になれました。
私も近所の山にハイキングに行きたくなってきたな!
植物が花咲家の人々にするすると手を差し伸べてくれる場面が好きです。生命力をこちらまで分け与えてもらえてるような気分にもなれます。
友人たちもお兄さんも、桂君の力を自然と受け入れている様も、読んでいてほっとできる。

人間はおろかで、間違う存在だ。
だけれど、何度でも過去を背負い、自らの間違いに気づき、再び立ち上がり歩き出すこともできる、そんな存在でもある。
そうやって、今までの人間の歴史は続いてきたんだ。
たくさんの間違いを繰り返し、犠牲を出しながらも、少しずつ、少しずつ、明るい方へ。
人が悲しまず、命が尊ばれる世界を目指して。 (112頁)

『死神少女』
りら子が、昔馴染み(?)の少女の死神に出会う物語。
元気で現実主義のりら子ちゃんに、死神ってあんまり似合わないなあとか思っていたのですが、「しーさん」が強くて心優しいとても素敵なお姉さんで、りら子ちゃんとのささやかな交流が、とても良かった!
魔物をやっつけに出かけていくしーさんの台詞が格好良かったです。

『金の瞳と王子様』
猫の小雪のお話。
甘えん坊で桂君大好きでちょっとこまっしゃくれた小雪がとても可愛らしくて微笑ましかったです。
人と猫との大昔からの絆がよいなあ!
桂君が将来恋人を連れてきた日には、ちょっと大変そうだな、と気が早いですが思ったりしました(笑)。

『朝顔屋敷』
木太郎おじいさんが、昔からの知り合いである琉球朝顔が見事な家を訪れる物語。
琉球朝顔、オーシャンブルー、花の名前が、この物語の南国のさんさんとした日差しとそこにひっそりある悲しみ、イメージにとてもよくあっていて、ステキだなと思いました。
おばあちゃんと孫娘の絆があたたかくて優しくて、傍観者として見守る木太郎さんの姿も優しくて。少し見方を変えれば夏の怪談なお話でしたが、まったく怖くはなく、美しくて優しくて切ないお話でした。
寒ざらしも美味しそうです。

『薔薇に朝露の光ありて』
店の看板娘・長女の茉莉亜さんと、彼女がひととき交流を持った、不思議な影を持つ紳士の物語。
さすらいの魔術師であった彼と、相棒のガーゴイルの関係が、ちょっと不思議でおかしみがあって、なんだか素敵だなあ。唐突に訪れた別れの場面のガーゴイルに、しんみりしてしまいました。
茉莉亜さんに赤い薔薇、娘の面影を重ね合わせる魔術師さんも切ない。
ハッピーエンドとはちょっと言えない最後の物語でしたが、ハッピーエンドとは別な風に、心にやさしい余韻が残る、良いお話でした。

今回のお話で私が特にお気に入りだったのは、『朝顔屋敷』に『薔薇に朝露の光ありて』。
切ないお話が特に染み入りました。

花咲家の人々、また続編が読めることを、信じています!
りら子か茉莉亜ががっつりヒロインをしているお話を私は読んでみたいな。
誰にも秘密の人助けを趣味としているりら子ちゃんが、とてもお気に入りな私です。


ここ一週間……いや二週間くらい、それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 村山早紀さん

タグ: 村山早紀 

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