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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『雨のティアラ』今野 緒雪  

雨のティアラ (集英社オレンジ文庫)雨のティアラ (集英社オレンジ文庫)
(2015/01/20)
今野 緒雪

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竜田メグムは三姉妹の次女・高校一年生の女の子。
明るく仲の良い家族の元平凡に暮らしているメグムだが、近ごろ進路のことで心が少し晴れない。
そんな中、近所で長い間空き家だった洋館に、不思議な人物が引っ越してきて——。

何かと話題だった集英社オレンジ文庫、何冊かさっそく買ってきました。
私の一冊目はこちら。
美しいタイトルと作者さんと三姉妹ものと言うキーワードに惹かれて手に取りました。
今野緒雪さんがこの設定で書かれるなら絶対面白いに違いない。と、信頼感(笑)。

コバルト文庫と違って中の挿絵はありませんでした。
お話はマイルドですらすらとても読みやすかった。
コバルトよりはいくぶん落ち着いたトーンの、女の子のための読みものという感じがしました。

主人公のメグムが一見平凡な女の子のようで、なかなか独自な感性の持ち主。
語り口がちょっと独特でユーモアがあって。
いちばん最初で「龍」の空想をしているところとか、面白い女の子だなあと。
そんなメグムと、大学生の姉カスミと、小学生の妹キリ、穏やかな父親にしっかりものの母親。
家族一人ひとりや友人との何気ない日常の関係やドラマが、ひとつひとつていねいに書かれていて、十代の少女の繊細な心の揺れ動きが、読んでいてとても愛しかったです。
姉妹が仲良しな家族の描写は和みますね。
特にキリちゃんの面倒をきっちりみて性格に合った接し方をして可愛がっているメグムの姿が好きでした。
わりと好きに生きるタイプのお姉ちゃんを、しょうがないなーなんて姿勢で見守ってるのも、微笑ましかった。
このお年頃なので仲の良い姉妹間でも実は複雑な思いがあったりもするんですが、私みたいな年になってから読んでいると、それもまあ、もう、微笑ましいです(笑)。
おやつが野菜スティックだったり、ていねいな暮らしをされているお嬢さんたちだなあ。

そんな姉妹の日常に突然飛び込んできた、洋館の人々と、竜田家の人々との関係には、過去に思いがけないドラマが。びっくり。
家族の複雑な関係、メグムの淡い恋の行方をラストまでおいかけて、ああ、これは私が大好きな『夢の宮』シリーズの『古恋鳥』だ!(笑)
あちらよりはずっとからりと明るいトーンのお話なんですが。
過去の人間関係がひとまず修復され、絵描きの血を見せつけられて、しらず、コンプレックスからいくらか解放されたメグムの心の変化が、さわやかでよかったです。
映美さんの絵と対面する場面が印象的でした。

具体的にドラマが明らかになった母方に加え、父方の方も、なかなか風変わりな一家のようで。お嫁さんの名前が決め手って。
ゆるい非日常感が物語に雰囲気を添えている感じで良かったです。

大人の登場人物たちも、マイルドに個性ある人たちばかりで、楽しかったです。
永子お祖母ちゃんが特に素敵な方で好きでした。孫娘にふるまうぶどうパンの「ババパン」がとても美味しそう。
アルトさんもイケメンさん(その表現で適切だろうか…?)の割には硬派で鈍感で、メグムちゃんは将来苦労しそうです。

『雨のティアラ』というタイトルの由来も、三姉妹の名前も、素敵だな。
名前以外にも今野さんの文章はやはり上品でセンスがあります。

家族って、姉妹っていいな、とほっこりできる、素敵なお話でした。
今野緒雪さん、また近いうちに『夢の宮』シリーズの続編も出してほしいです!


今週それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 今野緒雪 

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