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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『初恋料理教室』藤野 恵美 

初恋料理教室 (一般書)初恋料理教室 (一般書)
(2014/06/03)
藤野恵美

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京都の路地にひっそりたたずむ古びた長屋、一番奥の玄関には「小石原愛子の料理教室」の暖簾が。
土曜日の初心者向けクラスに通うのは、年も境遇も全く違う、男性四人。
憧れのあの人を想って作る大根と鶏の炊いたん、頑なな人の心を溶かすデザート、大切な家族と作るごま豆腐……。
品良く優しい京のご婦人・愛子先生の元、美味しい家庭料理を習い覚えることで、皆の人生は、豊かに、前向きなものになっていく。

京都の料理教室に通う、学生さんから年配の方まで男性四人の、食にかかわるそれぞれの物語。
タイトルと表紙の優しくかわいらしいイラストに惹かれて手に取ってみました。

はんなりと、優しいお話でした。
自分のために、大切な誰かのために、美味しい料理を作り、食べることは、人生を、幸せにする行為なんだな。
と、読んでいて、自然にすとんと納得がいく感じでした。
押しつけがましくなくゆったりとおだやかな文章が好もしいです。
それなりに手間をかけて、美味しく作り上げていく京風の伝統家庭料理の数々の描写も、魅力的でした。
そして男性四人のそれぞれのドラマがどれも味わい深くてそれぞれ共感できるものがあって、とても良かったです。
料理上手で初心者への教え方もとてもうまく、でしゃばらず品よく存在感があり、料理に直接つながらないことでも生徒の道を優しく指し示す愛子先生の人物像や立ち位置もまた良かったです。
京都のなまりや雰囲気もはんなり優しい感じで素敵でした。
長屋に集まる今風の若者たちと品のあるご婦人、麻生みことさんの漫画『路地恋花』を、ちょっと思い浮かべてしまいました。

『初恋料理教室』
図書館で出会った憧れの女性のひとことで料理を習うことを決意した、建築設計事務所の若手・智久さんの物語。
図書館からはじまる恋というシチュエーションがとても好みで、有能で笑顔や声がすてきな司書さんに惹かれていく智久さんの気持ちがとても初々しく微笑ましくきゅんとしました。
仕事面でも、彼のチャレンジの物語でもあり。
大根と鶏の炊いたん本当に美味しそうだな。この本のレシピの中でいちばん気軽に作れそう。
生麩も京都ならではですねえ!アレンジ生麩料理もおいしそうでした。

『であいもん』
フランスからやってきたパティシエさん・ヴィンセントさんの物語。
カフェを開くことを決意し、建築家の智久さんとも協力して奔走しています。
外国人のパティシエさんが日本の家庭料理を習っているってちょっと不思議な感じ!
トラブルもありましたが、心をゆるめた彼のデザートの数々が、素敵でした。
彼の恋の行方も気になる。

『ふたりの台所』
個性的な格好で料理教室に通うおしゃべり好きなミキさんの物語。
ミキとジュリアの姉弟関係がすごく良かったです。親との関係はなんとも……でしたが。
愛子先生の料理教室に通うことで、子どものころ与えてもらえなかったものを、確かに受け取り、継承させていくことができる。料理はこんなにも自分を幸せにしてくれる。なんでもいつでも学べるチャンスはあるものだなあ、と読んでいて少し気が楽になる話でした。
萩ご飯、きれいでおいしそうでした。

『日常茶飯』
職人仕事一筋で生きてきた佐伯さんの物語。
奥さん、どうして佐伯さんを料理教室に……?あらぬこともつい想像してしまいましたが、ああ、そういうことでしたか。
仕事一筋でおうちのことは奥さんに任せっきりだった佐伯さんと、そんな旦那さんの世話を焼くのが大好きだった奥さん、いいご夫婦だなあと本当に思いました。歌子さんの人物像が良いです。デートの場面も良かった。
佐伯さんもまた、親から受け継げなかったものを、確かに愛子先生の料理教室で身に着けていけたようで。

『終章』
愛子先生の短い追憶のエピソード。
若いころの憧れめいた想いと、それ以降の環境でつちかってきたもの、すべてが今の愛子先生の料理になっているのだなあと、しみじみ実感できて良かったです。

巻末にレシピがついているのも嬉しい。
鶏と大根の炊いたんがやっぱりおいしそう……!

私自身もいい加減なものを食事にしてばかりでなく、美味しい料理を作って食べられる生活を続けていかなければな、と読み終えてしみじみ思ったのでした。

この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 日常のお話

タグ: 藤野恵美 

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