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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『金星特急 外伝』嬉野 君 




フランス外人部隊の砦に潜入した白鎖の夏草と、瞳の中に虚無を抱える若き中隊長ルイの出会い。
金星の残した不思議な力を回収すべく世界を旅する砂鉄とユースタス。純国普と戦いながら言語の研究を続ける王女と研究者たち、それを護衛する月氏。そして金星との娘を日本で育てる錆丸。
シリーズで語られなかった物語、彼らの旅の後日談を描いた珠玉の番外編集。

いつの間にかブログが、このシリーズの感想で埋め尽くされてました(汗)。
(たぶん)この外伝の感想で最後です!
この記事も、シリーズ未読の方はネタばれ注意ですので、ひとつよろしくお願いいたします。

リアルタイムには叶わなかったけれど、桜の季節に読めて良かった。
最初に読み終えた時点では、桜の花はまだ盛りを少し過ぎたくらいで、電車の窓から外をのぞくだけで、物語の余韻にうっとりひたることができました。
過酷な旅路の果てのラストの再会が、夢のように美しくて幸せで、読んでいて涙があふれました。
いちばん気になっていた砂鉄とユースタス含め、それぞれの後日談、番外編。どのお話もとてもとても良かったです。

『恋人の妹』
アルベルトの過去編に登場したハハリ博士の孫娘エミリーと、ヴィットリア王女、ハハリ・ジュニア達言語学者チームと、彼らを護衛する月氏達。
エミリー再登場嬉しかったです。エミリーとヴィットリア王女のやりとりもとても好き。王女殿下、大人になったなあ……。アルベルト殿下と似ている部分もあり、異なる部分もあり。
危険と隣り合わせの古代遺跡での調査、彼らの学者馬鹿っぷりが並大抵ではなく月氏達ですら手を焼かされていて、うーん、素敵です(笑)。
殿下の手紙のたった一言が、なんて愛おしいんだろう。
一途な人だったんだな、殿下……。
白の一鎖二鎖コンビの、「名前だけは牧歌的な……」には笑いました。私も最初は思ってました。

『Lobo & Blanca』
扉絵でロングコートを着込み、雪の森で寄り添いあうふたりが、まさに一幅の絵のよう。
砂鉄とユースタスが、今ふたりで寄り添い行動を共にしていると知ることができて、心の底から安堵しましたし、寄り添いあうふたりのラブラブさが随所から伝わってきて、私もたまらなく幸せな気分に満たされました。
ユースタスの銀魚をすっかり手慣れた様子で操る砂鉄に度肝を抜かれました(笑)。
対人交渉や不思議の力を用いた戦い方など、お互い補いあい、すべてがすでにしっくり馴染んでいて一対の風情で、ああ、いいなあ。
そしてやっぱり食欲魔人なユースタスに和みました。「あの村の食堂の鹿肉シチューを食べれば、絶対に元気になれると思うのだが」って完全にユースタス基準ですけれど、こんな優しくてちょっと天然な彼女が大好きです。

ユースタスの両親に砂鉄が会いに行くお話。
直接的な言葉はなくとも、行動と両親への台詞のすべてから、砂鉄のユースタスとの将来への意志が伝わってきて、もう。
お母さまの方はともかく、お父上の方は、少なくとも今は、娘の幸せを心から願っているようで、良かったな。
ユースタスの穏やかな笑顔に泣き崩れる伯爵の姿にこみ上げるものがありました。
そしてアルゼンチンの荒野にて。
「私より先に死なないでくれ」というユースタスの台詞が心に焼き付きました。あまりに愛情薄い人生を送ってきた彼女のお願いが重い。それを正面からきっちり受け止められる砂鉄の強さがまたいい。
砂鉄もユースタスも、お互いに出会って、本当に変わったんだなあ。と、しみじみ幸福感をかみしめる。
髪のやりとりもとても好きです。

狼王ロボとブランカのイメージが、砂鉄とユースタスに非常に効果的に重ね合わされていて、砂鉄はもちろん普通の女性のようなふわふわした甘さを持たない凛としたユースタスの姿は、確かに純白のうつくしい野生の生き物のようである。

『骨噛みの酒』
雷鳥様と無名のミニエピソード。
やっぱり格好いいです雷鳥様!
錆丸ですらつかめない、現在のふたりの関係の実際のところが気になります。

『砂の男』
夏草と三月の出会い。
三月が、人でなしなんだけれど、反面純粋で優しいところも心に持ち合わせているというのか、この不安定さに惹きつけられる。
夏草と三月が出会えたことも良かったし、ふたりが錆丸と出会えて、「家族」になることができて、本当の本当に良かった。

『天使』
すみません、正直一読目では誰のお話か、最後まで読んでも気づかなかったのですが。
残酷な環境なのに生々しさはなく、少年と少女のおとぎ話みたいな可愛らしく優しい出会いの物語。

『花の海で』

読み終えた心地を文章にすると、素晴らしかった本への愛は二倍に、つまらなかった本への不満は二分の一になる。
——マリアさんの何気ない場面での言葉に序盤から惚れました。
この一文が決めてで私は、このシリーズの感想を、一巻一巻すべて書き残すことにしたんですよね。

まずは金星のもと集められた女の子達の再会。皆元気そうでとても嬉しい。特にヤスミンが結婚を決めたエピソードがお気に入りでした。バドルさんの影を確認できたのも良かった。
砂鉄とユースタスと彗星の三人のことで、彗星の立場でものごとを見てくれる女の子たちが、この世の中に確かにいてくれている、というのが、なんというか救いになっていてとてもいいなあと思いました。
私もどうしてもユースタスの全面的味方視点なので、よけいにね。クリスティーナの態度は嬉しかった。
錆丸がすっかりいい男、父親になっていて、感慨深いったらないです。桜ちゃん可愛い。いい名前だな、桜ちゃん。
夏草と三月と伊織との兄弟の誓いも良かった。
日本の図書館に通う夏草がしっくり馴染みすぎていてやっぱりそんな夏草が大好きでした(笑)。錆丸の先生でい続けている関係も嬉しい。三月の姪っ子可愛がりっぷりもいい。
そして最後を締めくくるのがやはり砂鉄とユースタスなのも、かくあるべきという感じがして、良かったです。
ユースタスの騎士の誓いが相変わらず様になっていてユースタスらしくてとてもいい!砂鉄のそっけなさもふたりでワンセットだと思えば……(笑)。
お花見弁当が、本編一巻目で錆丸が持参していたお弁当の場面を彷彿とさせて、何もかもが行き着くべきところに行きついたのだなあと、色々な気持ちがこみ上げてくるラストでした。
コートにもぐりこんで甘えるユースタスが本当に可愛らしい。

あと、画集も!



大きなサイズでのイラストがどれも美しい。カラーイラストも多数でこれまた美しくて目の保養でした。
私はやはり、二巻目の背中合わせのイラストと、第4話のタイトルページがお気に入りで。
ユースタスのほんのり女性の空気をまとい完璧な貴公子でもある、境目の美しさがたまらなく好きです。
ヴィットリア王女のカラーも嬉しい。
書きおろしの短編は、夏草とユースタスのにわか探偵コンビがとにかく可愛らしくてほのぼの和みました。
さりげなく砂鉄とユースタスのラブラブな雰囲気が描写されているのも美味しい。
相変わらず食べ物のことばっかりなユースタスが可愛い(笑)。確かに砂鉄は苦労しているんでしょうね……。
欲を言えば、ユースタスのドレス姿をイラストで拝みたかったです。


この物語に出会えて良かった。幸せでした。
私がこのシリーズを読みはじめてからお声をかけていただき、感想、作品への愛をを共有していただいたネット上の皆さまにも、大感謝!!


きのうそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 嬉野君 

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