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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『BabelII 剣の王と崩れゆく言葉』古宮 九時 




元の世界へ帰る方法をもとめてついにたどり着いた、魔法大国ファルサス。
しかし、国王・ラルスは非情にも、雫に剣を向ける。世界を害する「異物」として——。
ラルスと戦う決意をし、果てに瀕死の重傷を負う雫。
一方雫と引き離されたエリクは、過去を追憶する。この国でかつて自らが関わった高貴な少女のことを。
「死者蘇生」の禁呪による事件で国中に暗雲漂う中、雫とエリク、ふたりの運命は分岐点を迎える——。


大好きな大好きなMemoriaeシリーズの一作品『Babel』、続編ですよ!二巻目ですよ!(興奮)
いやほんとうに、嬉しさの極みです。
特典がつくという事前情報を得て、アニメイトに早速寄って購入してまいりました。

表紙イラストの雫がとても可愛らしいです。一巻目のときと比べて若干おとめちっく。お花に囲まれているからかな。
そして頁を開いたカラー口絵のファルサス兄妹のうるわしのお姿!
ラルスもレティも事前に私が想像していたのとちょっと違う方向性のイラストだったのですが、でもこれを見てしまうと「これこそ正統派!」と私の中でしっくり馴染みました。そうだよね、ラルスは二十七歳でしたね……。
レティはどこから見ても非の打ちどころのない美人さんですねえ。流れる黒髪もすてき。
ファルサス王家に脈々と受け継がれてきている美貌に、本文を読む前からしみじみしてました(笑)。


一応以下はネタばれまじりの感想ということで。


そう、今回のお話は、舞台は一巻分まるまるファルサス。
しかもお話の最初から「例の二人組」が登場してきた!ちょっと興奮せずにいられますでしょうか!
この二人が『Babel』書籍版にどこまでどう絡んでくるかが、何より私が気になっていたことで(笑)、じっくりじっくり読ませていただきました。
リースヒェンと雫とメアの女の子のやりとりが微笑ましかったです。
ほよほよ頼りなさげで世間知らずでも、さすがリースヒェンは強い。オスカーは文句なしに格好いい!
ファルサスの昔語りの魔女の伝説にテンション上がったり。
このあたりはリースヒェンとオスカーのエピソードが追加されていたり他のエピソードが消えていたりで、けっこう手が加えられていましたね。
鮪の書き取りのエピソードお気に入りだったので、これが残っていたのは嬉しかったです。鮪がなんなのかも知らないのにつくりの意味を真摯に考察し漢字の書き取りをするエリクという図が面白いんですよね~。

謎の二人組(私的には謎じゃないけど)と別れてファルサスにやってきてからは、雫とエリクは引き離されてしまい、このコンビの学術的突っ込み満載のとぼけたやりとりとほどよい距離感が好きな私には、ちょっと寂しかった。
そしてラルスはそういえば確かに、初登場時はこんなに感じ悪かったですね(笑)。
まあファルサス兄妹は、ネット版より若干マイルドになっていた気もしましたが。ラルスいいおにいさんでした。
しかし雫はいきなり窮地におとされますよね。そこからの覚悟と行動が、これはもう雫にしかできないと思う。魔法も何も使えない普通の娘であるからこそ彼女の精神のありようが響きます。姉妹のやりとりの追憶にもぐっときました。
最終的には最悪のピンチは切り抜け、王様と雫の容赦ない戦いの日々がスタート。
ラルスは全然雫を信用していないしぴりぴりしているはずなのに、雫の精神のしなやかさとかあと人参とか人参とかで、そこまで重たくなくちょっとコミカルにさえ読めるのでした。
「私と人参を同列に語らないでください」には思いっきり吹き出してしまいました。

一方のエリクが触れるのは、自らの過去。
カティリアーナのエピソード、いきなりファルサスの暗部が容赦なく引き出されていきますね……。
禁呪がらみの大騒動の果てに、ラルスによって暴かれたカティリアーナの真実は、衝撃的でした。ずっしり。
それでも不器用で寂しげで純粋にエリクに懐いていたカティリアーナの姿も、また本当だったんですよね。
エリクが雫に語った「本当のこと」の顛末に、心が泣き笑いのような、ちょっと優しい気持ちになれたのでした。お花のイメージが響きます。

自分ができうる上限を飛び越えるほど、努力し思考し学ぶのをやめない雫がやっぱり本当に好きだし、パートナー兼保護者としてのエリクのポジションも、やっぱりとてもいいなとしみじみ思いました。たとえ離れていても。
お姫さま抱っこは地味にときめきました。ロマンス色は皆無でも、お互いにとってお互いが大切である気持ちが前巻に比べてぐっと増してきていて良かった。
人が好くあまり報われていないハーヴも登場してきて嬉しい。イラストがなんか可愛いくて和みます。
兄への突っ込みと魔法に関わるあれこれで多忙なレウティシアも好き。雫のお菓子は美味しいんですよね~。
あと雫の使い魔になったメアも可愛らしくて癒されまくりです。雫がもし元の世界へ帰れるとすればついていきたいという健気なメアにぐっときてしまいました。

アイテア祝祭は、私の中ではどちらかというと『Unnamed Memory』なんですけれど、楽しそうで好きな場面でした。
雫の作る鈴カステラがおいしそうでした。
大陸分割神話は、そういえばこのあたりが初出でしたか。

禁呪事件がひとまず解決した後、ラルスとレティが雫たちに語った最重要機密。
雫が見続ける謎の夢の正体。
このざらざら気持ち悪い部分が!たまらない!(←現段階では上手く説明できないけれど!)
こんなに決然と自分の足で立ち思考して行動する雫にこんな宿命が課されているのは、やりきれない気分になるのです。

そして言語障害の子どもとのやりとりの食い違いから芽生えたささやかな違和感、そこからエリクが暴いた、言語に関する根源的な食い違い。物語の大どんでん返し。
一度読了済でもぞくぞくします。こんな壮大にして緻密なつくりの物語をお書きになれるなんて、作者さんの頭の中は一体どうなっているんだろう。
エリクの淡々と冷静な分析と雫への混じり気ない気遣いがものすごく救いです。
王様に歯向かってまでまったく臆せず雫を人間だと断じ守るエリクがほんとに格好良すぎる……。

やっぱり初登場時は人でなしだった(笑)お姫さまと従者が表に出てきたところで、二巻目終了でした。

三巻目も待っています!出ますよね?ね!
むしろもうMemoriaeシリーズすべてを書籍版で読みたいです……。


この一週間くらいの間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪


(追記以下はシリーズ全作品ネタバレレベルの私のつぶやき感想メモです。こっそり収納しておきます。)

言語障害の子どものからくり関連を読んでいて私が「あっ!」とまっさきに思ったのは、『時の夢』の『光』に出てきたオスカーでした。
そういえばあのお話はこういう前提じゃないと成り立たなかったんだな。

序盤に出てきたプリンのようなデザート。
最近サイトの方にアップされた百題話、雫がティナーシャに習っていたお菓子をなんか思い出しました。
ティナーシャ作のトゥルダールのお菓子ほどではないにせよ、ここで出てきたお菓子も、私たちの世界のプリンよりは、凝った作りのデザートだったのかもしれないな。と。話の筋と全然関係ないですけれど。
それにしてもティナーシャ作のお菓子は本当に材料も工程も凝っていてさすがでした。
ティナーシャがすごいのか、トゥルダールの技術がすごいのか。両方かな。
このお話本当に私好みで何回も読み返しております~。ごろごろ。

リースヒェンとオスカーのイラストもみたかったような、まだ心の準備ができていないような。

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カテゴリ: Memoriae シリーズ

タグ: 古宮九時 

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