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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『斜陽の国のルスダン』並木 陽 




13世紀グルジア。
天真爛漫だった王女ルスダンは、最愛の兄の死によって女王に即位。
東方から次々と襲い来るモンゴルとホラズムの脅威。廷臣たちの思惑。
そしてルーム・セルジュークから人質としてやってきた王子・ディミトリとの絶ちがたい絆。
「先見の明あるヨーロッパの防衛者」とも「美しく淫蕩な愚昧の女王」とも呼ばれた、一人の女性の素顔を描く。

こちらは同人誌の物語になります。
Twitterで偶然見かけて心惹かれ、ちょっと調べてみたら、アマゾンで購入できる!ということで、ぽちりと。

ヨーロッパで最初にモンゴルと戦った、グルジアの女王様・ルスダンの人生の物語。
ジャンルとしては世界史もの少女小説。
ふつうの文庫本よりはちょっと薄いご本です。
表紙のイラストが細部まで描きこみが素晴らしく美しいです。昔の装飾みたい。

ほとんどタイミングで購入したのですが、このお話、素晴らしく私好みでした!!
お国も時代もほとんど未知のジャンルでしたが、全然問題なく面白く読みました。
薔薇の妖精さんのような天真爛漫な美少女と、人質としてやってきた異国の美貌の王子様、密かにお互い想いあうふたり、一幅の絵のような光景にすでに心惹きつけられました。
歴史もの少女小説、最高です!!!
短いお話で、力強く歴史の流れを記録するための文章。みたいな印象を受けました。
さらりと流れてゆくキャラや出来事も多いのですが、それが一層想像をかきたれられるといいますか。

幸せで光り輝いていた時代から、外敵の容赦ない侵攻にさらされて、徐々に傾いていくグルジアの国の姿に、何とも言えない心地になりました。
ルスダンもディミトリも、グルジアの忠臣たちも、それぞれ精いっぱい頑張っているのに、どうしても上手く報われなくて、いつしかふたりの絆まで少しずつすれ違っていってしまっているのが、辛い。
誰が悪いというものでもなく、時代の容赦ない流れがグルジアという国をのみこんでゆくのが、ただただ切ない。
滅びへと傾いていく悲しい物語の中でも、だからこそというか、きらきら美しいエピソードが随所に散りばめられているのが、良かったですねえ。
ルスダンは優秀な女王というよりは、困難に途方に暮れ、悩み苦しみ決断を下し、激しくひとを愛し、厳しい時代に必死に生き抜いたひとりの生身の女性として、読むことができました。

読んでいて何より素敵だったのは、やはり、ルスダンとディミトリの夫婦のお互いへの愛と分かち難き絆でした。最後まで。
幼い日のお互い結ばれるのをあきらめていたころの無邪気な幸せな時代も良かったし、ルスダンの女王即位後味方の少ない中で支え合いつつ孤独に頑張る二人も良かったし、決裂してなおルスダンのためのディミトリの献身にも泣けましたし、もうとにかくすべてがいとおしかったです。

お祭りに抜け出してダンスを踊るルスダンとディミトリの場面がとても好きでした。松虫草の少女も。
プロローグのルスダンの選択の理由が分かったところで、また涙。
ラストも寂しいものでしたが、ふたりトビリシに帰ってきたんだなあ、とすとんと思える幸せで美しい場面でした。

脇役キャラの中では、ジャラルッディーンと腹心の書記官ナサウィーがお気に入りでした。
ディミトリが身を寄せたのがジャラルッディーンの下だったのは、確かに幸福だったのだなあと、彼が最後に贈った言葉でしみじみしました。

やはり世界史はあまり分かっていないんですが、モンゴルの台頭や十字軍といった細切れの世界史知識が、このグルジアという国の立場から見るとこういう風にうつるのか、とかいちいち新鮮な思いをして読んでいました。
イスラム教とキリスト教のお話も自然な流れで読めました。
あと作中存在感ばりばりだったルスダンの母女王・タマラの時代の物語が気になります!


ああ、なんだかとても良いものを読みました。満足。
出会いに感謝です。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪


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カテゴリ: 歴史もの

タグ: 並木陽 

この記事に対するコメント

私もこの小説が大好きです!

はじめまして。

私自身はグルジアの文化に興味があったので、こちらの本を読んでみました。

ゆり様がお書きになられているように、素晴らしい小説ですよね!ページを繰る手が止まりませんでした!

特にルスダン女王とディミトリの関係は読み終わった後でも心に響きます。

ラストは切ないですが、久々にいい小説に出会えたな、と思いました。

URL | Erin #4v1p7c0Q
2016/09/15 01:15 * 編集 *

Re: 私もこの小説が大好きです!

>Erinさん
コメントありがとうございます。

こんにちは♪こちらこそ、はじめまして!
私のブログを見つけていただきコメントまでこうして残していただけて、とても嬉しいです。
『斜陽の国のルスダン』、とても素敵なお話でしたよね!
私はグルジアのことは恥ずかしながらほとんど知識がないのですが、各種文化やお国の描写には自然に惹きこまれました。
ルスダンとディミトリの関係は本当に、喜びも悲しみもすべてひっくるめて心に深く残りました。
このお話を読むことができて、本当に良かったなあと、しみじみしています。

URL | ゆり #SvKcs0as
2016/09/18 13:11 * 編集 *

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