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『浪漫邸へようこそ~花開く日~』深山 くのえ 

浪漫邸へようこそ ~花開く日~ (小学館ルルル文庫 み 1-25)浪漫邸へようこそ ~花開く日~ (小学館ルルル文庫 み 1-25)
(2015/04/24)
深山 くのえ

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『浪漫邸へようこそ』シリーズ第三弾、完結巻。
秘密の下宿屋「浪漫邸」をはじめた貧乏子爵家の娘・紗子は、下宿人のひとり・帝大生の伊織への恋心を自覚する。
想いを秘めつつも直接伝えられずにいた紗子と伊織だったが、下宿人の昔馴染みの男がある日浪漫邸に転がり込んできて問題を起こし、ふたりの仲にも動きが——。


深山くのえさん&あきさんコンビの大正時代一つ屋根の下ラブロマンス『浪漫邸へようこそ』、新刊が出ました!そして完結でした!
正直三巻目でもう完結になるとは思っていなくって、新刊が読める喜びと同時に寂しい気持ちも大きかったのですが。でもやっぱり楽しみに待っていました。
表紙の紗子さんと伊織さんがぐっと親密なラブラブな雰囲気を醸し出していて読む前からどきどき。

はい。
終わってしまったのは確かにとても寂しく残念なのですが、それよりなにより、予想をはるか通り越した糖分高めな展開に、度肝をぬかれました。どきどき。
伊織さん格好いいし紗子さんけなげで可愛らしいし家族や使用人や下宿人の皆も全員いいひとだし頼りになるし、もう幸せいっぱいおなかいっぱい。とっても満たされました。
前巻まで穏やかで頼りがいのある好青年だけど身分の差から常に一歩引いた姿勢を崩さなかった伊織さんが、ひとつの事件をきっかけに開き直った……というか恋心を隠さず紗子さんに接するようになってからが、もう甘い甘い。
当たりは一見ソフトなのですがその実遠慮せずに押してくる伊織さんと、はにかみつつも素直に受け入れる紗子さんの甘々ラブラブな場面がたっぷりあって、あきさんの挿絵もラブラブな場面が多くて、頬がゆるんでしかたなかったです。
伊織さんがささやく愛の言葉のつつみこむような優しさと、微妙な強引さ、強気さ加減がたまらない。つぼにはまります。
甘々とはいえ、深山さんの少女小説文体とあきさんの挿絵はどちらもしっかり安定していて、雰囲気は崩れず奥ゆかしさも失われず美しくふんわり可愛らしいままで素晴らしい。

この一冊で、主役二人の恋の行方、伊織さんのおうちのこと、紗子さんきょうだいの父親のこと、すべてが解決しコンパクトにまとまっているのですが、もう少していねいにひとつひとつの事件を読みたかったな…とか思わないでもなかったのですが。
でもすべてがこの一巻におさまるほどスムーズに解決したのは、ひとえに、伊織さんの予想以上の文武両面にわたる優秀さのたまものだったんじゃ、と私は感じました。特に優秀な頭脳をつかっての波風立てぬ根回し解決の手段がお見事すぎます。さすがヒーロー。すべてが格好良すぎる。
伊織さんだけでなく、特に尚彦君の頑張りもまたかなり光ってました。尚彦君はできる子だと前々から私、思っていましたが、十一歳の少年が姉とおうちと(そしてきっと心にきめた少女のため)ここまでふんばったのはすごい。

ちょっと各話別に感想を!
『困った料理人』
画家志望の時雄さんの幼馴染・料理人見習いの四郎さんがトラブルをかかえて転がり込んできたお話。
なんだかとほほな人としか言えない四郎さんでしたが、結果的に、紗子さんと伊織さんが想いを確かめ合えるきっかけを作った人で。プティング作りの邪魔をしたのとチャラ……にはならないか。あれはちょっと(?)むっとしました。
紗子さんの親友の梨影さんがまた頼れる方で、事件も無事解決。まあ、四郎さんは悪人ではない。
紗子さんの方から、思い切って歩み寄って、ついに想いを通じ合わせた二人。とても満ち足りたロマンティックな場面でした。
その前の、紗子さんを後押しさせた、尚彦君の場面も良かった。りんへの想いを少年として、お家の長男として、きっぱり決意を込めて語る尚彦君格好よすぎます。
そして確かに、殿方と一緒にお菓子作りをしているとか、もうすでに新婚さん夫婦みたいなのですが……一緒にプティングやゼリーを作っているふたりがたいへん様になっていました。
それはゼリーも甘いでしょう!

『それぞれの事情』
伊織さんの元養子先のお家のあれこれ。
お義父さんが分かりやすい身勝手なひとで、冷静で頭が切れる伊織さんにひとつひとつやり込められていく様には胸がすく思いでした。
まさかここで紗子さんを直接前面に出してくるとは!伊織さんと尚彦君の策士っぷりが素敵でした。
カヨさんも、幸せになれそうで、良かったです。伊織さんのお義母さん、素敵な方だったんだな。
あと遠峰男爵が、意外と頼りになる方だったようで。(遠峰氏と言うと、なんだか勝手に悪人というイメージになってしまうのは、きっと『明治緋色奇譚』の影響。笑。)
そして栗はマロングラッセーにするんですかね!(第一巻より)またふたりでお菓子作りにいそしむ姿を勝手に想像してにまにま。

『求婚騒動』
一巻目でトラブルになったご令嬢が幸せな結婚をしたのを確認できて、何よりです。
梨影さんと紗子さんのおめかしの挿絵がかわいらしい!
また新たなトラブルが降ってきましたが。
単なる勝手なお坊ちゃまたちの集団かと思いきや、まあ三分の一くらい予想できてましたが、黒幕の存在が。
思っていたよりしょぼい黒幕でしたけどね……。父を思わせる名に愕然とする紗子さんと尚彦君に、冷静にひとつひとつ確認をとっていき正しい結論へ導いていった星先生がかなり格好良く好きな場面でした。
それにしても父上、想像の斜め上をいく登場の仕方をしましたね……喜劇じみてる。ぼそり。
そして今回もまた、伊織さんと尚彦君の迅速な行動が、事態の円満な解決を導いたのでしょう。本当にこのふたり格好いいな。下宿人の皆も頼りになるなあ。
木刀を持ちだしてる藤馬くんとあとからひとり木刀で素振りしていて皆をおびえさせていたらしい伊織さんにはちょっと笑ってしまいました。
あと鞠子ちゃんの挿絵が!黒目がちでちんまりしていて美少女!
ミツさんとしのさんも、うまくまとまったようで、何よりです。な、尚彦君、知恵が回るなあ……。一週間に一度の催促には笑ってしまいました。
そして確かに、結婚してしまえばしっかり者のしのさんのペースでした。
こういう人間のお父さんには、まあ確かに、役者は悪くはない職業選択だったのかもしれませんね。一年旅を続けて、今回もまた脱落せずについてったんですものね。

『番外編 卒業したら』
一巻目の最後で非常にときめいた、待望の(笑)伊織視点の番外編!!すでに甘々でおなかいっぱいでしたが読みはじめてやったーと心の中で叫びました。
伊織さんの眼から見た婚約者の紗子さんのあまりの愛らしさに、読んでいる私も悶絶……。確かにね、縁談の申し込みがない方が間違っているよね。世間はまともですね。うんうん。ひとり納得している伊織さんが読んでいて笑えてきて仕方なかった……。
「卒業」って、伊織さんの方だと思い込んでいたので。サプライズ!
伊織さんのすっとばしたプロポーズも紗子さんの嬉しそうなお返事ももうすべてがふたりらしくて初々しく幸せでとろけそうでした。
浪漫邸のひとびとは、将来もしばらくは今のまま共同生活を営んでいくようで、そこにもとても幸せな気分になりました。

十二分に満足な完結巻だったのですが、欲を言うならば、下宿人たちそれぞれキャラが立ってて皆大好きなので、それぞれにスポットがあたったお話をもっと読みたかったなー、と……。
あと尚彦君とりんちゃんのその後とか。鞠子ちゃんと年上の王子様とか。
深山くのえさん恒例(?)、主要キャラの小話をつめこんだ短編集、出ないかなー!!


こんなに甘々な少女小説を読んだのはかなり久しぶりな気がしますが、堪能しました。
真面目で奥ゆかしいヒロインもヒーローも私好みであきさんの挿絵もうるわしく、今までの深山さん作品の中でも特に好みでした。長さもまあ適切だったんじゃないかな、と私は思います。
やっぱり少女小説っていいなあ~。
深山さん、次の作品も、期待しています。


ここ一週間それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ルルル文庫

タグ: 深山くのえ 

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