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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『チョコレート・ダンディ~可愛い恋人にはご用心~』我鳥 彩子 




公爵家の嫡男オスカーは、頭脳明晰・容姿端麗な完璧な貴公子だが、極度の女性不信。
そんな彼はある日友人のユーディにそそのかされ、小説家志望の孤児の少女アデルを匿名で支援し、彼女が贅沢に堕落せず夢を叶えられるかどうか、という賭けにのってしまう。
最初はすぐに勝負は決まると思っていたオスカーだったのだが、豪華な贈り物攻撃にまったく興味を示さず愉快な手紙を送ってくれるアデルに、戸惑いながらも心惹かれていき——。

コバルト文庫の初読み作家さんのお話。
大好きな『あしながおじさん』をモチーフにしたお話だとネットで見かけて、表紙イラストも可愛らしく、飛びついてしまいました。

可愛らしい雰囲気で、かる~く楽しく読めるラブコメ少女小説でした。
主役ふたりがどちらも愛すべきヒーロー、ヒロインで、身分差&年の差カップルの仲の進展を楽しく応援して読んでいけました。
私の中のイメージは、気取らず優しい甘さと口どけを堪能できる、スイートミルクチョコトリュフの詰め合わせ。甘いリキュール入りのチョコもひとつふたつ入っていたりして。

第一話は雑誌に掲載されていたらしい『あしながおじさん』をストレートになぞらえて書かれたお話。おじさま(オスカー)視点で。
作者さんの原作アレンジをあれこれ「ここはそういくのね~!」とかうなずいたり発見したりしながら読むのが、楽しかったです。
あだなは「チョコレートおじさま」ときますか。可愛いではないですか。ふふふ。
オスカーの女性不信こじらせっぷりが半端ない。
アデルのこともなかなか信じられずうがってみている割に、彼女のことが気になり学園周辺に出没し続け、態度を失敗して落ち込んだり手紙の方の自分に嫉妬したりするオスカーが、究極的に面倒くさい(笑)けれど可愛いです。ほんとうにいいひとなんですよね。
身分をばらされて涙をながすアデルを優しく抱きしめて慰めるシーンは、とても良かったです。
贈り物を突っ返し続けるアデルの姿を見ていて、オスカーが、これまでの女性が自分を裏切っていったのは、もしかして自分が当然のように高価なものを贈り続けていたからというせいもあったのでは、とか気づく場面も、シンプルで良かった。

わりとあっさり正体がばれて、あっさりめでたしめでたし……かと思いきや、アデルの小説家ライフの糧としてお付き合い開始とは面白い展開な第二話、第三話。
アデルの恋愛面での経験値の低さや年の差などのハンディを考えると、ちょうど良かったのではないでしょうか。ね。
第二話は『シンデレラ』モチーフでしょうか。夏の避暑地はあしながおじさんワールドですけれど。ひと味違う展開になってました。
アデルのルームメイトはふたりともアデルに好意的だし(配慮したオスカーナイスですね)、リンディアお姉さま最高に素敵だし、と来たところで、ようやく(?)アデルをさげすみの目で見る意地悪なご令嬢が登場。
苦境も小説のネタとして喜んでかぶり悪感情を持たないアデルの風変わりな前向きさ、パワフルさが素敵です。
とはいえ心の中には普通の少女としての戸惑いや身の上のひけめみたいな気持ちも隠していて、ひっくるめてすべてを応援したくなる女の子だなと思いました。
そしてピンチのときにちゃーんと助けに駆けつけてくれるオスカー。
猫口調の魔法からさっと解ける場面が、実際に魔法にかかっていたわけじゃないんですが、だからこそ、素敵な場面でした。
確かに猫のアデルがなんか色々可愛すぎました……突然出てきたオスカーのヘンテコ教師口調と恋人らしいふるまいもときめきました。
子どものころから女王陛下の乗馬大会で優勝し続けてきた、という嫌みったらしかった自己紹介設定が、まさかこんなところできいてくるとは。

そしてアデルの実の家族騒動。
ちょっとしたひっかけが二重三重になっていて、最後には、ああ、そういうことだったのか!と。あしながおじさんといえば、な手紙ネタも、最後まで意外なところできいてきて面白かったです。
じいやさんの行動とオスカーへの愛情にしんみりしてしまいました。
ユーディさんとリンディアさまの身分違いの恋も、前途多難そうですが、ユーディ氏は確かに相当したたかな方のようなので、きっと自力でハッピーエンドをつかみとるのだと信じています。
女王陛下もなんか可愛い方でした。オスカーとの関係が和みますね。

そして大人気作家になったアデルに構いたくても締め切り前にはすべて後回しにされ、アデルの修羅場明けをレース編みをして待つようになったというオスカーの未来図も、ちょっと見てみたかったです(笑)。まさか本当にレース編みをはじめるなんて思ってなかったじゃないですか。もしかしてアデルのネタ作りの一環?

バレンタインシーズンの読書にはぴったりな、楽しい少女小説でした。
『あしながおじさん』原作がお好きな方にはいっそう楽しいと思います。


ここ数日にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 我鳥彩子 

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