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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『金星特急 7』嬉野 君 




「金星、君に会いたい」
生放送で全世界に呼びかけ、金星特急をグラナダへ呼び戻した錆丸。
スペイン内戦は止まるものの、一行は敵の追跡をかわしながら列車の到着を待たねばならなくなる。
グラナダを出れば次は終着駅、この世に戻ることはない。覚悟を決め残された時間を生き抜こうとする花婿候補たちと、彼らを助けたい錆丸。彼らの旅の終わりに待つものとは。
そして錆丸と金星の、世紀の大恋愛の行方は。

※シリーズ未読の方はネタばれ注意です!


完結、してしまいました。
読み切った!この濃密な物語を無謀にも一気読みしてしまって(だって途中でどうしてもやめられなかったんですもの)、しばらく放心状態でした。
色々な感情がせめぎあって、読了から二週間くらい経ってもまだ消化しきれてないのですが。

カラー口絵の錆丸と金星、花のような笑顔で見つめ合う姿が最高に幸せそうで、ラストまで読み返してから改めて眺めていると、もう、本当にね……。

最後の金星特急に乗り込むまで。
自分の死を受け入れ行動する花婿候補たちの覚悟、それに関わる戦闘場面でそれぞれの想いを胸に命を懸ける人々の覚悟が尋常ではなく、死闘を繰り広げる中でも精神は凛としていて、読んでいて泣きたくなりました。
錆丸と三月、夏草と伊織お兄ちゃん、砂鉄と無名と黒曜が、印象に残りました。アルベルト以下言語学チームの戦いも。
そんな中でテレビに出てきたユースタスの母、混乱する彼女に砂鉄が差し出した品に、彼のユースタスへの想いの深さを感じてときめいてしかたがなかったです。
ユースタスの「ありがとう、私は、嬉しい」という二度目のお礼の言葉が、ユースタスらしくて私はとても好きです。
一方蜥蜴カメラでこのシーンを見せられ、とうとう砂鉄とユースタスの関係に気づいてしまった彗星。
確かに品が品ですし、えぐいなあ……。
挿絵のユースタスの横顔が、本当に恋する乙女のものでしたので。

ユースタス、再びのリオンの影にどうなるかと思いましたが、ひとりでさらりと決着をつけられた姿に、ほっとしてとても嬉しかった。
彼女の心を強くした砂鉄の存在に、改めてこみあげてくるものがありました。
ふらりと現れた雷鳥様も格好良かったです。

特急に乗り込む直前。
暁玲さんの身体をはっての訴え、彼女の決死の覚悟にただただ圧倒。
絶妙のタイミングでユースタスの前に現れた砂鉄にもときめきましたし。殿下の引導渡しもここまでくると殿下らしいとしかもう言葉が出ない。
何より錆丸をのせて全力疾走した三月の姿が鬼気迫るものがありました。
そのあとの夏草との会話も。
その後、三月が無事で、本当の本当に良かったですよ~!!
黒曜のことを聞いた無名の切なさほろ苦さにも泣きました。
バドルさんと射手座、イヴァンさんにも、涙が。

グラナダを経ってから、金星特急は急にこの世からふわりと浮き上がり、死と生の世界のはざまを走っているような雰囲気に。
皆の打ち明け話、とりわけようやくすべて明らかになった錆丸の生い立ち、金星との出会いと恋、別れのエピソードが胸にせまりました。明るく屈託のなかった彼がこんなに重たく辛い人生を歩んできていたとは。
そんな錆丸を抱きしめるユースタスの優しさも心に染み入る。
ユースタスと言えば、砂鉄のさりげない足の位置にひっそりときめきました。このふたりの関係性、最初から思い返すと本当に変わりましたね。しみじみ。
レジーさんの「青く澄み切った水の下で揺れる炎」ユースタスの秘密と恋心をうたう表現がさすがで美しいです。
その後の砂鉄とユースタスの急展開にはびっくりしましたけれどね!え、え、今、ここで??(動揺)
ふたりの幸せそうに微笑み合うイラストと交わす言葉の優しさに、胸がいっぱいになりました。
どんな場面でも食欲魔人でパンをもそもそ食べるユースタスが相変わらずで可愛い(笑)。

錆丸と金星の再会、金星の正体と運命、その恋の結末は、うーんごめんなさい、やっぱり言葉にはならないです。
英雄になりたかった男の子の願い。
神話の世界の作中劇をぼうっと眺めているような、物語をうけとめる私の心がいっぱいいっぱいでかえってそんな印象になったのかしら。

彗星と砂鉄の再会、ふたりを見つめるユースタス。
死を目前にして迷わずユースタスを選んだ砂鉄の姿を見せられてしまってはね……。
彗星の選択が辛い。彼女を救うために特急に乗ったはずの砂鉄の心を思うといっそう辛くてやりきれない。
もう彼女に関しては、兄への想いをおだやかな形で昇華させることはできないんじゃないかしらと、薄々感じてはいたのですけれど。
育ってきた環境の特殊さが、ここまで兄への想いを募らせてしまった一因なのかなあ、と。
マリアたちみたいに恋の悩みを相談したりアドバイスしあったりできる存在をもっと早く作れていれば、あるいは。とか思わずにはいられなかったです。
そしてそんな場面を見せられては、姿を消すのがユースタスだよなあ。そうだよね……・。
ようやくつかんだ幸せをこんなかたちで自ら手放したユースタスが辛い。この期に及んで誰も恨まず、心の中の愛だけを芯に生きていける彼女の姿が尊くて、せつない。

アルベルト殿下の最期も印象的でした。殿下は最後まで殿下でした。彼に関しては、これで本望だったのでしょう。
ユースタスの殿下への別れの騎士のあいさつが、ユースタスらしくて好きでした。

錆丸を迎えに行こうとするユースタス、そして砂鉄、彗星の花の場面に、涙腺が決壊しました。

ラスト、錆丸と桜、錆丸との両親の再会。それを見守る砂鉄とユースタス。
旅のはじまりの三人そろって再び、錆丸と金星の娘も加えて、の挿絵が、この物語の締めくくりにはやはりふさわしいもので、ほとほととこみあげてくるものがありました。

まとまりのない完結巻感想になってしまいましたが。
外伝で主要キャラのその後を読めて、自分の気持ちに落としどころをつけられたのが、良かったです。


ここ2、3日にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 嬉野君 

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