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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『ドイツェン宮廷楽団譜 嘘つき婚約コンツェルト』永瀬 さらさ 




幼いころ出会った「聖夜の天使」との再会を夢見て、世界一のバイオリニストを目指す伯爵令嬢ミレア。
そんな彼女が出会ったのは、宮廷楽団のカリスマ指揮者にして公爵令息・傲岸不遜なアルベルト。
ミレアにさんざん駄目出しをするアルベルトだが、望まぬ婚約話に困っていたミレアに、「嘘の婚約」の共犯者となることを提案してきて——。

ビーンズ文庫の新作少女小説。
作者さんの『精霊歌士と夢見る野菜』シリーズが好きで、新作のあらすじが好みっぽく気になっていたところに、ネット上の評判の良さに後押しもされまして、さっそく読んでみました。
表紙イラスト、まさに「バイオリンの妖精」な可愛らしいおめかし姿のミレア、微妙なしかめっ面まで魅力的。ふたりの作中の関係がとても良く出ています。

うわー評判通りにすごく面白い少女小説でした!!これだから少女小説はやめられない。
音楽ものとしても頑張る女の子の成長ものとしてもじれじれラブコメとしても心温もる家族愛ものとしても、どの要素も完成度が高くて、たいへん楽しくときめきました。
なにより世界観がしっかりしていてきらきら華やかで、お話に勢いがある。ぐいぐい引きこまれました。
先週の日曜日に読んでいたのですが、週初めの憂鬱な気分が読んでいてだいぶ吹っ飛びました。

バイオリニストを目指す天真爛漫な伯爵令嬢のミレアと、宮廷楽団の不遜な指揮者で公爵令息のアルベルト、この年の差カップルの関係がとにかく良い!!読んでいてときめきごろごろがとまらなかったです。ふふふ。
手厳しく偉そうな言葉ばかり投げつけてくるアルベルトにミレアは反発を覚えずにいられないのですが、彼の助言はすべて的確なので逆らえず。きーっとなっているミレアとふふんとすまし顔のアルベルトという構図がベタで楽しい。
そんなにえらっそうで意地悪ばかりしているのに、実はミレアの見えないところでは彼女のためにとことん心を砕き大切にしているのが話の随所で見えてきて、なんというかとても美味しい。
「聖夜の天使」のエピソードも。なんだか『あしながおじさん』の構図みたいでちょっといじわるなおじさまに非常にときめきます。
偽物の婚約者となる提案もね。「守ってやるから」という言葉こそがアルベルトの本心なんですよね!
何よりアルベルト手製のはちみつとクリームたっぷりフレンチトーストと差し入れのサンドイッチに、彼の深い深い愛情を感じました。
読者視点ではなんとももどかしいすれ違いだったのですが、アルベルトにもミレアにも複雑で繊細な家庭の事情があって、簡単にすべてを明かせないのも仕方ない……もどかしい!

ラブコメ少女小説ながらにも、宮廷楽団の世界はしっかり作りこまれていて、飛び込んでいったミレアが厳しい指導にもまれ挫折も味わいつつも、仲間や先輩の支えも受けつつ立ち上がり、成長していく様がまた良かったです。
いくぶん不安定な天才肌のミレアを見守ってゆくのはハラハラドキドキ。マエストロ・ガーナーが全然一筋縄でいかないお師匠様なので、余計にどきどきさせられました。
個人的にアルベルトが指揮者をつとめる第一楽団のメンバーのノリが楽しくてつぼにはまりました。
ミレアとアルベルトをちょっとからかいながらも見守っていてくれて二人の危機には協力して頑張ってくれる皆の絆、いい!
(そして仲間の絆をミレアにも築き上げてほしいと差し入れの手作りサンドイッチを仲間と分けるよう指示するアルベルトの親心……!笑)
各音楽の描写がとても丁寧で読み応えがあり満足感いっぱいです。

ミレアの友人レベッカも冷静で的確な突っ込みが頼りになるとてもいいこで、彼女にもほんのりロマンスエピソードがありこちらもまた良かった。
アルベルトの悪友のフェリクス様、ミレア視点でながめている分には優しく頼もしいコンサートマスターの青年なのですが、なんか彼にも裏の顔がありそうですね。それを承知の上で彼を慕い追いかけてきたレベッカとのふたりの仲がまた非常に気になる。

ミレアは天真爛漫、気の強いじゃじゃ馬の女の子だけれど、根は優しく家族思いのとてもいいこで、彼女が世間の冷たい目に折れそうになっている姿は胸がぎゅっと締め付けられました。
シュルツ伯爵夫妻のミレアへの愛情は泣けました。パパとママの力関係がいつしか逆転している感じだったのがおかしかった。
ミレアの本当の親の方も、とことんろくでなしかと思っていたら、最後にそうくるかー!!
アルベルトの方のお父上も、本当に偉そうで権威主義者で人の話を聞かない嫌なおじさまかと思えば読んでいくごとに少しずつ別の面も見えてきて、えらっそうなところがアルベルトそっくりじゃないですか!と最終的には笑ってミレアの言葉に納得できるような。うん、良かったです。確かにアルベルトの母上のエピソードを聞けば息子の婚約に複雑な態度になるのも分かる。

ミレアがアルベルトにしごかれつつラスト辺りのエピソードで披露した演奏がとてもとても素敵で、二人の挿絵も相まってとても良かったです。アルベルトのひねくれてない愛の言葉に感動……!
音楽と恋心の表現が調和しているのが素晴らしいです。

エピローグまでいっても相変わらず素直じゃなくてえらっそうなのに不意打ちで甘すぎるアルベルトが、なんかもうクセになりますね(笑)。今からこんなのではミレアは苦労しそうです。

音楽と王道パターン少女小説がとても素敵に組み合わされていて雰囲気も良く出ていて、好きな方にはたまらないと思います。おススメ!!
ミレアとアルベルトの物語としてはきれいにまとまっていますが、続編があるのならぜひ読んでみたいです。
同世界で別の人主役の物語でもいいなあ。
というか、フェリクス様とレベッカの物語も読みたいです(笑)。


昨日記事に拍手くださった方、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ビーンズ文庫

タグ: 永瀬さらさ 

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