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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『魂織姫 運命を紡ぐ娘』本宮 ことは 




繊維産業を誇る白国において、天蚕の糸引きに従事するのは地方から集められた少女たち。
水華は、そんな紡ぎ場で働く一介の紡ぎ女だった。
ある日、千人を超す紡ぎ女が集められた広場にやってきたのは、国の若き王。
機織りの腕を買われた水華は、神に仕え、王のために布を織る「織姫」に任ぜられる——。


本宮ことはさんのホワイトハート文庫の新作。
中華風な世界を舞台に、糸紡ぎを生業とする村娘がヒロインの、ファンタジー少女小説でした。

しっかりと作りこまれた世界観、糸紡ぎの生業、とてもていねいな描写で、神秘的な雰囲気もよく、惹きこまれてしまいました。
前半部分の紡ぎ場の娘たちの暮らしぶり、後半部分の織姫となったヒロインの特殊なお役目と暮らしぶりの描写も、息づかいが感じられて素敵。ファンタジーを読んでいるんだなあ……という満足感が。
紡ぎ女の少女たちの過酷な労働と扱いのひどさに憤りつつ。

ヒロインの水華は、真面目で謙虚な働き者で、何より紡ぎの仕事が大好きな、私好みのよいヒロインでした。
力を持たない鄙の紡ぎ女ではあるけれど、色々ちょっかいを出してくる周りにすぐには流されない芯の強さや賢さを持っていて、読んでいて安心できる娘でした。
糸紡ぎ、魂織姫の神の領域にもつながる、素朴で清らかに澄んでいるたたずまいが、心地よかったです。
自然体で、特殊な「織姫」のお役目に順応してしまえるあたりが、すごいです。
繭から糸をつむぐことへの彼女の思いに心が残りました。

水華の生活、人生を変えてしまったのが、若き王との出会い。
彼女自作の巾着袋をめぐるやりとりにははらはらしました。水華への他の少女たちの陰湿ないやがらせはひどいけれど、彼女たちの気持ちも分からないでもなく……もやもや。
少女たちの命を助けてほしいと王に談判する水華、勇気を振り絞っている彼女をそんなにいじめなくても……と、王様に憤ってました(笑)。
そんな感じで第一印象はあまりよくなかった王様ですが、織姫となってからの水華の元に通うようになり。
尊大さにかくされた彼の孤独さや繊細さや優しさといったものに触れて、甘さはほぼないままに、少しずつ心通わせていく水華と王様のふたりが、良かったです。
このひとも、私の好きなタイプ、気難しいけど実は分かりにくく優しいストイックなヒーローという感じがしてきました(笑)。
余だけは、汝の名はけして忘れぬ、なんて、殺し文句じゃないですか。
ラストで水華を助けに来てなりふりかまわずかばった姿も格好良かった。
現時点ではほんの少ししかおもてに出てきていない水華の胸の淡い想いが、今後どうなってしまうんだろう。

水華の亡くなった友人と、彼女の死を探る青年、王の弟、色々気がかりな謎が散りばめられていて、不穏、ですねえ。
水華の親友の葉青や、同郷のお嬢様美友ちゃんも、このまま何事もないとよいのですが。

くまの柚子さんの挿絵がかわいらしく素朴で純な娘たちの雰囲気がよく出ていて、良かったです。
水華が泉に身を沈める場面の挿絵が神秘的でとても素敵。

私がイメージするホワイトハートらしい骨太なつくりのファンタジー少女小説。堪能しました。
まだ物語ははじまったばかりという感じ。続きを最後まで無事に読めると良いです!

初回限定ペーパーの小話も読みました。
本編の段階でも思っていたけど、王の側近がなかなか味があっていいひとだな。水華への心配りも常に行き届いていたし、愛妻家らしいのも好ましい(笑)。
王にとって水華の存在がこんなにも大きく救いだったのだと知って、胸がきゅうっとしました。


ここ一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 本宮ことは 

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