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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『かくりよの宿飯四 あやかしお宿から攫われました。』友麻 碧 




『かくりよの宿飯』シリーズ第四弾。
あやかしの住まう隠世の老舗宿・天神屋で食事処を切り盛りする女子大生の葵。
そんな彼女は、突然やってきて銀次を連れて行こうとしたライバル宿の「折尾屋」に、否応なしに攫われてしまう。
チビ河童の助けを借りて地下牢から脱走しようとする葵。しかし彼女の前に乱丸はじめ折尾屋のあやかし達が立ちはだかり——。

あやかし風味和ものファンタジーと美味しい家庭料理が同時に楽しめる素敵なシリーズ、四巻目!
表紙イラストの葵の市女笠姿が様になっていて素敵です。

今回は天神屋を離れて折尾屋編(前編)ということで、世界が前巻までと比べて大きく広がって、いっそう楽しく読むことができました。

コツコツと居場所を築き上げてきた天神屋から理不尽に引き離され攫われて、葵は一体どうなることやら……とかなり不安だったのですが。
ふたをあけてみると、折尾屋の南の地でも、彼女はやっぱり、美味しい手料理であやかし達を着実に懐柔していっていました。
この彼女のぶれなさが最高に格好いいな!
折尾屋は南の地、食材もトロピカルで海鮮類も豊富で、天神屋編とはまた違ったバリエーションが読んでいて楽しかった。

まずは葵の強力な味方の松葉様の存在が、敵意だらけの地でナイスでした。
松葉様用の御膳、ガーリック風味のタコ入りゴーヤーチャンプルーもサバじゃが味噌煮も葵の一工夫が光っていてたまらなく美味しそうですし、タルタルソースたっぷりの揚げたてさくさく岩カキフライ!これはたまらない。うわあ、今すっごくカキフライ食べたい。
料理つながりで仲良くなった、鶴童子の双子たちもいいキャラしています。なんかこのゆるーい感じと料理人モードになるときりっとするギャップが好きだなあ。ふふふ。
雨女の淀子お嬢様とのもんじゃ焼き&自家製ポテトチップスパーティーも、ジャンキーな感じでおいしそう&楽しそうでした。
わがままで子供っぽい淀子様が自分で作り上げたもんじゃに得意になって皆に分けてあげる心理がとてもよくわかって、葵はこと料理に関しては本当に頭が回るなあ。策士だなあ。
明太もちチーズは本当にはずれなし。ローテンションな双子たちの、チーズを無茶なルートで入手してきた料理人魂もあっぱれでした。
しかしやっぱり葵が最初に食べていたいかしゅうまいも美味しそうで、食べてみたいです。こういうの、お弁当に入ってたら幸せでしょうねえ。

今回とりわけ印象的だったのが、天狗の松葉様と息子の葉鳥さんの険悪な父子の、今は亡き奥さんの手料理つながりエピソード。
笹良さんの母として、妻としての愛情がひたひたと染み入ってくる、良いお話でした。本当に素敵な方だったんだろうな。松葉様が奥さんのことを心から愛しているのが伝わってきて良かったです。
骨付き鶏のがめ煮、骨なし鶏のがめ煮の別バージョン。うちの母の味は骨なしの普通の鶏ももでしたが、骨付き鶏のがめ煮を一度でいいから作って食べてみたいです。良いお出汁が出るんだろうなー。
そして三色そぼろかしわ飯も、私がイメージしていたものよりひと工夫もふた工夫もひねりがきいていて、非常においしそうです。
いやあ、私、鶏肉大好きなんですよ。皆食べたくなってくる……(ごくり)。
そしてちらりと垣間見えた、葵自身の母との、過去の記憶。
普段気丈で取り乱したりなんてまずしない葵の動揺に、彼女の心の傷の根深さを感じて、ずきりとしました。
上手く言えないけれど、母の手料理を知らぬ葵の心づくしの料理と、大旦那様のサポートあってこそ、松葉様と葉鳥さんは今回無事に仲を修復できたのだと思いました。よくやりましたよ。

あと今回、折尾屋編の割には(?)、大旦那様の出番が多めで、葵との共同作業も多くて、どちらかというと大旦那様派の私には美味しかったです。というか魚屋さんナイスすぎる。
やっぱりホームの天神屋では責任ある立場だから、自由に動き回れないということか。天神屋にいるときよりもいっそう可愛らしくてなんだか子犬みたいな(笑)。
気配り上手の大旦那様のありとあらゆるサポートが読んでいて心強かったです。
サスケくんの登場も嬉しかったり。
大旦那様のホットケーキミックスが活躍の日の目を見たのも良かった。フルーツどら焼きですか!確かにどら焼きを懐に隠し持っていた大旦那様にはぴったり!
大旦那様自身にそこはかとなく見えた影の気配も気になる。

大旦那様とは逆に今回出番少な目だった銀次さん、彼と乱丸の生い立ちが、今回だいぶ明らかになりました。
折尾屋の秘密、来たる儀式の重要さ、銀次さんと乱丸のたいせつなひとのエピソードも。
「常世」との距離が近い、生と死の距離が近い地、という設定がなんかイメージとしてよくわかるなあと思いました。
葵とかのひとのお茶会の場面、良かったです。
黄金童子様のこともようやくいくらか腑に落ちました。かのひとはどこまで葵のことを分かっていらっしゃるのか。
威張り散らしているばかりだったイメージの乱丸も、嫌えなくなってきます。彼を慕う部下がたくさんいるのも、銀次さんが折尾屋を離れる辛い決断をしたのも、納得。せつない。

葵はなんだかまた大変なお役目を担うことになったようで、不安もありますが、確かに葵にふさわしい役どころですよね。きっと葵ならなんとか道を開けるはず!
そして次回は葵と銀次さんの「夕がお」コンビが復活しそうで、これは純粋に楽しみです。
多分今回仲良くなった折尾屋の面々も協力してくれるでしょうし。

今回出てきた梅肉とチーズのサラダ巻き寿司、チーズと梅肉の組み合わせに特に心惹かれた私は、お弁当にとりささみの梅肉チーズ巻きを作ってみました。(鶏肉も食べたかったので折衷案。)
この組み合わせ、料理本で見たことはあるものの、試すのははじめてでどきどきでしたが、美味しかったです!いろどりもきれいでしたし。さっぱりとした酸味とチーズのコクがどっちも楽しめるの嬉しいです。
そういえば、葵の眷属アイちゃんも、なかなか頼もしく良いキャラしてました。

あと、あとがきにもあった作者さんのカクヨムの連載『浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸せになりたい』も、最新話まで読んでみましたが、これまた面白かった~!
日本史とあやかし婚姻譚と現代日本の高校生の日常のミックス度合いが絶妙でした。
『かくりよの宿飯』とほんの少しリンクしている部分があり、色々にまにましたり。同姓の彼はどういうつながりなんだろう!
色々な意味で最強女子高生真紀ちゃんが、豪快で情にあつい世話焼き女房でとっても素敵なヒロインで、ヒーローの馨くんともども、幸せになっていただきたいものです。
そしてこちらのお話も出てくるご飯が美味しそうでおなかが空いてくるところは変わらず。お鉢いっぱいのこんもりポテトサラダを作って食べたくなってきました。そして浅草に行ってお蕎麦食べたいです。


ここ何日かにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

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