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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『金星特急 5』嬉野 君 



※シリーズ未読の方はネタバレ注意です~。


夏草と三月を雇い金星特急を追う錆丸。しかしイスタンブールで戦闘集団イェニチェリに捕まり、純国語普及委員会に監禁されてしまう。
正しい世界語の普及を推進する団体である純国普が、錆丸を捕らえてまでなぜ金星の情報について知りたがるのか。疑問を覚えつつも脱走をはかる錆丸。
一方、特急内で毒に倒れた砂鉄は、なんとか一命を取り留める。しかしその直後、突然列車が花婿候補たちを放り出して走り去ってしまう——。


物語の核心部分もだいぶ見えてきて、錆丸の成長がますますまぶしくて、砂鉄とユースタスのふたりの微妙な関係も、すべてに目が離せない!いやあ、面白いです。
相変わらず何か一つ謎が明らかになればまた新たな謎を呼ぶ、物語を読む楽しさを存分に味わえます。

夏草と三月から引き離されて純国普に捕らえられた錆丸ですが、夏草からの教えを胸に、つねに自分で立ち位置を考え冷静に脱出を図る姿が、物理的にとても痛そうでしたが、目覚ましい彼の成長が頼もしくうれしくなりました。
彼が語る金星との出会い、恋に落ちたエピソードが、見つめ合うふたりの挿絵込みで花のように愛らしく美しくて胸がきゅうっとしました。
遊郭育ちで身に着けたスキルと不老不死スキルを最大限駆使して大芝居も打つ錆丸、そして錆丸を結局は見捨てることなく救出に来てくれた三月と夏草との再会!良かったです!(三月の別れ際の台詞にそんなあ。という感じだったので……。)
そして三人の砂の旅は続く。
色々物騒なじゃれあい(?)を経ての、「三兄弟」宣言は、とても良かったです。
三月の機嫌が直ったのを夏草が感じ胸をなでおろすチョコレートの場面が好き。
こんなに危ない人たちのやりとりなのに、和むのは不思議ですが。
錆丸の女装は板に入っていて楽しいな!

雷鳥様と無名組のお仕事。他のどの月氏にも真似できない無名の高学歴コネが格好良かったです。豪放磊落なボスと振り回される苦労性の部下コンビも読んでて面白い……。
博士とハハリ・ジュニアとアルベルトと「バベルの一族」、世界語の謎。パズルのピースがひとつひとつはまってきて、これだけでも読んでいて胸が熱くなります。アルベルトの切羽詰まった願いが響きます。

そして何より、ユースタスと砂鉄でした!!ようやくいい雰囲気だとはっきり言えるようになってきた!
氷砂糖の袋を手に閉じ込めて、うつむいて微笑んでお礼を言うユースタスが可愛らしくてもうどうしましょう、という感じです(笑)。
ていねいだけれど女言葉ではないユースタス独特の口調で、砂鉄に接するのが、澄み切った中にほんのりした色香が漂ってきて、美味しいです。
「うつむいて」というのがユースタスらしいんですよね。ふふふ。それでいて相手への好意が伝わってくるのがもうね。
ナッツ入りチョコレートとの交換(没収)のやりとりも美味しかったです。
砂鉄は、自覚したとたん狭量で独占欲の強さを見せるようになってきて、非常にときめきますね。アルベルトの嫌がらせもよいスパイスというか。
それでいて、「せめて、おびえられずに過ごせることを願おう」なんて殊勝さもあり、ユースタスの心もちゃんと思いやっているところがまた良い感じです。
髪に触れる場面も好き。ユースタスの女の子らしくほんのり照れている表情が可愛らしすぎます。

そんな中で、リオンの呪縛にまた囚われてしまったユースタスが、悲しすぎました。何なんでしょう一体。
アルベルト殿下の観察眼が頼もしいです。
教会でのユースタスの過去語りと砂鉄の今までにない優しさの場面もとても良かったのですが、砂鉄の優しさを信じられなくなってしまったユースタスがやはり悲しくてもどかしくてなりませんでした。
ユースタスの過去をようやくはっきりと辿れましたが、本当になんでこんなに、と憤りたくなってくる、大人の事情に翻弄され続けた幸薄い人生。
実母と実父の愛情の薄さもひどいけれど、継母の最後の言葉が本当に痛い。
こんな生い立ちで、こんなに美しく澄み切った心根を保ち成長したユースタスが、改めて愛おしくてならないです。
幸せになってほしい。

あとヴィットリア王女がまさかこんなかたちでストーリーに関わってくるとは思いませんでした。
ああ、殿下の妹だな~と(苦笑)。
ユースタスを窮地に追いやった原因のひとりでもある王女様でしたが、ユースタス大好きな私でも不思議と憎めない女の子でした。

殿下といえば最初に戻りますが、あの状況下でひたすら銀魚のスケッチにいそしむ学者魂、恐れ入ります……。
そして確かに、看病でくたびれてるところに砂鉄のあの攻撃では、傲岸不遜なアルベルト殿下でなくても腹が立ちそうです。
殿下ますますいい味出してきてます。いいひとと単純に言ってしまうにはためらいがありすぎますが、少なくとも確かにユースタスのことは純粋に気にいってらっしゃるのね。

今回の番外編は夏草、そして鎖様かな。
砂鉄が夏草をスカウトしてきて名付け親でもあったとは、意外でした。
鎖様の夏草への愛情(といっていいよね)に、ほろりとしました。チョコレートソースのアイスクリームおいしそうです。


昨日それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 嬉野君 

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