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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『おこぼれ姫と円卓の騎士 再起の大地』石田 リンネ 



『おこぼれ姫と円卓の騎士』シリーズ第13弾。
ウルク帝国にて、砂漠の女神が告げた「沼地の魔物」の意味もわからぬまま都に戻ろうとしたレティたちを、カリム皇子の兵が阻止してきた。
何か不穏なものを察したレティだったが、帝都で分かった事実は兄のフリートヘルムが死亡率の高い流行病に倒れたこと。
調停役、およびにカリム皇子と協力して病への対策にあたることにしたレティに、軍師ゼノンが近づいてきて——。


『おこぼれ姫』シリーズ、前巻からのウルク帝国編後編のおはなし。
前巻ラストで感じた通りに、フリートヘルム殿下の身が危うくなっていました。
美しい表紙で目をつむる彼の姿が不安感をかきたてる。

プロローグのソルヴェール留守番組小話(前編)。
メルディとシェランが何気にうまがあっているようで、ほのぼの……というと少し違うのですが、このふたりの会話の雰囲気が好き。
シェランの身の上調査、はじめは単純にシェランをレティのお婿さん候補にと考えているのかなとか思っていたのですが、ええっ、そっちの可能性?いや、確かにレティのそばの誰かが考えておくべきことではあるのか?(動揺)

なんて感じで砂漠のウルク帝国。
フリートヘルム王子が病に倒れ、それだけではなく、クレイグ、デューク、アストリッド、レティの騎士たちもひとり、またひとり、身動きが取れなくなり。
騎士王の力を持つがゆえに病にかからないレティは結果、たったひとりで、面倒くさい性格のカリム皇子と悪辣軍師のゼノン、ふたりと腹の探り合い、ぎりぎりのところでの駆け引き。
めちゃくちゃ大変そうでした。ラストまでつぶれずに戦い抜いたレティ、本当に、お疲れ様でした!ですよ。
特にゼノンは読めば読むほどやっかいな敵ですね。
悪事をすることが目的なのではなく、あくまで軍師としての優秀さを追求しているというのが、ただその手段を全く択ばない姿勢が、こんなにやっかいな人間となりえるのか。

ゼノンに打つ手の先回りをされ続け内心冷や汗かきつつも、それでも凛と姿勢を崩さず、持ち前の特殊な力と頭脳とお人好しさをフルに使って、ひたすら病の解決のために奔走し、やがてはカリム皇子の心をも動かしたレティが、やっぱりとっても格好いい!
それでこそ我らが女王様です。
カリム皇子とレティの心の奥底のなにか、国や民や大切なものを想う気持ちやその他いろいろが、重なり合ったと感じ取れる場面があって、それがとても私の心にも響きました。
それにしても虫よけのお香がそんなに重要な伏線だったなんて!(笑)何か意味はあるんじゃないかと思ってはいましたが。

カリム皇子のラストのレティへの「書簡」、永遠の友情宣言、なんだかとても爽快で一気にいろいろなものが報われた場面でした。
後々の世で深読みされすぎて恋のエピソードになっているのに笑いつつもしみじみ良かったです。
レティの「愛人王」伝説のピースのひとつですよね、確実に(笑)。
さすがに国に恋をした神官皇子さまは、レティの騎士にはなれないか。
レティに魅了されたも同然でしたけどね。レティが女神さまそのものみたいですもん。やっぱりイメージ的に。

デュークの出番が少ない……。でも行き詰っていたレティの力を適度に抜いたデュークはさすがです。
プロローグでメルディが不穏なこと言ってますが、やっぱりレティにとって、デュークのかわりになれるひとなんて、誰もいないんじゃないかなー。と思っちゃいます。(それともメルディはふたりの気持ちに気づいたうえであの可能性を考えているんだろうか……うわあ。)
クレイグもアストリッドも出番少なかったですが存在感はありました!アストリッドの身体能力が回復して良かったよかった。

ラストのフリートヘルムお兄様とゼノンの約束が不穏すぎる。
妹大好きで身の上を心配し支えようとするフリートヘルムは真実の姿だけど、やっぱり有能な第一王子としては何もかも納得したうえでのことではないんじゃないかな、とかも思ってしまうわけで、ゼノンの話の運び方が巧みすぎて寒気がします。

フリートヘルムと言えば、今回は、イモでした。イモのインパクトが強すぎて他のことがだいぶかすんでしまいました。
前巻のイモの皮むき伏線がまさかこんなところで回収されるとは。意外性がこのシリーズの面白さの一つですね。
あとなにげにフリートヘルムを親身に看病してくれていたメイドさんの存在が気になったのですが、特に意味はないのかしら。

そのころのソルヴェール国(後編)。
メルディの「本音」にレオンハルトと一緒に本気でずっこけました。
そしてアストリッド帰ってこい!と内心願うメルディに、このふたりの友情の進展を感じました。

次回はレティのお誕生日、王女の休日のお話のようで、殺伐とした環境で奮闘を続けるレティに、どうかほのぼの和むひとときをプレゼントしてあげてください……!
そしてもう少し糖分を!全然足りない!(笑)

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カテゴリ: ビーズログ文庫

タグ: 石田リンネ 

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