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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『真昼の月の物語』雨の庭 

この三連休私がどっぷりひたりきっていたオンライン小説。

真昼の月の物語』(雨の庭 さま)

魔法と科学技術が共存する近未来風世界。
記憶喪失で自分の意思と無関係に瞬間転移してしまう体質の少女フィラは、新しくやってきた領主で聖騎士団長のジュリアンが、フィラの知人の記憶を奪うところを目撃してしまう。
ジュリアンの行為に反発を覚えるフィラだったが、ジュリアンにはそうせざるを得なかった事情があるようで——。
ピアノ弾きの一途な少女と、重い秘密を抱えた青年騎士は、閉ざされた地で出会い、ぎこちなく距離を縮めていく。
終わりなき戦いと虚飾に満ちた世界、人々の空への強い憧れがいろどる、SFファンタジー長編。
本編完結済。

感想、何かネタバレっぽいものも最後の方混じっているので一応ご注意ください。

印象的なタイトルの響きとあらすじに惹かれて読みはじめたお話。
シリアスで物悲しさただよう世界観と、主役カップルふたりのじれじれな関係がとても良く、読み進めるごとにはまってゆきました。
『真昼の月の物語』というふしぎで儚いタイトルがお話の雰囲気にとても良く合っていて、次の話へ次の話へクリックするごとに表示される各話タイトルの響きもすてきで、うっとりひたれました。

フィラは天才的ピアニストで記憶喪失で本人も知らぬ力を抱えていたりするのだけど、基本的に、ただ、普通の女の子。
普通の女の子としての美質がとても素敵なヒロインでした。一途で芯が強くて働き者でお人好しで。
対するジュリアンも、最初の印象はあまりよくありませんでしたが、真面目でストイックで分かりにくく優しい。ハイスペックさも努力のうち。
とても私好みなヒロインとヒーローで、これはもう応援するしかない!
あとフィラの古くからの友人で神様・猫姿のティナが、フィラのペット兼保護者のような存在で、とても頼れて可愛らしくて良い味出してます!ティナとジュリアンの、フィラをはさんで微妙だけどお互いを認め合ってる関係も面白い。

少し現実世界の何かが入り混じった異世界、辺境の平和なユリンの地、気さくな聖騎士団員たちの重い宿命。
近未来SFな要素が少しずつ明かされてきてどきどき。一回読んだだけでは、私には世界の成り立ちの半分も理解できていないのだけれど。理解よりもとにかく話の続きの方が気になってたので!リサの本名とフィアの桜餅、そういうことだったのか。
同時に、少しずつ明かされてゆくジュリアンのさだめはあまりに重たく残酷で、淡々と自分の役目を受け入れている姿が切なくて。

そんなジュリアンと、不器用に時に反発し合いながらも少しずつ少しずつ心を通わせ合い、あたたかい情をはぐくんでいくフィラ、このふたりの姿が、もう、本当に良かった!!
一曲きりのダンスの場面も、そんなのありなのかという求婚の場面(この時点では政略結婚だけど、けしてそれだけではない付随する関係の色々が美味しすぎる)も、水族館でのデートも、フランシスに手引きされた夜の場面も。
自分では彼女を不幸にするしかない心にストッパーをかけつつも、フィラに惹かれていく気持ちをきっぱりは隠してないジュリアンの態度がものすごくときめくんですけれど(笑)。普段のジュリアンの姿との落差に驚愕する部下たちはじめ周囲の人間の姿が楽しすぎる。
レイ家のご両親と交流を深めてフィラがジュリアンのわだかまりを溶かしてゆく過程も良かったです。ばりばり国家の要人なのですが、このご両親なんか好きだな。食事を交代制で作ってるって……。
物語のシリアスさに比べると、人間の交流自体はいくらかあたたかくて優しいもので、読んでいてほっこりできました。
なんか、ジュリアンってこんなだけど周囲の人たちに愛され心配されているんだな~と、実感できるのがよいですね。

個人的にいちばん印象に残ったのは、第三話『狂った旋律』のfile3のお話。
フィラの危機を救うためすべてを捨てて自らの力を解放させ暴走したジュリアン、皆がもうだめだと思ったあそこで、目覚めたフィラが、ジュリアンを信じ優しくなだめておちつかせた場面。ふたりの間の愛があまりに美しくて、読んでいて静かに涙があふれました。
そしてその少し後、まさかこのじれじれカップルがそこまでいくとは、私は正直思っていませんでした。どきどきですね!
ふたりの関係の優しくて甘い変化と、ジュリアンの心の持ちようのきっぱりした変化に、また涙があふれてきました。
ここ以降のふたりは、なんかもう、ティナの言う通り、所帯じみてきてます。いや、確かに夫婦なんですけれど。
相変わらずシリアスにつき進んでいくお話の中、ふたりの甘い雰囲気は心の癒しでした。

最後の章は、まさにジュリアンとフィラ(+ティナ)、ふたりきりの世界の果てまでの旅の物語。
決着の地に着いた時、引き裂かれる予感を抱いてお互いの存在を不安に求めるジュリアンとフィラが、切なかったです。
魔女関係のあれこれの真実、なんとなく彼女たちはこんなだったんだろうな……というイメージに近く。
サーズウィア、空がぱあっとひらけていくイメージが私の心にいっぱいに広がりました。なんて美しい。
ティナの選択にまた泣きました。
心に染み入る良いラストでした。

脇役キャラも魅力的だったのですよ!
聖騎士団のリサとカイのふたりが特に印象的だったでしょうか。気さくで親しみやすいお姉さん……と単純には言い切れないリサが最初の方から私は大好きで、彼女の抱える欠けたものが悲しくて。リサとカイは、これからどういう道を進んでいくんだろう。
ランティスさんもフェイルさんも格好良かったな!
モニカとエセルの事務担当女性コンビも好きでした。アップルパイの話にときめきました。上司のフェイルさん込みで。
フィラの姉妹のフィアも、ジュリアンの家と対立した家の御曹司ながら友人でもあるフランシスも、ジュリアンの両親も、フィラの亡きお師匠さまエステルも、ユリンの養父母も友人たちも、みんな良い人たちでした。
本編では脇役キャラのその後の物語がほとんど語られていないので、色々気になること盛りだくさんです。
番外編でそのうち読めると良いなあ。
特にフィアとフランシスのカップル(?)は気になる。
リタとフィラの光の巫女親友同士のお話も読みたかったです。リタさんなかなかはねっかえりのご令嬢だったみたいで。

番外編のクレイグさん視点から見た平和な恋人たちの語らいに、また目頭があつくなりました。
フィアはピアノで食べていける娘だし(ジュリアン視点の番外編で特にそう感じました)、ジュリアンはもう、なんでもできるひとだから、心配はしていないです!


本当はもう少し読み返してから感想を書きたかったのですが、でも今日書きたかったので書いちゃいました。
まとまりがなくて申し訳ない。書いていて楽しかったです。
じれじれもどかしいロマンスが好きな方にはとてもおすすめ!


一昨日と昨日とそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: オンライン小説

タグ: 雨の庭 

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