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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『金星特急 4』嬉野 君 




※シリーズ未読の方はネタバレ注意です~。


心臓を貫かれながらも一命をとりとめた錆丸。しかし今度はマスコミにさらわれてしまう。
捜索にやってきた黒曜によって自由を取り戻すものの、金星特急に乗るのは間に合わない。静かに樹になるときをまつ錆丸だが——。
一方錆丸を残したまま発車した金星特急の中で、砂鉄はアルベルトの護衛に雇われ、ユースタスと共に旅を続けることに。


ピンチが去ってまた新たなピンチが続きます。
相変わらず息もつかせぬジェットコースター展開。ますます謎に彩られたストーリーは面白さを増してゆきます。
なんといってもこの巻の時点ですでに無自覚に惹かれあっている砂鉄とユースタスの関係が美味しすぎる。

錆丸が金星特急に乗り遅れてしまい、さてどうなる……と思いきや、夏草と三月の白鎖コンビを雇って、金星特急を追っかけることに。意外な展開。
物静かな活字中毒の夏草に、女好き狂犬三月、全然違うけど超優秀な相棒コンビとの旅は、殺伐としつつも、やっぱりどこか楽しそう。この雰囲気嫌いじゃないです。イスタンブールの街、お祭りの描写もいい!
夏草のけして甘くはないけれどていねいな「先生」としての接し方が、良かったです。自分で考えるって大事だ。
どんどん心も身体も成長していく錆丸の姿がまぶしいです。はったりもきいている。
三月のスパルタ特訓も……うん、錆丸のためなんですよね。

一方で錆丸を失い、金星特急組三人は案の定ぎくしゃく……。
ユースタスを金星特急に乗りこませた雷鳥様の手腕がお見事すぎました。
そして砂鉄への痛烈なひとこともお気に入りでした。ははは。その通りです。
列車が発車し、意気消沈していたユースタスへの仕打ち。いつかこういうこともあるかもな……と思ってはいた展開が、辛かったです。誰も信じられない、いちばん信じたいはずの砂鉄も信じきれない、すわった目のユースタスが悲しかった。
そんなユースタスに、砂鉄が残した氷砂糖が、ね。ぐっときました。
そして犯人を知るや速攻、物騒な土産物を持ち帰ってきた砂鉄にびっくり仰天。このひと本当に無自覚なんだろうか。

とりあえずユースタスの危機が去ったと思えば、今度は砂鉄が毒に倒れる事態に。また絶体絶命のピンチ。
まずアルベルト殿下が、相変わらずえげつないんだけれど、信念のもとためらわずに命をかけて危うい行動に踏み切る姿に、だんだん心つかまされてきました。
なんといっても月長石を追い詰めて心を折ってゆく手腕がお見事すぎる。「この下民が」なんて、世界一殿下に似合う決め台詞だなー。ぞくぞくしてしまいました。伝統ある王族の血塗られた積み重ね怖い……。
そして残されたユースタスと砂鉄、お互いのために信じられないほど身体をはって救い合うふたりの姿がもう!たまらなかったです。ユースタスの涙顔が完全に恋する女の子で。
ついにおもてに出てきたユースタスの不思議な力、銀の魚の場面は、挿絵込みで神々しく美しくて、女神様もかくやという感じがしました。

それにしても、金星特急に鉄道オタクが乗り込んでるなんて、びっくりしました。
レジーさんもイヴァンさんの仲間たちも、これはこれで上手くいっているんだろうな。

黒曜の謎の暗躍があり、夏草と三月、錆丸にまたピンチが。
揺るぎない強さにぞくりとしました。

あとこの巻で嬉しかったのが、上海の暁玲さん再登場。
「金星をひっぱたいてやりたいのです」なんて花の微笑みがあいかわらず素敵で、惚れ惚れします。
錆丸のお兄ちゃん伊織さんも、色々な意味で只者ではない。
ミヤザキさんは、どの場面でも奥さんとよりを戻したい一心で行動しているのが、憎めない。

番外編『チョコレート』は、月氏三人の過去エピソード。
三月の過去の凄惨さよ……最後の最後で情けをちらりと見せた彼が救いでした。
無名さんは、とてもまっとうな育ち方をしたひとなんだな。と感じました。父親、そして砂鉄兄妹への気持ちはそれは複雑なものでしょうけれど。
砂鉄と彗星と母親との生活も読めて良かったです。幼い彗星と彼女を可愛がり守り抜く砂鉄の姿が良い。
砂鉄の父親も生前のエピソードをちらりとでも読みたかったな。
チョコレートは美味しいですね。

金星に集められている女の子たち。マリアの屈託のない親しみやすさが好きだな。



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カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 嬉野君 

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