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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『黎明国花伝 星読の姉妹』喜咲 冬子 




黎明国は、東海に浮かぶ天津洲の盟主国。身体に花の形の痣と「星読の力」と呼ばれる予知能力を併せ持つ女王が統べる国。
女武人の姉のスウェンと、知に秀でた妹のルシェの二人の王女は、女王候補の資質を持ちながら、争いを避けて辺境の地で家族と共に暮らしていた。
しかし女王の陰謀で姉妹は家族を奪われ、離れ離れに暮らすことに。一族の無念を晴らし苦しむ民を救うため、姉妹は厳しい選択を迫られる——。

富士見L文庫のはじめましての作者さんのお話。
こちら、ネットで表紙とタイトルとあらすじを目にした時から、ずっと心惹かれ続けていたお話でした。
和風ファンタジーな名前の響きもさることながら、「星読の姉妹」!
私の大好物、ダブルヒロインものに違いありません。しかも高貴なお姫さまの姉妹物!
これはもう、手に取って読んでみるしかありません。

実際に読みはじめてみると、古代日本と東アジア周辺、邪馬台国あたりを彷彿とさせる世界観。
日本史の中でも特に古代史、神話の時代あたりを好む私にとっては、読めば読むほどロマンをかきたてられる素敵仕様となっていました。
特にこれだけ卑弥呼の時代になぞらえられている小説ってあまり見かけないので、なおさらわくわくどきどき!
といってもあくまで「古代日本、アジア世界風」で、作者さんのオリジナル世界で、人々の容姿がちょっと西洋風だったり作物が後々の時代のものだったり、まあ色々なのですが、様々の要素がほどよく調和が取れていて読み心地いい。
特に固有名詞のそこかしこに花の響きが取り入れられているのもロマンティック。
そこに強くて凛々しい女性たちが活躍していると来たら、ね。たまらないですよ。

読む前は私、表紙のイラストとあらすじから、スウェンとルシェの姉妹がほぼ対等にヒロインをはるタイプのお話かと思っていたのですが、実際には妹姫のルシェが一の主役っぽい。
慈悲深く優秀な「辺境の女将軍」が、実は、スウェンとルシェ、性格や得意分野がそれぞれ違う二人分の働きを合わせての呼称であったというのが、なるほどねえ~という感じで、読み終えて胸にすとんと落ちました。
個人的には姉のスウェンのエピソードや実際の働きぶり、心理描写、ロマンスをもっと読みたかったなあと思ったのですが(なにしろ私自身が長女なので、姉妹物を読むときはどうしても上の姉妹に共感してしまうのです……)、ルシェもまた魅力的なヒロインで彼女の若さゆえ若干危うい働きっぷりが読んでいてはらはらするのですが好もしい。
女王の圧政にもなかなか腰を上げて動こうとしなかったスウェンが、ルシェについに己の心の内をあかした場面がお気に入り。ここのあたりから物語は勢いづいていっそう面白くなったように思います。

そしてルシェが旅の途中で出会ったエルダとディノ兄弟。
最初から見るからに只者じゃないなあという二人でしたが、案の定。
ほんのり淡いロマンスの気配にもときめきました。
最後の花の名前のちょっとしたやりとりがお気に入りでした。

クライマックス、女王との戦いの場面では、伯嬢がとても痛々しく切なかった。
キナンがかなり頑張っていたようです。
彼もとても魅力的な設定の持ち主の王子様なので、もっと色々なエピソードを読んでみたかったな。

何しろこの物語、世界観も戦う高貴な姉妹たちも、巫女たちや星読の力など神話的な要素も、とにかくすべてが魅力的で、できればこの内容を膨らませて数冊分くらいのシリーズで読みたかったくらい!
一巻分で終わっているのがもったいなさすぎる~。

荒削りな部分も色々残っていましたが、確かに光るものがある、とても魅力的な物語であったと思います。
スウェンとルシェの物語としてはこれで一応きれいにまとまっているように思いますが、同一世界の別の物語とかも、ちょっと読んでみたいかもです。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 喜咲冬子 

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