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『シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師たちの未来図』三川 みり 

シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師たちの未来図 (角川ビーンズ文庫)シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師たちの未来図 (角川ビーンズ文庫)
(2015/01/31)
三川 みり

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『シュガーアップル・フェアリーテイル』シリーズ、本編完結後の外伝集。
人間と妖精との未来をかけた戦いの末記憶を失ったシャルが過ごしたつかの間の物語、なぜか「アン・ハルフォード」を名乗る少女とキースの工房奮闘記、銀砂糖子爵ヒューとキャットの物語、そしてアンとシャルのその後のエピソード。
本編では語られなかったいくつかの物語が、ここに。


何年も新刊が出るたび追いかけてきた『シュガーアップル・フェアリーテイル』シリーズが、このたび完結。
そして今回、ファン待望の、後日談的な外伝集が出ました。
そういえば完結巻の感想をブログでは書き逃していましたが、もちろんしっかり読んでいました。

透き通るように美しい世界がせつなくて、誰もが大切な人の幸福を願う姿がいとおしい、素敵な外伝集でした。
幸せラブラブな後日談というよりは、本編終了時にキャラクターの皆がかかえていた戦いのあとの悲しみ、切なさに、そっと寄り添いおぎないあわせていくような、そんな作者さんの優しい手を感じました。
読むことができて、本当に良かった。

表紙、口絵カラーイラストはもちろんのこと、各話の扉のあきさんの挿絵が、どれも絶品。

『リバース』
シャルが記憶を取り戻してアンのもとに帰るまでの、つかの間の物語。
シャルを拾って同居人となった兄弟たちがとても好きでした。
気弱で心優しいカーシーも好きだし、粗野なふるまいの中に大切なものをいつくしむ心をきちんと持っている兄のデリックが、読んでいくごとにどんどん好きになっていきました。
けして楽な道を歩んできたわけではない兄弟の、救いようのないお人好しさ加減に、ちょっと泣きそうになりました。
シャルが流れ着いたのが、彼らのところで、本当に良かったなあ。
あとは、ラファル。
ラファルとシャルの決着が、こういうかたちになるとは。予想外でした。
今後ラファルがもしも記憶を取り戻したら……本当に終わったわけではないのでしょうけれど、人の息子として暮らして、それでも少しは、ラファルの気持ちも変わっているんだと、信じます。
挿絵のラファルの心底気づかわしげな表情が、とても印象的でした。ラファルであってラファルでないみたい。
記憶を失っている状態ながら、シャルの精神状態はとてもおだやかで安定しているイメージで、彼はアンと出会って本当に変わったなあ……しみじみかみしめたのでした。
早く、アンのもとへ、帰ってあげて!!
砂糖林檎との邂逅の場面がまた印象的でした。

『もう一人のアン・ハルフォード』
パウエル・ハルフォード工房で仕事に追われるキースが、「アン・ハルフォード」を名乗る幼い少女に出会う物語。
タイトルとあらすじから邪推した(笑)お話とはちょっと違う、しんどい境遇に置かれた幼い少女の精いっぱいの思いが、胸にひたひた迫ってくるお話でした。
キースよりも、むしろ、アンとミリアムの取り合わせが良かったです(笑)。ミリアムの境遇に寄り添えるアンという存在がいて、本当に良かった。
職人の仕事のやり方の違いまで……キースはアンの道と完全には重ならなくて、とことん不憫だなと思いました。
でも、それでも、公正さと清廉さを失わないのが、どこまでもキースらしくて好きです。
妖精さんたちが確実に職人さんとして力をつけてきていて良かったです。

『子爵に捧げる青い薔薇』
キャットとヒューのあれこれ。
本編終了時にちらりと出てきたヒューのその後のエピソード、本編では語られなかったからくりが明らかになって、ああ、すごく安心しました!
銀砂糖子爵としてどこまでもストイックに銀砂糖の未来を考え、常識やぶりの策を練るヒューが、たまらなく格好良かったです。
そんなヒューに憎まれ口をききつつも彼のことを心底思い、砂糖菓子を作り上げるキャットも、ヒューとは違う風に格好良すぎます。青い薔薇にこめられた想い、とても良く伝わってきました。
サリムのエピソードも良かった。ますますヒューと言う人間が好きになりました。
エリオットさんもキースもアンも、彼らは後々まで交流をもっていたんだろうなあというラストのエピソードに、ほっこりしました。
うっかりで、住まいを失って呆然とするキャットの姿は、ちょっとおかしかったですけどね。
なんか、確かに、アンとキャットは似た者同士だなあと、改めて実感しました。(生活に関してはアンはキャットよりはずっとしっかりしてますけどね……)

『アンと最初のお客様』
シャルがようやく戻ってきて、銀砂糖職人として再スタートをきらんとする、アンの物語。
ようやくアン主役の物語が。待っていました!
それでもこれまで散々飲み込んできた辛い思いは、簡単には、消えるものではなく。読んでいる私も心が痛みました。
アンの最初のお客様が「彼」であったことも予想外なら、「結婚式」の仕掛け人も予想外!
またひとまわり精神的にも成長して、以前よりずっと頼れるいいこになったエリルの姿が、とても素敵で安心しました。
アンとエリルのふたりのやりとりは、和むからいいなあ。
アンがエリルに作った砂糖菓子もとてもとても素敵でした。
そして結婚式。
世間での「結婚式」という言葉以上に、シャルのアンへの想いが込められた式。
ラブラブを冷かしたくなるというよりは、彼の誓いの尊さにただただひれふしたくなるような。胸がいっぱいになりました。
いえ、皆勢揃いで幸せいっぱいで、結婚式らしくにぎやかで、やっぱりラブラブで(笑)とても良かったですけどね!
相変わらず素直になりきれないブリジットさんの、面倒見の良さに感動しました(笑)。
あと久しぶりのダナがかわいすぎて身もだえしました。調子に乗ったエリオットさんに林檎の実を投げたのは、ダナとハル、どっちだったんだろう。
あきさんのイラストの花嫁姿のアンが美しすぎてため息です。いつの間にかアンも大人の女性の表情をするようになりました。そしてドレスの繊細な花のあしらいが美しい!

『ミスリル・リッド・ポッドの終わらない野望』
しめはミスリル!
相変わらずのミスリルにふふふっと楽しい気持ちでページを閉じられて、良かったです。さすがミスリル。
彼もシリーズ一巻目からアンとシャルをずっと見つめ続けてきた存在なので、なんか、感慨深さを共有できる仲間といいますか。ミスリルですが。

このブログを書きはじめた初期からずっと追いかけてきたシリーズがまたひとつ完結。さみしくはあるのですが、でも、最後まで読むことができて、とても幸せでした。
三川さんとあきさんの新作も、期待しています♪


そういえば、幸村アルトさんのシュガーアップルのコミカライズ、2巻目も読みました。

銀砂糖師と黒の妖精 〜シュガーアップル・フェアリーテイル〜 2 (花とゆめCOMICS)銀砂糖師と黒の妖精 〜シュガーアップル・フェアリーテイル〜 2 (花とゆめCOMICS)
(2014/10/20)
あき、幸村アルト 他

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あきさんの絵とはまた違った解釈のフェアリーテイルの漫画、素敵です。細部までていねいに描かれたメルヘンチックな絵がとても魅力的。
シャルがより妖精らしい雰囲気で描かれているのが特にお気に入りです。
そういえば、ジョナスもキャシーも、今もなんだかんだ元気そうで良かったです(笑)。


ここ一週間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ビーンズ文庫

タグ: 三川みり 

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