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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『若奥様、ときどき魔法使い。』白川 紺子 




魔女が玉座に座り、貴族は魔法使いであるオムニア王国。
優秀な魔法使いであるバイオレット伯爵レンの妻ローズは、たまにしか魔法が使えないおちこぼれ魔法使い。
おちこぼれでも貴族のつとめを果たそうと、他人に笑われても魔法を使うことをあきらめないローズ。
そんな彼女のもとにある日女王の使者が。
なんとローズこそが次代の「春荒れの魔女」だというのだが——。


白川紺子さんのコバルト文庫の新作。
最初の方だけ雑誌で既読でした。

貴族はみんな魔法使い、四季を司る魔女、しゃべる動物にぬいぐるみのくま、世界観がファンタジックでとても可愛らしいです。
きれいなお花やドレス、美味しいお菓子にパンにお茶会、少女小説趣味の小物遣いもばっちりで読んでいてとても楽しい。
さすが安定の白川紺子さんです。文章がいつもの通りにきめ細やかで品があり子供っぽくはない。
甘々で優しい王道少女小説ながら、雰囲気を崩さない絶妙の加減でひねりをきかせてあるストーリーも楽しめました。
白川紺子さんの最近のコバルト文庫の中ではこれがいちばん好きかもしれないです。
椎名咲月さんの美しく可愛らしい挿絵も良く合っています。

なによりローズとレンの若夫婦の仲睦まじさに、読んでいて癒されました。甘い~。しあわせだなあ。
魔女としては落ちこぼれだけど心優しく自分の芯をきちんと持っているローズと、若くして優秀な魔法使いで無表情で淡々としているけどローズを溺愛していていざというときは大胆なレンのふたり、どちらも好感を持って読んでいけました。
無表情で基本何を考えているかわからない一方、うれしいと、物理的に花を咲かせるレンが、本当に可愛らしくって!
ローズの笑顔にレンが花を咲かせて、その花を無言でひろってローズの髪に挿す、というお話の中で何度も出てくる一連の場面が、なんかとても好きです。

『バイオレット夫人と冬枯れの魔女』
落ちこぼれ魔法使いの若奥様ローズが「春荒れの魔女」だと宣告され、四季の魔女たちをめぐるいざこざに巻き込まれるお話。
女王様ウィンキッドは夏の魔女か!そして冬のユールと秋のサムヘイン、それぞれのお婆さんたちがキャラが立っていて仲がいいのか悪いのかなやり取りが面白い。巻き込まれるローズとレンたちは気の毒ですが……。
マルコの変身もですが、ローズを連れ去られてぶち切れたレンにも度肝を抜かれました。普段怒らない人を怒らせると怖い怖い。
随所随所でラブラブなバイオレット夫妻、動物に姿を変えての冒険、ローズの親友リナの頼れる手助け……わくわくどきどき。
ローズが魔法を上手く使えなくなった過去のトラウマを乗り越えて、春を呼ぶことに成功した一連の流れがとても良かったです。描写がやわらかくてあたたかくて美しいのです。
マルコ、そして他のぬいぐるみたちがローズに捧げる親愛の情に、ちょっと涙がにじみました。
ヒエムスとドゥロウェールの姉妹の過去のすれ違い、ふたりそれぞれが眠る場所を思えば、ふたりわかりあえたかなあ。だといいな。
なんだかんだ仲良くバイオレット家でお茶会している魔女四人のラストに和みました。やっぱり最強なのはラブラブ若夫婦でしたが。

『薔薇とすみれの結婚行進曲』
ローズとレンが逢瀬を経て恋をはぐくみ、結婚するまでのエピソード。
読んでいて胸がきゅっとする幸せなお話でした。やっぱり恋が成就するまでの物語があると盛り上がり度が違う気がします。
少女から大人になる過程で戸惑うローズの心情がていねいに書かれていてとても良かった。
ふたりが夜会で昼間とは違う相手の姿に心惹かれる様も。夜会で美しい魔法を披露する、この世界観ならではの演出がすてき。
父親に反対されて閉じ込められる中、コニーとマルコの後押しがうれしい。ローズがんばった!
レンの率直なプロポーズにびっくりし、でも彼らしいなと思いました。一週間か!
花が咲き乱れる様にこちらも幸せいっぱい気分になれました。
「ローズは、レンの喜びだ」、という言葉に、ぐっときました。
ローズの幼いころから冷たい仕打ちを繰り返してきたローズの父親は正直かけらも同情できないのですが、結局あれからどうなったんだろう。まあ別にどうでもいいんですが。(←思い入れがまったくない)

『曇りのち雨、ときどき恋わずらい』
ローズの腐れ縁の友人・リナが主役の物語。
高飛車で素直じゃなくってローズを容赦なくこきおろすけれど、曲がったことが嫌いで友人のためなら断固戦うリナが本当にいいこで読んでいくごとに好きで、彼女の恋のエピソードも読めて良かったです!
ブラガディーノ伯爵のうさんくさい伊達男な感じがけっこう嫌いではなかった(笑)。やってることは迷惑極まりないですが。
まさか一話目で出てきた猫がそういう役どころだったとは!
ラストはサムヘインが格好良くしめてくれました。一話目では三人の中でいちばんアクが少なくておとなしかったサムヘインが魅力的なエピソードに彩られなんかぐっと好きになりました。
リナとティオのすれ違い障害ありの恋も、うまくまとまって本当に良かったです。
盗まれた恋心の色がとてもきれいだったなと思いました。
ティオはレンの副官にふさわしい、公正で穏やかな性格のいいひとだな……。

読んでいて無性に焼きたてパンやお菓子を食べたくなってくるお話でした。
バターとジャムがじゅわっと溶け合うトーストに(いちごジャムもりんごジャムもおいしそう)、焼きたてで口の中ですぐになくなってしまう胡桃パン、いわしの油漬けでじっくり焼くチーズトースト、オレンジのはちみつの風味がくせになるはちみつチーズタルト、ピクニックの卵サンド、すみれの花の砂糖漬け。
お茶会したいです。またはバスケットに美味しいものをいっぱいつめてピクニックに行きたい。

ローズとレンのふたり素直で愛情表現にひねたところが少しもないところとか、私の中では『下鴨アンティーク』のふたりにちょっと重なる部分があったかなと。あのふたりの年の差をちょっと縮めて色々な制約をなくした感じ?(くまのイメージもかな)
あのふたりは案外くっついたらこれくらいさらっとナチュラルにラブラブになるような気がします。(私の願望交じりの想像)

これは、今回のお話で一話完結かな?
そういえば来月にも白川紺子さんのコバルト文庫が出るようで。銀灯師のお話ですね。こちらも楽しみ♪


ここ何日かにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 白川紺子 

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