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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『これは経費で落ちません!~経理部の森若さん~』青木 祐子 




森若沙名子さん、27歳、経理課一筋5年。
恋愛には縁遠いけれど、きっちりと働き、過剰なものも足りないものもない、完璧な生活を送っている。
まったりと過ごす休日に、なぜか営業部のエース・山田太陽から連絡が入ってきて——。


青木祐子先生のオレンジ文庫新作は、前作に引き続き現代日本が舞台、OLさんがヒロインのお仕事小説。
読んでみると前作『風呂ソムリエ』と同じ、「天天コーポレーション」という会社が舞台で、登場人物も一部かぶっていて、ちょっと嬉しかったです。
『風呂ソムリエ』は入浴剤開発という一風変わった職種メインのお話でしたが、今回のお話は、(お風呂要素も当然結びついていますが)、あくまで経理のお仕事がメイン。
前作の風変わりというかなんとなく浮世離れした感じの雰囲気も好きでしたが、今回のお話は比べて各種素材がしっくり馴染んでいて読んでいて共感しやすかった。
テンポよく読みやすい文章とほどよいボリュームで、さくさくと楽しめました。

なんといってもこのお話、主人公の森若さんが良かった!
冷静沈着、経理畑一筋の優秀なOL森若さんが、とにかく格好良い。惚れ込んでしまいました。
完璧な仕事ぶりに細部まですきのない日常生活、公私をきっちりわけるポリシー、職場の人への冷静な人間観察と内心の突っ込み、仕事をきっちりこなしているだけなのに優秀さと不器用さ故みんなから怖がられているところ、でも周囲の人は実はなんだかんだお人好しな森若さんのことをちゃんとわかっているし慕っているところ、地味系とはいえさりげないお洒落もたしなんでいるところ、全部好きです。大好き。
お弁当や夕ご飯の食材の使いまわしまで完璧で、イレギュラーが発生した時には即座に軌道修正してしまえるところも、そつがなくてさすがです。
森若さんの日常生活が面白すぎてすっかり心つかまされ、とりたててドラマチックな事件が起こるという話でもないのですが、気が付いたら途中でやめられずに一気読み。
こんな女性には私は絶対になれないけれど、だからこそ、憧れずにはいられません。
そしてね、大学生の弟と猫たちにこんなに好かれている女性が、悪い人の訳ない。

また、森若さん視点からみる天天コーポレーションの社員たちの姿が、生き生きとして大変面白い。
こういうこと、あるある!!とかね。いろいろ。
ちょっと頼りないけど真面目に頑張る後輩の真夕ちゃんがお気に入り。
番外編で彼女のコーヒー好きの裏エピソードを読んで、ますます森若さんの心遣いに惚れ込んでしまいました。
ゆいみや美月さんもちらりと出てきて嬉しかったです。
ゆいみの同僚の咲ちゃんは正直どうかと思いましたが(悪いひとじゃないのは分かるんですけどね……)。悪者にされてしまった損な役回りの森若さん。読んでいる私は森若さんのこと悪くないってわかっているから!……、と、頁に向かって心の中で念を送る。
咲ちゃんのお弁当のお惣菜チョイスとか、まあ味があって好きだったんですけれどね。
そしてこんな森若さんが美月さんと仲が良いというのは、なんか、納得。どちらも誤解されやすそうだけど、可愛らしい女性です。
有本マリナさん、いらっしゃいましたね、そういえば。
冷静沈着に彼女をやりこめていく(?)森若さん格好良すぎました。
そもそもマリナさんが森若さんをわざわざターゲットにしたのも、彼女の社内での信頼度からですしね。
あのふせんとか、じわりと嫌な感じでしたが、まあ結果オーライなので。

そして最初は正直さわやかさがうさんくさくお調子者なところもあまり好みではなかった山田太陽氏でしたが、案外一途に森若さんを慕っていて、まあ、可愛いじゃありませんか(笑)。
森若沙名子。もりわかさなこ。なんていい名前だろう。というくだりが好き。
私自身、親しい人の名前を気にいるタイプなので、一気に太陽に好感を覚えました(笑)。
美しい文字とふせんに惚れるというのも意外とゆかしい感じで好き。(森若さんみたいに完璧なふせんを使いこなせる女性になりたい……。)
ま、本当に正直に言うと、現在の太陽には、森若さんはもったいない女性なんじゃないかな……と私は思うわけですが。彼の今後の成長次第かな~(何様)。
個人情報の管理は公私混同せず、もっときっちりしてもらいたい。
メールといえば、四話目のオチのメールが面白すぎて、後味よく読了。
そしてこの日が月曜日というのも何気にポイントでした。
ゆううつな月曜日でも、くすっと笑える楽しいこともあるよね!

経理部のお仕事事情や、本社の経理部の人間視点から見た、会社の仕事がまわっていくシステムも、読んでいて面白いなあと思いました。
私は本当に数字に強くないので、森若さん以下経理部の人たちの仕事ぶりは単純に尊敬。がんばれ真夕ちゃん。冷蔵庫の存在は重要ですよね。

読み心地が爽快で、とっても楽しめました。
青木先生の次のお話も楽しみです。


ここ数日にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 青木祐子 

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