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『シンデレラ伯爵家の靴箱館 彼方の乙女は愛おしき』仲村 つばき 




『シンデレラ伯爵家の靴箱館』シリーズ第六弾。
「ガラスドーム」の靴職人の娘エデルと、店のオーナーでシンデレラの血をひくディセント伯爵家令息のアラン。
お互いの気持ちを確かめ合ったふたりだが、アランの父のアルヴァは身分の違いという理由以外でも、ふたりの結婚にいい顔をしない。
アランの焦りを感じ、自身もまた悩むエデルは、故郷に墓参りにゆくことに。そこで父親であるレイに不穏な提案を持ちかけられ——。

『シンデレラ伯爵家の靴箱館』、ブログであまり感想を書けぬままにきてしまいましたが、ずっと読んでいました。
一見傲岸だけど仕事熱心で堅物な貴族令息アランと、内気で気弱だけどこつこつ頑張り屋の職人で芯の強いエデル。相思相愛のふたりが、色々ちぐはぐでかみ合っていないようにみえて、純情で優しい心根はぴたりと重なり合っていて、少女小説として安心してときめくことができます。
奥手同士の恋はときにとんちんかんにすれ違い笑いを誘うこともありますが、それもまた味のうち、ということで。
おとぎばなしとオーダーメイドの靴をからめてお客様の女性の心に寄り添うストーリーも、毎回堅実的で具体的な靴づくりの描写や逸話や読んでいてとても楽しいです。
安定の王道ラブコメ&ファンタジー。
あきさんのやわらかなパステル調の美しい挿絵も毎回とても楽しみです。
特に今回は主役カップルならびにエデルの両親のロマンスが良い感じに重なり合わさっていて、非常に私好みの一冊となっておりました。

前巻から続いて、エデルの父である魔術師レイのたくらみの全貌が明かされ、ついにエデルとアランは正面きってレイと対峙することに。
これまでの令嬢たちになしてきたことを考えると簡単に許すことなんてできそうにないですが、まあ、こうしてみてみると、レイ自身も、魔術師の悲しい過去にゆがまされて、苦しんできた一人であったんだなあ。と感じました。
ヴァイオレットとの、本当の意味では心通わせられなかったロマンスが、切なくほろ苦い。
確かに、心が子どものまま、きらきら虚飾に満ちた関係で会っていたふたりも、悪くはなかったのですけれどね。
赤い靴を贈ったというレイの真意に改めてぞっとしました。
今回こういう結果になって、それをなしたのがヴァイオレットとの娘だったのが、なんともいえない。
ヴァイオレットに免じて、心安く今後は過ごしてほしいな、と感じました。

アランとエデル。
恋人同士である前に、「ガラスドーム」のオーナーと職人という仕事の面での上司部下関係がきっちりしていてお互いけしてそれを逸脱しない真面目さが、私はとても好きです!こういう前提があってこそ、身分違いの恋愛に安心してときめけるものですよ。私にとっては。
セスさんが戻ってきて、ガラスドームの環境がきりっとしまってとても良かったなと思いました。
白鳥の気持ちに……云々のアランとエデルふたりからの相談に答えるセスさん、あきさんのあとがきもひっくるめておかしくて、もう!!
年上好みという嗜好以外はきわめてまともにソフトなアドバイスができるセスさん、得難い存在です。
そしてアランの斜め上の発言に頭を悩ませつつ、それでもそれを素直に真剣に受け止め、最後にはふわっとロマンスとして上手く軌道修正できるエデルが、毎回すごすぎるとひそかに感心しています。
白鳥と花嫁と星空のワルツ、コメディの一小道具かと思いきや、切ない物語でした。確かにレイとヴァイオレット、そしてアランとエデル達にも重ね合わせてしまうような。
孔雀の話もなんかどうしてそっちにいくのか……笑っちゃいました。
でも今回一番私のつぼにはまったのは、ディック君のスタミナサンドイッチを、どうやってポケットに入れていたんだエデル……というひそかな突っ込み(笑)。
あきさん挿絵のエデルのストライプのエプロン、可愛くて素敵だなあと毎回ながめているのですが。

エデルの父親ほどではないにせよ(?)、アランの父親のアルバも相当な曲者っぽい。
こんなお父さんに遊ばれる生真面目な息子はとても気の毒だな……。
イラストがとても渋く色っぽくて素敵でした。
エデル本人にはむしろ好感情を抱いてらっしゃると思うので、なんとかならないかなあ。
身分違いとはまた根本的に違う複雑な問題なので、確かにこれは難しいですね。
少女小説なので、なんとかなると信じていますが。
ダリヤお母さまも強く格好いい女性であるという空気がひしひし伝わってきます。
そしてルディアがね、私ルディアが毎回大好きなんですけれど、なんていいこなんだろうと今回本当に感動してしまいました。
ディセント家の家族でひとりエデルの全面的な味方として頑張ってくれてる貴族令嬢ルディアが大好きです。
奥手なお兄様で遊んでいるのはもうご愛敬です。この兄妹楽しいなあ。
ルディア自身にも、幸せな恋をしてほしいなと思います。

シンデレラの「硝子の靴」が、現在はそういうことになっているのかと、感心。シンデレラのかつての想いにぐっときました。
レイとの戦いに、孤軍奮闘するエデル、そしてここぞというタイミングでびしっと現れエデルと共に戦いぬいたアランのふたりの場面が、とても良かったと思います。
決めるときはきちんと決められるアランが格好良く大好きです。

「ガラスドーム」の日常のひとこまで、ひまわりが好きという初々しいご令嬢にエデルが靴を作る一連のエピソードも、とても好きでした。
ご令嬢やお母さまのごくふつうの戸惑いと愛情にゆれる心にそっと寄り添える接客と靴が素敵。
ドレスを作るのとはまた少し違う過程と工夫がある、オーダーメイドの靴。流行の作られ方になるほどと。なんだか憧れちゃいますね。

あとリリーローズとエデルのやりとりもほんわり心和む場面でした。
リリーローズが今の仕事に幸せそうでよかったです。
そしてエデルを送り出したときのあの仕草、あきさんの挿絵が本当に可愛らしい。彼女の真心がこもっています。

どうやら次回が完結巻のようで、ちょっと寂しいのですが、読めるのが今から楽しみです。


昨日記事に拍手くださった方、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ビーズログ文庫

タグ: 仲村つばき 

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