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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『シンデレラ伯爵家の靴箱館 乙女は新たな靴を履く』仲村 つばき 




『シンデレラ伯爵家の靴箱館』シリーズ完結巻。
エデルの父との関係についに決着をつけたアランとエデルだったが、やはりアランの両親に結婚を認めてもらえぬまま。
そんなある日、アランの母の提案で、エデルがディセント家にふさわしいか、試される機会がもうけられる。
一方アランも、父からとある人物の日記を手渡され——。


『シンデレラ伯爵家の靴箱館』、完結でした。
このシリーズらしいしみじみ素敵な終わり方で、読み終えて幸せな心地にひたれました。
(「幸せな豚」になれたのかどうかは、アランとエデルの心の持ちよう……。)
読み終えてから感想を書くまでにだいぶ間が空いてしまったので色々抜け落ちてしまっているのですが、でもやっぱりとても良かったので少しでも感想を書きとどめておきたく。

前の巻で、シンデレラの魔法の靴、エデルの父親レイとの因縁はあらかた決着がついた後。
今回のお話は、エデルとアランが、純粋に、身分違いや魔術師とディセント家の因縁などの結婚への障害を乗り越えて、結ばれる過程の物語になっていました。
エデルとアランは今回大部分で離れ離れだったのですが、それでもお互いそれぞれの場所で、自分自身を見つめ直して頑張って、結果、ふたりとも自分なりの道をきちんと見出していて。
その姿がふたりらしくてとても堅実で、読んでいてやっぱりこのふたり好きだなあ、お似合いだなあ、と再確認。
そのふたりの努力の結果の、まさに身分違いのシンデレラストーリーといえる結婚式のラストも、ふわふわした夢物語に終わらずに、心にすとんと落ちて、自然な気持ちで心から祝福できるものになっておりました。

エデルがルディアと共に出向いたステイシア城。
乙女の会とはまた少女小説らしいモチーフといいますか。個人的にはこういうの、ときめきます。(読んでいる分にはですが。)
エデルはやはり意地悪もされましたが、ステイシア城のマリーさまとレオン、訳ありなんだけれど心優しい兄妹が、なんだか私はとても好きでした。「ステイシア城のお母さま」というエデルの呼び方を気にいって採用するマリーが好き。
そしてエデルと共同戦線をはるルディアさまがやっぱりいい子で頼もしすぎて大好きでした。
まさかこんなところから恋愛指南書の作者が登場するなんてびっくり仰天。

一方のアランの方も、父親の方から課題が。
ドゥーガルドの人となりはなんだか私がイメージいていたのとちょっと違って、でも彼も必死にあがいた一人の人間であったのだなあと。
さりげなく妻にのろけつつ息子で遊びつつしごくアルヴァさまがいいキャラしています。渋くて深みのある格好良さがたまらない。
アランもすごく頑張っていました。おかしな方向に行きかけててちょっと心配しましたが、ルディアがいい感じに修正してくれて、最終的にはやっぱりエデルが素直にすべてを受け止めてくれて、幸せなカップルの姿になんだかんだでほっこり。
帰ってきたエデルとアランの再会の場面は素直に胸がいっぱいになりました。ルディアとアルヴァの気遣い(?)も粋で良かった。
そうしてマリーとレオンがガラスドームのお客様としていらしてくださって、良かった。
アランの「サインください」に吹き出してしまいました。

そして結婚式!やっぱりガラスドームの靴ですよね!すてき!
くちづけのちょっとしたトラブルも、アランとエデルらしくて、挿絵込みでとても幸せな気分になれました。
エデルの父としてふるまうアルヴァさまの姿がよかったです。

最後の短編は、夫婦になったふたりのささやかな幸せの物語。ロマンティックで良かったです。
特大サイズの白鳥……なんでしょう、全く間違っているわけでもないんだけどな……。
エデルの「あなた」呼びに、なんともいえない奥ゆかしい妻としての愛情を感じて、私もあたたかいもので胸が満たされる心地でした。

私、本当にルディアが好きで、大好きで、できればルディア主役の後日談エピソードとか読んでみたかったなあ。
彼女はシリーズを通して物語の陰ひなたで本当に大活躍してくれてました。ディセント家においてエデルの全面的な味方をしてくれるルディアの存在が読んでいてどれだけ心強かったか。

あきさんの挿絵もいうに及ばず美しいものばかりで、堪能しました。
涙するマリーさまの挿絵が美しくてお気に入り。
あとがきの謎のオーラも何度見ても絶妙で笑えてきます……。

ときに残酷さもふくむおとぎ話モチーフなファンタジー、職人さんの仕事への姿勢、女性たちの等身大の悩みと恋やお洒落への憧れ喜びや、色々な要素が程よく調和した、読みやすくまとまった素敵なシリーズだったと思います。
シリアスな要素もありつつ、重たくならずふんわりロマンティックな雰囲気にまとまっているのがお上手。
靴を買いに行きたくなりました。本当に。
シリーズが進むごとに物語としての完成度が上がっていった風なのも良かった。
次回の作品も、期待しています。


昨日記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ビーズログ文庫

タグ: 仲村つばき 

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