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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『Babel 異世界禁呪と緑の少女』古宮 九時 




ごく平凡な文系女子大生・水瀬雫は、夏休みに突然異世界に飛ばされた。
砂漠で行き倒れていた雫は人に救われ、魔法文字を研究する魔法士の青年・エリクに出会う。雫は彼に元の世界の言語を教える代わりに、帰る方法を求めて共に旅に出ることに。
その大陸は二つの奇病——子供の言語障害と謎の長雨による疾患で混迷を極めていて——。


祝・『Babel』書籍化!!!


まずはこれにつきます。
大好きな大好きな藤村由紀さん(古宮九時さん)のMemoriaeシリーズを、書籍のかたちで読むことができる日が来るなんて、感激です。
サイト様(no-seen flower
このシリーズの中でいちばん書籍化が馴染むのは『Babel』だろうなとは、前々から思ってはいましたが。いやはやめでたいです。
明日コミケに行って、同じMemoriaeシリーズ内の別作品同人誌を入手する前に、できればブログで感想というか宣伝を書いておきたかった!

イラストの雫とエリクが、私の中のイメージにびっくりするほどすんなり馴染んで、嬉しい。
派手すぎないやわらかな質感のイラストが素敵です。特にエリクの淡々とした端正なたたずまいが……。雫の異世界バージョンの平民の(ですよね?)服装もすごく可愛らしいし、彼女の凪いだ、それでいて何かを探し求めるような瞳が彼女らしいと思い気にいりました。
カラー口絵から連続しての「歴史に残らぬ少女と魔法士の旅路が、今始まる。」という、サイトにもあった導入の文章がまた格好良くて、もう満足感いっぱい、おなかいっぱい(笑)。

本編を読んでいって、ああ、やっぱりこのお話私大好きだ!と、あらためて叫びたくなりました。
Webでの初読時は、今から思うと「『Unnamed Memory』の後の時代のお話」という意識で読んでいたので、今回こういう独立したひとつの物語、というかたちで読んでいると、『Babel』独自の面白さをしみじみ実感できました。
じっくりじんわり時間をかけて、読了。

雫とエリクの学術的(?)少々ずれた会話と、保護者のようなパートナーのような独特の距離感が、やっぱり大好きです。
華のある姉と妹に挟まれ、自分を見いだせずにいた雫の胸の内に自然に共感し、彼女が突然放り込まれた異世界で、他人の助けを借りつつ、彼女のやり方でひたすらに頑張って頑張って頑張りぬく姿が、まぶしく愛おしい。
研究者肌で淡々とクールだけれど、誠実で頼もしく人の好いエリクも大好き!
書籍版だと、雫の普通の女の子としての内面の屈折の描写がやや前面に出てきていたのかなという印象。
あと指輪のエピソードってたぶんこんな書かれ方していなかった気がするので(あれ、覚えてないだけ?)ちょっとどきどきしました!
なんというか、読んでいて、心がほんわりあたたかく優しくなるふたりなのです。

メアもやっぱりかわいいな~。お妃様のエピソードはせつない。
ターキスはなんかこうもっと殺伐としていた気がしなくもないけれど、人懐っこさが私は好きでした。
物語のこんなに初期段階でこんなにえぐい危機に直面していたんだっけと、改めて青ざめました。(だってティナーシャの時代から皆を苦しめていた代物じゃないですか……。)雫もエリクもメアもひとまず無事で本当に良かったです。
雫のスキルは、方向感覚の鋭さと、あとお料理ですね。
料理スキルは絶対今後必要ですよ。
異世界で見知らぬ食材にかこまれてる中でアップルパイを作れるなんて本物です。
そうか、お勉強で頭を使うと脳に糖分がほしいというやつか……だから『Babel』のふたりはしばしば雫の手作りおやつを食べているんだな。

「大幅な加筆修正」が今後どう効いてくるのか、気になって仕方がないです。
個人的に何より気になるのは『UM』つながりが書籍版ではどこまで描かれるのか。魔女の描写も例のドラゴンもすこーし出てきたし、まったく書かれないということもなさそうで、そうなってくると色々気になって気になってしかたないのでした。
続きめちゃくちゃ読みたいです。本当に続編出て!出てください!天に祈ります。
この感じだと、書籍版だとシリーズ全四巻くらいでしょうかね。

天に祈るだけではなく、この一巻目の売れ行き次第で続編がどうなるかも決まるとも聞きましたので、このブログに書いてどこまで効果があるのか謎ですが、宣伝させてくださいませ。
こちらの『Babel』、『はなのみ亭』的、この夏休みの推薦図書です。
ファンタジー好きさんには一押し!いわゆるライトノベルをあまり読まない方でも読みやすいと思います。表紙イラストの雰囲気が違和感なければまず大丈夫かと。
派手さはあまりないですが、非常に緻密なつくりの世界観の美しいファンタジーです。文章もすらすら読みやすい。
タイトルから分かる通りに「ことば」にまつわるファンタジーで、そういうのがお好きな方には特におすすめ。
真面目で努力家の女の子が頑張るいつもの私の好みポイントもばっちり。
図書館好き、書物好きさんにもおススメ。
異世界に行って生命の危機に何度も瀕しても、なお大学図書館で借りていた重たい本を最後まで持ち歩いていた雫は、特殊な力がなかろうが十分すごいです。これだけですでに雫はただものではない。ちなみにエリクも雫と出会った時点では図書館勤めの青年です。
あと雫が出会った「不思議な本」も物語のキーポイントですので。このざらざらした違和感!

そして書籍版がお気に召されたら、Web版を最後まで読んでみるのもありだと思いますし、サイト内の他作品を読んでみるのもありかと。
(個人的には『Unnamed Memory』を少女小説好きさんには何度もしつこくおススメしたい……一緒に好き語りしたい!エリクが語るいわゆる「魔女」の物語です。)

あ、あと、書店限定特典の小話が欲しいあまりに同じ本を二冊買ってしまいましたが、後悔はしていない。布教用にします。
そして『電撃マガジン』まで買ってしまいました。ちょっとせつなくほろ苦いお話で、キャラクターのラフスケッチや作者さんのインタビューも読めてやっぱり買ってよかったです。

参考→ 『Babel』Web版感想私の好きな美味しい物語4 雫のパンプティングまたはフレンチトースト


この一週間それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ファンタジー(西洋風)

タグ: 古宮九時  no-seenflower 

この記事に対するコメント

ゆりさま。お久しぶりです。
以前コメントでお世話になりました、ねねです。

今回、ゆりさまがかなり推薦してましたので、Babel読みました。結論から言いますと、続きを下され~と床や机をバンバン叩いてました。でもどうやら続刊も発売されそうなのでホッとしてます。イラストも淡い色合いで最近のラノベのド派手な女の子バーンな表紙と違ってとてもよかったです。それだけでも嬉しいです。読み始めは雫がいい子ちゃんすぎるからちょっとどうかなと思ってましたが、淡々と進む綺麗で読みやすい文章と世界観が知りたくて一気に読み終えてしまいました。雫も振り切って行動するようになりましたし、個人的には雫とエリクの勉強会が好きです。雫がノートにメモをとったり地図を描いたりするシーンや、やたらと方向感覚に強い特技もいいなと思ってました。ゆりさまの「緻密なつくりの世界観の美しいファンタジー」はぴったりでした。素敵な世界に浸ることができて物語を読むのは楽しいことなんだと改めて気づきました。この作者さんの頭の中が知りたいですよ。どうやって世界を丁寧に創造していくのか興味あります。

さてさて次は何を読もうかと、結構買い込んでまして・・あきさんの可愛い表紙に引き込まれた「犬恋花伝」にしようか、「流星茶房物語」にしようか・・そうそうBabelを読む前に読んだんですが、文庫版の「灰色のマリエ」がとてもよかったです。全2巻です。胸がキュンキュンして床をゴロゴロ転げてましたよ。またゆりさまの素敵な本の紹介、よろしくお願いします。
 
あっちなみにBabelの特典はアニメイトにしました。
ではでは。

URL | ねね #-
2016/09/13 21:32 * 編集 *

Re: タイトルなし

>ねねさん
コメントありがとうございます。

こんにちは~。こちらこそ、お久しぶりです♪
ねねさんのていねいで心のこもったコメントを再びいただけて、私は嬉しさいっぱいです。

ねねさん、『Babel』読まれたのですね!
わあ、ブログ書いて良かった(笑)!お気に召されたようで私も本当に嬉しいです。
私はWebの方で最後まで読んじゃっているわけですが、確かにこの時点で切れていると、続き気になりますよね。
個人的にはこのシリーズの面白さの山場はまだまだこれから、2巻以降にあると思っているので、お楽しみに!
本当に、続編発売決定、嬉しすぎます。
私も雫とエリクの勉強会の場面、好きです。独特の味があります。
雫のノートや地図も好きです。彼女は地味だけどいいスキルを持っていますよね。
私も本当にこの作者さんの頭の中身が知りたい……。
この方のWebサイト内には、同一世界観のシリーズ全作品の設定集Wikiというすごいものが存在していまして、各種設定をふんふん読みこむと作品をより一層楽しめるのですが、Babel以外にもMemoriaeシリーズ全作品ネタばれ込みなので、現時点ではおすすめできなくてもどかしい……。
年表とか作品全体で数千年もの幅があって、途方もないんですよ。

私も最近『犬恋花伝』が気になっているところです。ネット上の評判もよさそうで。あきさんの表紙が素敵なんですよね!
そして『灰色のマリエ』は単行本で読みましたが、あれも素敵なお話でしたねえ。きゅんきゅんでした。

こちらの方こそ、またお時間とお心に余裕があるときにでも、いつでもいらしてくださいませ♪大歓迎です。

URL | ゆり #SvKcs0as
2016/09/18 12:59 * 編集 *

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