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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『プリンセスハーツ』シリーズ 高殿 円 




十八歳でアジェンセン公国の大公となったルシードは、かつて人質として子ども時代を過ごしたパルメニア王国から、初恋の美しい王女メリルローズを妃に迎えることに。
しかしパルメニアがよこしたのは、メリルローズそっくりの身代わりの少女だった。
ある事情からルシードは、ジルを大公妃として仮面夫婦生活をはじめるのだが——。


先週ふと読みだして巻数を重ねるごとに面白すぎてやめられなくなり、ついに1週間弱で全11巻読み切ってしまった、『プリンセスハーツ』シリーズでした。
ブログの更新が滞っていたのは、このシリーズをひたすら読んで読んで読みまくって時間がなかったからです。失礼いたしました。
(実は何年か前にも1巻目だけ読んで、そのときは正直いまいちはまれなくてそのまま積み本化していたのですが、今読んだらするりとはまれて楽しめたので、ああ、処分しなくて良かったです!)

宮中陰謀劇あり、ロマンスあり、涙と笑いあり、とても力がある作品で、堪能しました。とっても楽しかったですー!!!
感想は全巻まとめてダイジェストになってしまいますが。できればじっくり色々書きたかったけれど、一気読みしすぎてなんかまだ濃密で複雑な世界観とか把握しきれてなくて、感覚で読んで書いている状態です。

まず主役カップルがとても良かったです。シリーズが進むごとにどんどん好きになってゆきました。
ルシードは初恋の王女メリルローズを一途に想い続け、ジルはジルで己の目的のためにルシードのそばにいて。
情のない仮面夫婦からスタートしたふたりが、いくつもの難局を共に乗り切るうちに、いつしかお互い自身が唯一無二の相手になり、「仮面夫婦」ではなくなってゆく様が、非常にときめくものでした。

ルシードははじめはジルに冷たく正直あんまり感じがよくないヒーローでしたが、三巻目くらいから成長のきざしを見せはじめ、ジルを守るためにまっすぐに優しさと強さを見せるところが、とても良かった。トーナメントに出場した理由にちょっと惚れ込んでしまいました。
まさに王となるべく生まれてきた、ルシードのかがやきがまぶしくて。
武のルシードを影から支えるのが、ジル(メリルローズ)のさえわたる知略。
娼館育ちの娘が己の頭脳のみを頼みに、諸国の並み居る政敵と常にぎりぎりのところで戦い、華麗な逆転技で抑え込んで勝利に導く手腕が、格好良すぎました。読んでてはらはらどきどき苦しいくらい。
とても不器用で変わり者で周囲に誤解されまくりのジルでしたが、だんだんかわいらしさや魅力が表に出てきて、女官たちにもジル親衛隊ができたりするまでに(笑)。家族思いで情の深く賢く謙虚なクールビューティー・ジルが、私も大好き!
恋愛の語彙はヘンテコにすぎるのもジルらしくて面白かった。本人は真剣なんですけれどねえ。
お互い、他に想う相手がいるのだという前提で接しているので、ややこしくすれ違う様は読んでいてとてももどかしかったのですが。(でもこのもどかしさが美味しいのです……少女小説たまらない。)
ふたりの気持ちがついに通じ合った夜の場面がもう本当に素敵で大好きです。
あんなに長年思い続けてきたメリルローズのこととは別に、ジルにシンプルな想いを告げたルシードの男気が、好もしかった。
両親に愛されず親殺しの業を背負うルシードと、花街で母と姉妹たちとの幸せな記憶を持ち生き別れた姉妹を探し出すのを悲願とするジルが、まさに「家族」として心を寄り添わせてゆく様が、なんというか尊くてとても好きでした。

脇役陣もとても魅力的。
まずはなんといっても一巻目からのルシードとジルの協力者でルシードの側近マシアス。
彼も最初は時計マニアの変な人……でしたが、ルシードとジルのややこしい関係を理解しそばで常にサポートし見守り続けてくれていた、得難いひとでした。一度は離れてしまい、彼の壮絶な過去に絶句して、それでも帰ってきてくれて、本当に良かったです。
彼がルシードのそばにいると安心感が全然違ったのでした!
草原の竜騎士四人組も、忠誠心あつい頼れる戦士ながらにあまりに個性的すぎて、印象深いのはそこ(笑)。特に壺と帽子……。
ジルの女官リュリュカとココも大好き。妃殿下命でときに暴走するリュリュカがめちゃくちゃ可愛らしくて、ヒロインに忠実な侍女キャラクターが大好物の私にはとても美味しかったです。短編集の彼女の恋の予感にはきゅんとしました。
そんなリュリュカに冷静に突っ込みを入れる後輩女官ココのコンビも楽しい。格好良く頼りがいのあるココも大好き。
あとは、オズマニアのオース王子も陰湿で小賢しくてジルの邪魔ばっかりしていましたが、嫌いにはなりきれなかった(笑)。ケイカとの恋模様でいくらかのことはチャラになりました。
数奇な運命で結ばれたナンセ公爵夫妻、サラミスとケイカの微笑ましい夫婦仲もとても好きでした!ジルとのお茶会場面に和みました。女の子の友人は得難いものです。
ヴィスタンシアのハクラン王と猫様のことや、ジルの母親クラレンシースの過去や、ルシードのトーナメントの相棒ホーリーヒース、ルシード信者のソロモンやジルの幼馴染の画家ロレアンや、どのエピソードも魅力的でみんなよかった!
ルシードの幽閉されていた弟リドリス、最後の最後まで本心が読めずに底知れないキャラでしたが、うん、嫌いじゃなかった。
最後の最後まで底知れない……といえば本物のメリルローズもでしたが、彼女のつんとした愛情も、泣きました。
ルシードとジルが想いを変質させていった向こう側で、メリルローズとロレアンのふたりの想いにも変化があったようで、今となってはそれが私の中では救いだったのかな。実はただただ初恋をずっと大切に抱いていたメリルローズが切なかった。
エクラムとグリフォンのややこしいおじさまたちの企ては、正直、巻き込まれた人たちがちょっと気の毒じゃないですかね(苦笑)。あんまり全貌を理解しきれていないので何も申しませんが。

最後の謎がどんどん解けてゆく流れでの、ルシードとジルの出生の秘密に呆然となりました。
おおらかで皆に好かれる大公様ルシードに常にどことなくまとわりついていた影の正体は、これだったのか。哀れでした。
そしてそこから立ち上がり周囲の助けも得て、戦いの流れをとめることなく走り抜けたルシードが、やはり生まれながらの王者だったのでしょう。ほうっと見守っている感じでした。
ジルの己の出生、ひいては世界の謎を訪ねてゆく旅路も、はらはらどきどきでした。ジルの出生は物語の中で二転三転しましたが、めぐりめぐって玉座に直接つながっていたとは、なんかもう理解の範疇を超えました(苦笑)。メレドニカ様って結局どういう方でしたっけ。
そしてついに玉座を得て、結ばれた二人の幸せと近いうちに訪れる別離の悲しみに、胸がいっぱいになりました。ジルの涙に私も涙ぐみました。
……そこからのラストの展開があまりにジルらしくて、本気でずっこけましたが(笑)。ハッピーエンドで良かった!あとがきのひとことに大笑い。

精霊や神や信仰が色濃い物語の世界観もたいへん魅力的でした。アジェンセンの賭博祭りの雰囲気も素敵だったなあ。
どうもこの物語は時代を異にする物語がいくつも存在しているようで、読んでみたいです!

挿絵、私明咲トウルさんの挿絵は好きなものといまいち好みに合わないかな……と2パターンあるのですが、このシリーズの挿絵は華がある雰囲気に合っていてとても良かったと思います。
ラストの全員大集合のイラストが皆幸せそうでいいなあ。個人的には、ついに三姉妹仲良し挿絵が拝めて(本編じゃないけど)とても満足。
『君は運命の人だから』のいかにも少女小説!な甘く可愛らしい表紙が、ながめていて幸せになってくるお気に入りです。

完結後、短編集ってないの?ないの?やっぱりないのか……。と、思わず色々情報を調べてしまいました。残念。
リュリュカとマシアスのその後とか、ナンセ公爵夫妻のその後とか、キキとハクラン王とか、主役カップルのその後とか(いくらハッピーエンドでもあれはその後が気になります……)、皆読みたかったんですけれどねえ。

最終巻



一巻目を読み返してから最終巻のことを思うと、ルシードとジルの関係性があまりに変わっていて、まぶしい。
少女小説って素晴らしい!と改めてしみじみ感じ入りました。


ここ一週間強?くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ルルル文庫

タグ: 高殿円 

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