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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『金星特急 1』嬉野 君 




絶世の美女「金星」の花婿に選ばれれば、この世の栄華は思いのまま。だが花婿候補を選ぶ特別列車「金星特急」に乗って、帰ってきた者は誰もいない——。
一目惚れした「金星」に会うために、東京駅から金星特急に乗り込んだ少年・錆丸。
やたらに腕が立つ正体不明の不愛想男・砂鉄と、天然大喰らいの美貌の騎士・ユースタスを仲間に、途方もない旅が幕をあける。


前々からネット上でお知り合いになった皆さまの間で評判が高く、ずっと気になっていたシリーズ。
絶対面白いに違いないと思いつつも例のごとくシリーズ最初の方だけ積み本になっていました。
なんか、現実を忘れられるような面白いファンタジー少女小説シリーズを読みたい!という気分になり、ようやく手に取って読みはじめる。
…………。
めちゃくちゃ面白いじゃないですか!!!
前半3巻を数日かけて読んでいき、後半4巻に至っては、どうしても途中でやめられなくて休日2日かけて一気読み。
これでもかという濃密なストーリーを一度にぶわっと詰め込んでしまったのでくらくらむせ返りそうになりましたが、でもしょうがない、面白いんですもん。

生死の境ぎりぎりを駆け抜けてゆく金星特急、ジェットコースターのように目まぐるしく謎が謎を呼ぶ展開、現実の世界のようで言葉や国の詳細や微妙に齟齬がある世界観、魅力的なキャラクター。
残酷で美しくてひりひりと切ない。そんな世界だからこそ、ひとのぬくもりがいとおしくてまばゆい。
すべてに惹きつけられました。
私、言語学ネタのお話がとても好きなんですけれど、読んでいるとこの物語、まさにがっつり根幹に絡んでいると分かってきて、さらにいとしさが増しました。

まあ、一巻目の時点では、「面白い!けれど私は少女小説的なロマンスを読みたかったんだけどな……。」とか内心思っていたんですけれどね。サバイバル冒険活劇。
読み進めていくごとに、ちゃんとロマンス色は増してゆきました。むしろこの点も非常に濃密で、ときめいてときめいて仕方なかったです。

そんな一巻目、まだ旅の序章的な感じ。
濃い夜の闇の中に、華やかなきらめきが残像で残るような独特の雰囲気が、とても素敵だなと思いました。

主人公の錆丸、彼の仲間として旅することになった砂鉄、ユースタスの三人との、顔合わせみたいな雰囲気で読んでました。
物おじしない明るい錆丸が魅力的な主人公でまず好感を。蝶の赤い着物がとても印象的。遊郭育ちというのも少年に独特の魅力を添えている。
砂鉄はこの時点ではひたすら謎で怖かったです。口調も怖い。
白皙の貴公子ユースタス。凛々しくて強くて格好良く優しい本物の騎士様だ!世間知らずなところとおなかに飼っている貪欲なドラゴンとのギャップが可愛らしい。
この三人、錆丸はともかく、金星特急に乗った理由が本気で分からなくて。金星に恋している、この世の栄華がほしい、なんて風にはとても見えず。
砂鉄はまあ何かの目的があるのかなあと思ったのですが、ユースタスは、こんな特急に乗ってまで何物をも押し通すほどの意志が、感じられなくて。錆丸を無条件で守ってくれている感じなのはすごく心強く良かったのですが。

あと一巻目では、なんといっても上海の暁玲さんでした。
あのたおやかな美しさと優しさと覚悟に惚れ込んでしまいました。衣装のからくりにもなんともいえない気持ちに。
「飴」の細工にはびっくり!ユースタスと並ぶと絵になりますねえ(笑)。棗の餡入りってとてもおいしそう。
劉強もなんか嫌いではなかったので、一巻目のあのラストはさっそくシビアで辛かった。

金星特急の試練は車両をつぶされるところから非常にシビアで、砂鉄とユースタスは実戦慣れしていて、ふたりぴりぴりした緊張感を伴わせていて、おおおー……と胸の中で溜息をつきつつ読んでいました。

番外編の、ユースタスと錆丸のほのぼの~とした会話に脱力する砂鉄に、私も良い感じで和んで、読了。
そういえば、錆丸のお弁当は、あの場面への伏線というかつながりがあるんですよね。きっと。しみじみ。

高山しのぶさんの挿絵がまたきりりと美しく格好良く惚れ込んでしまいました。
私今までウィングス文庫ってほとんど読んだことがなかったのですが、紙の質が良いのかしら。美しい挿絵が一層映えます。


なにぶんぎゅぎゅっと濃縮して一気読みしてしまったので感想をどう書いていこうか、でも語りたいことあるし!とか色々迷ったのですが、書けるだけはさくさく書き進めてみたいと思います。
自分の気持ちを言葉で吐き出しておかないと、いつまでもこの世界から抜け出せないわ(笑)。ここまで吸引力のある物語に久しぶりに出会えてとても幸せです。


この二週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 嬉野君 

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