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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『かくりよの宿飯 二 あやかしお宿で食事処はじめます。』友麻 碧 




『かくりよの宿飯』シリーズ第二弾。
あやかしの住まう隠世の老舗旅館天神屋に、亡き祖父の借金のかたに嫁入りさせられそうになっていた葵。
鬼の大旦那様以下あやかしたちに「借金は働いて返す」と宣言した葵は、若旦那の銀次に助けられつつ、天神屋の離れについに食事処「夕がお」を開店させる。
しかし天神屋の中でも鬼門中の鬼門とされていた立地条件の悪さ、葵を良く思わない輩の営業妨害、予算削減など、「夕がお」の前途は困難ばかり——。


『かくりよの宿飯』、続編が出てくれて嬉しいです!
表紙が相変わらず可愛い。手鞠河童!
そして丸顔の可愛い女の子が誰だかずっと分からなかったんですが、そうか、春日か。

タイトルの通り、隠世の天神屋の離れで、食事処をオープンさせることになった葵の、奮闘記の巻でした。
一巻目に比べてお話もキャラクターもしっくり馴染んできて、次々出てくるあやかし好みのおいしそうな食べ物もパワーアップしていて、とても楽しく読めました。
読んでいてのほっこり幸せ感がとても良かった。

葵にとってはやっぱり大変なことも多いのですが、あやかし達の中にも味方が徐々に増えてきていて、そういう意味ではいくらか安心して読むことができました。
芯が強くてしぶとくて、義理堅くて実は底抜けのお人好しな葵が、やっぱり大好きなヒロインです。
あやかしたちが彼女に徐々に心をひらいてゆくのも、葵の作るご飯に加えて、葵自身の人となりによるものも、大きいのではないかな。
穏やかで気配り上手の銀次さんはやはり頼りになるし、突然の襲撃者を撃退したかまいたちのサスケさん格好良かったし、気ままな女友達のようなポジションになったお涼や春日たちもにぎやかで良いし。
松葉様はもう孫に無条件に甘いお祖父ちゃんみたいな感じがするな……。
新キャラの白夜さんも、厳しいけれどけしてそれだけではないお人で良かったです。
あんな場面を目撃されてしまったらそれはもう……。普段の姿とのギャップがね。
しかし暁や銀次さんまで白夜さんにおびえて挙動不審になっている姿がちょっとおかしかった。

そして大旦那様も、一巻目のいまいちつかみどころがなかった姿から、少しずつ、葵への情が見えてきたように思えて。
婚約者であることを葵が否定しようとするのをいちいちさりげなく遮ったり、お弁当食べたそうなそぶりをちらちらしたり、葵の自覚なしのスルーに地味に傷ついてたり、さらわれ閉じ込められた葵のことを、お役目を抜け出してまで救いに行ったり。
ひとつひとつの場面が可愛くて格好良くて、読んでいてきゅんきゅんしました。
葵を籠の鳥にしたいわけではない、いずれ花嫁になる人間だから、隠世のことを知らねばならない、と幕間で白夜に語る大旦那様の言葉がいちばん心に残りました。
こんなにも、このひとは、葵を娶る覚悟をすでに固めているのか。借金のかたにしかたなしに娶る花嫁ではなく、地位高い鬼神の対等な妻として。

対する葵の方は、まだそちらの方に気持ちは向いてないのかなあ。
ただ、人間でありながらあやかしに嫁いだ律子さまと夫の縫ノ院様のおふたりのエピソードが今回印象的で、このひとたちの存在が、今後の展開の伏線のひとつなのかしら。
この高貴なご夫婦の仲睦まじさ、可愛らしさには読んでいてほっこり和みました。
律子さんの葵への贈り物も。
律子さんの身の上話、彼女の場合はそういうことかー。縫ノ院様格好いいなあ。
葵は今のところ、人の世への執着がかぎりなく薄い感じがするので……、なんかそれはそれで切ないのですが、ロマンスを期待する読み手としては、自らの居場所を確立したそののちにお嫁入りするのも、ありなんじゃないかな、と思っちゃいます。

今回お食事処開始編だけあって、美味しそうな食べ物のオンパレードでした!語らせてください!(笑)
まずお話の序盤のおにぎりパーティー。
味噌とマヨネーズで焼いた海老おにぎり、カレーコーンおにぎり、きんちゃくお稲荷さん、シラスご飯の味噌焼きおにぎり……。
カレーとコーンの甘みが絶対美味しいですよ。刻んだカレールーとカレー粉で味付け、ちょっとした芸が細かい。
大旦那様と銀次さんとのお出かけで食べていた星ヶ枝餅にとり天もおいしそうでした。
鳥のむね肉の天ぷら、前々から一度食べてみたいのです。モモ肉の唐揚げよりあっさりたっぷり食べられそう。
白味噌のポテトサラダもあっさりしてそうでよいです。ほっこり顔がほころぶ、確かにポテトサラダってそういう食べ物だな。
お麩をつなぎにハンバーグを作ってもおいしそう。サスケ君の食べっぷりが気持ち良かった場面でした。
大旦那様との秘密の場所?の温泉卵とラムネの組み合わせも、絶品!
薄荷坊さんへのお弁当も、手間暇かかっていて素晴らしかったです。お涼の真面目な仕事ぶりが見えたのもちょっと良かった。
薄荷坊さん、『ハクメイとミコチ』という漫画に出てくる某キャラクターのイメージ……。実は物腰穏やかなところとか。
葵と銀次さんの異界珍味市へのお出かけも、楽しかった!こういうの大好きです。チョコレートとカレーはやはり中毒性がありますよね。
律子様夫婦へのお料理も、隅々まで葵の心配りが行き届いていてとても魅力的でした。
炭酸水の角煮本当に美味しそう……本当にごはんがあいますよね。豆腐はちみつの白玉もチョコの白玉も風変わりでおいしそう。
そしてついに和食の枠を超えてパンつくりまではじめてしまった葵が本当にすごいです。
確かに私も、こうまで和食続きだったとしたら、そろそろパンが食べたくなる頃合いになってたのかもな。

(しかし今回出てきた食べ物の中で私がいちばんつぼにはまったのは、大旦那様が絶妙のタイミングで袖から出してきたどら焼きでした。なぜどら焼き持ってたんだ!まさかそこまで計算していたの?)

ただ楽しいだけではなく、葵を狙う手ごわい敵もいる感じで、気がかりですね。
ダルマの嫌がらせから発展してしまった事件で、ダルマの板前に対して葵が放った言葉があまりに彼女らしくて、ちょっと笑ってしまいました。とうとう板前まで陥落してしまったか葵……末恐ろしい(笑)。
寝込んでいた葵への、お涼と春日の若干微妙な贈り物も、あれきっとすごくレアなんですよね。銀次さんの驚愕が印象的でした。
銀次さん、銀次さんの過去もけっこう訳ありみたいですね。今後葵たちにどうかかわってくるのか。

葵のおじいちゃん史郎さん、今回も昔語りの中で抜群の存在力を放っていて、ある意味最強です。
物語の中のダークヒーローとして活躍していたり、若かりし日のサスケさんとやんちゃしていたり、白夜さんに敵視されていたり、自由奔放っぷりがすばらしく格好いいなあ、もう。
祖父のろくでなしさに脱力しつつも今でも祖父に変わらぬ愛情を抱いている葵が良いですね。

これはきっと三巻目も出ますよね。楽しみです。
読んで幸せになれるお話でした。おすすめです。

そしてこの本を読んでいたタイミングで百貨店の九州物産展についふらふら遊びに行って、星ヶ枝餅のモデルなのでしょうか、梅ヶ枝餅を買っていただきました。
皮がこうばしいまるい焼き餅で美味しかったです。ごちそうさまでした。


昨日記事に拍手くださった方、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

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