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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『京都寺町三条のホームズ』1~2巻 望月 麻衣 







京都の寺町三条商店街にたたずむ骨董品店『蔵』。
女子高生・真城葵は、事情を抱えて訪れた店で、店主の孫の大学院生・家頭清貴と知り合う。
清貴は、物腰はやわらかいが恐ろしく勘が鋭く、骨董品を見る目も若くして絶対的な信頼を寄せられており、『寺町のホームズ』と呼び名がつくほど。
店でアルバイトをすることになった葵は、清貴と共に、骨董品にまつわる様々な依頼に関わってゆくことに——。


京都を舞台に、骨董品にまつわる謎と人間ドラマを紐解いてゆく、日常ミステリー仕立てのシリーズ。
もともとはネット小説出身のお話なのかな。
評判をちらちら目にして、ずっと気になっていたお話でした。

いやあ、第一話と最終話のホームズさんの京都弁に、落ちてしまいました(笑)。これはずるい。

キャラミスというか、ライトミステリーというか、軽めのタッチのかわいらしいお話。
それでいて、骨董品ネタ、京都ネタの数々はほどよくわかりやすく丁寧に書かれていて、読んでいて楽しく、満足感高かったです。
骨董品をメインに据えたお話ってそういえばあまり読んだことがなかったなと。
ホームズさんが新人アルバイトかつお弟子の葵ちゃんに、分かりやすくかみくだき解説していくという基本スタイル。骨董品と一口に言っても古今東西さまざまなジャンルのものがあり、焼き物から西洋の絵画まで、その道の入門解説版みたいで興味深かったです。
あと京都の街、各名所の案内の描写も楽しいです!読んでいるととても京都に行きたくなりました。

そしてなにより主役のふたり、ホームズさんこと清貴氏と葵ちゃんのキャラが、いかにもな設定の割に読んでいて不思議なくらい嫌味がなくって、微妙な距離感のふたりの仲を自然に応援して読んでいけて、とても良かったです。
たぶん、葵ちゃんがごく普通の女子高生なのだけど、素直で謙虚で賢くて、恋に恋していない子なのがいいんだな……葵ちゃんめっちゃかわいいです。
対するホームズさんは、かなり特異な大学院生。
物腰穏やかで丁寧口調で立ち居振る舞いも洗練されていて気遣いもできて、葵ちゃんへのエスコートっぷりは完璧で、ときめき度抜群。まさに王子様です。
読んでいくごとに意地悪で「いけず」な部分、負けず嫌いだったり案外子どもっぽかったり色々な面も出てくるのですが、そんな裏の顔含めて魅力的。だっていけずでも基本はやっぱり優しいんですもん。ずるい!(笑)
ところどころで不意打ちに出てくる京都弁がたまらない。
もっとも彼が持つ鋭さは、真実を厳しく見据えて人の心を容赦なく暴いていき、恐れられる面もあるようですが、一緒にいる葵ちゃんはそんなホームズさんの本質をちゃんと理解していて自然体で接しているところがいいんですよね~。

ホームズさんも葵ちゃんも、それぞれの過去の恋の傷から、お互いに好意を持ったりときめいたりはしても、その先の「恋」の手前で立ち止まってしまっている、みたいな段階で。
(しかしこの落ち着きはらったホームズさんの学生時代の失恋エピソードは意外すぎました。彼女さん勿体ないなあ。)
なんかこのふたりの、微妙なためらいを含むじれじれな関係が、読んでいて美味しすぎます。
そして年の差カップルは王道かつ最高です。

いや、色々考えるけど、随所随所のホームズさんの行動、これ絶対葵ちゃんのことが好きじゃなければやらないよね?
葵ちゃんの彼氏と周囲に思われるのも、ホームズさんなら明らかに想定範囲内だよね?
……なんだかふたりのこの辺が本当に美味しくて、考えるだけでごろごろときめいています。

ホームズさんの豪放磊落な師匠のおじいさんとマイペースでおだやかな作家のおとうさん、家頭家の人々と周りの人々も、独特の癖があって読んでいて楽しい。
こんな老獪な大人たちに幼いころから振り回されその道の知識を教え込まれて育ったら、それは達観した浮世離れした青年に育つよなあ……。

一巻目でのお気に入りは『葵の頃に』と『祭りのあとに』。
『葵の頃に』
賀茂祭の斎王代をめぐる姉妹のお話。
現実的で謙虚な香織さんが好きでした。賀茂祭のことほとんど知らなかったので勉強になりました。
葵ちゃんにいいこのお友達ができて本当に良かった。ほっとしました。
ホテルオークラの生クリーム入りあんぱん食べてみたいです。じたばた。
『祭りのあとに』
葵ちゃんが過去の恋に決別するお話。
葵ちゃんの元彼と親友はちょっとどころじゃなくひどいな……百歩譲って早苗さんは同情の余地ある気がしたけど、去り際の彼氏の往生際の悪さが本当にありえない……。
葵ちゃんを救い出しに来てくれたホームズさん格好良すぎ。京都弁で葵ちゃんのために本当に怒ってくれてるところもすごくよかった。
祇園祭のことも本当に私知らないことばっかり。一生に一度は行ってみたいなと思いました。
ホームズさんが選んだという浴衣にもときめきました。

二巻目ではちょっとチャラいけど根はいいひとな秋人さんと、ホームズさんの、仲がいいんだか悪いんだかのでこぼこなやりとりが面白かったです。
ホームズさんのライバル出現!回でもあり、手に汗を握りました。本気モードのホームズさん迫力あるなあ。
葵ちゃんがラストで言っていたように、ホームズさんを高みに導くための存在なのかもしれませんね。確かに。完全な悪役とも言い切れないあたりが複雑。
『ラス・メニーナスのような』
ベラスケスの絵画をめぐるお話。
ベラスケスって私自身ちょっと知っていてお気に入りで、この巻のエピソードも良かったです。
あじゃり餅食べたいです。(食べ物のことしか考えてない)
『迷いと悟りと』
ホームズさんのお弟子として真面目に勉強している葵ちゃんの見せ場があって良かったです。格好いい!
これから葵ちゃんはどんどんお弟子として成長していって、やがてはホームズさんの片腕になってゆくのかなあ。将来が楽しみです。
あと秋人さん視点での、ホームズさんと京男子ふたり珍道中(?)も面白かったです。
秋人さんが入ってくるとお話が良い感じに脱力して和みますねえ~。
和むといえば、悪質なお客さんがやってきたときに、ゆで卵の塩を持ってきた葵ちゃんに毒気をぬかれたホームズさんの場面も、あれも良かったです。ホームズさんって案外熱いですよね。葵ちゃんのホームズさんへの無意識の接し方がなかなか。
なにげにカフェ男子の一面も見せたホームズさんにもおおっとなりました。
お肉もお好きなんですね。
ホームズさんの煩悩の内容が気になる。

すっかりシリーズにはまってしまいました。続きが、ホームズさんと葵ちゃんのふたりの仲の進展が、気になって仕方がないです。
6巻目まで出ているようなので、読まなければ。楽しみ~。
和もの、京都もの、日常の謎もの、お好きな方にはおススメですよ。少女小説的な楽しみどころも美味しいですよ!

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カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 望月麻衣 

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