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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『コンビニたそがれ堂 祝福の庭』村山 早紀 




『コンビニたそがれ堂』シリーズ第6弾。
本当に欲しいものがあるひとだけがたどり着けるという、風早の街の不思議なコンビニ、たそがれ堂。
街角の洋品店で働くつむぎが手にした品と聖夜の思い出『ガラスの靴』、老いた少女漫画家と彼女の屋敷を訪ねてきた少女の交流『神様のいない家』、サンタクロースに手紙を書いたかつての少年たちの物語『祝福の庭』の三編収録。


ゆったりペースで息の長いお付き合いができてうれしい『コンビニたそがれ堂』シリーズ。
今回のたそがれ堂は、収録作品すべてがクリスマスの物語。
今の季節に読むのにぴったりです!!

『祝福の庭』サブタイトルにふさわしく、クリスマスの夜の金色のきらめきがまばゆく美しい表紙です。ながめていてあたたかく幸せな気持ちになれる。
三郎さん格好いいしねここはちょっとつんとすました感じなのが可愛いのですよ。
どちらも人ではないミステリアスでちょっと怖いような雰囲気もありつつ、人の世のクリスマスのあたたかなきらめきの中にしっくり調和したたずんでいるのが、三郎さんとねここらしくていいな。
ねここのお着物とエプロンドレスが可愛らしくてときめきます。

大人になり現実を知っても、「クリスマス」っていいなあとしみじみ素直に思える、三編ともそんなお話でした。
物語の中の、現実と夢の塩梅が、なんというか絶妙で。
大人のための美しいファンタジー仕立てになっていました。

私の家でも、サンタさんの正体は最初からばれていたんですが、大好きなお父さんがサンタクロースだから!と私は幼心に全然不満はなかったし、むしろ嬉しかったな。
好きなプレゼントの希望は聞いてもらえるし、家族で一緒におもちゃ屋さんやデパートに出かけるというイベントがまた嬉しかったし。
あとがきまで読みそんなことをつらつら思い返しつつ。

『ガラスの靴』
洋品店アザレアという店名もいいし、つむぎさんというヒロインの名前とそこに込められた由来がとても好きでした。
つむぎがミヨコちゃんに贈ったシンデレラのワンピースと夢のひと時の場面が、優しくて可愛らしくて最高に良かったです。
凍えそうに寒そうな場面ですが読んでいて心がぽかぽかあたたかくなりました。身を寄せ合う女の子二人のささやかな秘密の香りが魔法のひとしずくみたいで。
シンデレラに魔法をかける精霊の役の方に憧れ、ラストも心から幸せそうに働いているつむぎの姿が、読んでいてとても幸せで格好良かったです。
ミヨコちゃんではなく、つむぎの方がヒロインというのが、きりりときいていますね。
ふたりの再会の場面も幸せで読んでいて涙がにじみました。
たそがれ堂のおでんのおいしそうな描写に改めて惹かれてしまいました。寒い季節のおでんは最高……。
あと、「心根のきれいなお嬢さん」って最高の褒め言葉だと思いました。

『神様のいない庭』
一見シリアスなタイトルに思えましたが、三作の中でいちばん明るくコミカルなタッチのお話だったかな。薔薇の小物遣いが素敵。
マイペースで素直で家族思いの少女こずえちゃんの、ひと夏の冒険仕立て。
大好きな『秘密の花園』のようなワクワク感も味わえてとても良かったです。風早の街のお屋敷ってどうしてこんなに夢があるんでしょう。あの秘密の近道も子ども心に最高にときめきますね!
さくら先生はなるほど、ツンデレっぷりがとても可愛らしいお方でした(笑)。読んでいくごとに優しいお方なのです。
さくら先生の過去の回想に胸が締め付けられましたが、ラストのケーキの場面がとてもとても幸せで良かったです。
こずえちゃんの名前の由来が分かる場面もお気に入り。
『ひまわり冒険者』シリーズ、私も読んでみたいです。
ねここのお稲荷さんと熱いお茶もおいしそう~!

『祝福の庭』
幼馴染の駆け出し芸人コンビの秀一と圭介の、クリスマスの奇跡の物語。
三作の中でこれが一番純粋にクリスマスなお話だったなと思いました。
性格も境遇も違うけれどずっと親友でコンビを組んでいるふたりの、優しく純粋で他人のためにためらいなく身をはれるところがなにより共通していてまさに親友で、男の人の友情っていいなー!!と読んでいて思わずにっこり笑顔になれました。
ふたりそれぞれの親とのエピソードが心に残りました。

ねここがたそがれ堂の店員さんとしてもしっくり馴染んできていて、シリーズ二作目『奇跡の招待状』の『ねここや、ねここ』の悲しくてきれいなねここのお話を思い返しては、またほろりとしつつ、読了。
人の子の営みをずっと微笑んで見守っていてくれていて、ありがとう。みたいな。

そしてあとがきを読んでいて、私自身、中学生の頃に読んだ『はるかな空の東』のナルやサーヤやハヤミさんやユリアたち、『やまんば娘』の由布ちゃんや千鶴ちゃんやお銀さんたちが今でも心の中に生きているので、そういう意味でもとても嬉しい気持ちになれました。


ここ一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 村山早紀さん

タグ: 村山早紀 

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