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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『わが家は祇園の拝み屋さん』シリーズ 望月 麻衣 




東京に住む小春は、中学の終わりに、ある理由から不登校になってしまっていた。
そんな小春は、京都に住む祖母の吉乃の提案で、祇園の和雑貨屋「さくら庵」で住み込みの手伝いをすることに。
吉乃や叔父で和菓子職人の宗次朗、美貌のはとこ・澪人などにぎやかな家族にかこまれて、少しずつ小春は心を開いてゆく。
そんなさくら庵は、実は少し「不思議な」依頼がやってくる店で——。


『京都寺町三条のホームズ』シリーズの作者さん、望月麻衣さんのもうひとつのシリーズもの。
ホームズさんの方と同じく、関東で育った少女が京都に移り住み、少女の視点からながめる京都の街やひとびとのすがたが楽しい。京都ネタも程良くお話に織り込まれ京都弁の響きが良いのも、ホームズさんシリーズと同じ。
登場人物が皆癖があっても嫌味がなく人が好く、読んでいて癒されるのも、おんなじ感じ。

なんというか、ホームズさんの方に比べて、より少女漫画チックというか、女の子の物語という感じ。
ホームズさんの方は、葵ちゃん視点から語られる「ホームズさん」が主体だけれど、こちらはヒロインの語り手の少女「小春ちゃん」が主体ということかな。小春ちゃんは葵ちゃんに比べてロマンス面でもやや積極的でかわいい。
友風子さんの美しくて透明感のある水彩画タッチの表紙のイメージそのままに、はんなりと優しい印象を受けます。
(いえ、小春や澪人が抱える秘密はかなり重たく辛かったりシリアス成分もしっかり描かれているのですが、読み心地は重たくなりすぎず読後感はふんわり優しく可愛らしくて、バランスがとても良いと思います。)
あとこちらのシリーズはファンタジー要素あり。一巻目の時点では日常の物語に不思議要素少し、という感じでしたが、シリーズが進むにつれて、不思議要素もしっかりと描きこまれてきて、もともと和風歴史ものファンタジー、特に日本古代もの大好きな私にはかなり美味しい展開になってきました。

基本生真面目でがんばりやで可愛らしい女の子の小春ちゃんも、ミステリアスな美貌の青年澪人くんも好きだし、宗次朗叔父さんも吉乃さんも好きです!
個人的に宗次朗さんと吉乃さんの勝気な頑固者親子がいつも繰り広げるぽんぽん遠慮のないやりとりが好きです(笑)。和みます。
あと宗次朗叔父さんの作る和菓子がどれも非常に美味しそうなのです!

各巻ごとに少し感想メモを。特に4巻目はネタバレご注意ください。

1巻目
シリーズ顔見せ的な。小春の抱える秘密が少しずつわかってくるごとに辛くて胸がきゅっと痛くなって、そんな彼女が京都の祖母の家でにぎやかさにかこまれて少しずつ癒され自分を出せるようになってゆく過程が、とても良かったです。
吉乃さんのもうひとつの顔が普通ではないんだけれどそんなに気を張ってなくて、あくまでふわっと普通のお店の日常の一部という感じが、なんかこのシリーズの持ち味というか、いいな。弥生さんと吉乃さんの関係も微笑ましい。
東西の魅力を組み合わせた桜餅にミニあゆがまさにこういう和菓子を食べてみたかったの!というツボをことごとくついてくる感じでとってもおいしそうです。
憧れの人にパジャマ姿を見られうろたえる小春ちゃんがかわいい。杏奈さんとの女子トークもかわいいです。
最終章の不思議な夢から思いがけず大きな展開になりびっくりしました。
神泉苑、荻原規子さんの『薄紅天女』を読んで以来個人的にも好きなところだったので、こういうかたちで登場してなんだか嬉しかったです。




2巻目
小春が両親に秘密を明かす場面は痛々しくてとても辛かったけれど、最終的には和解できて、本当に良かったです。
再会したクラスメイトとのやりとりも胸がえぐられましたが、颯爽と登場した杏奈さんが語った宗次朗さんの62頁の台詞がすごく良かった……。祝いの言葉を言ってくれる表の顔も妬みの裏の顔も、どっちも本心なんだから、片方だけで判断するなって、目から鱗。十代の私に聞かせてあげたかったです。
そして塔の少女のお話、真相はいくぶん優しくて、何より小春ちゃんにお友達ができたのが良かったな。
若宮君が小春ちゃんの頼れるナイト役で普段の姿が可愛らしくていいなあ。ふふふ。
そして澪人さんの背負っているものが重たくて、しんとした心地になりました。このあたりからの澪人さんと宗次朗さんのイケメン京男二人組の場面がなんか味があって良い。
栗茶巾も黒豆チョコもおいしそうです。




3巻目
表紙の着物&エプロン姿の小春ちゃんと愛衣ちゃんがとても可愛らしい。これは学園祭のときのですね。
宗次朗叔父さんの助言を得ての小春の学園祭のお話が楽しそうでとても良かったです。抹茶栗大福すごく美味しそう。
小春と澪人、それぞれが色々惑いつつも、一歩前進、成長を感じた巻でした。まさか澪人さんがそっち方向にイメチェンするとは……(絶句)。達観しているようにみえるけれど、澪人さんもまだ一大学生だったんだな。
吉乃おばあちゃんの過去エピソードがしんみりと切なくて、そして小春の血筋の秘密の一部が明かされおおっとなりました。小春のお祖父ちゃん只者じゃないな……。
小春が見るようになった過去の夢。ロマンティックで私が大好きな平安時代っぽくて何より幸せそうで素敵。
吉乃おばあちゃんから受け継がれてきた柚子のお粥のエピソードが良かったです。三色串団子も美味しそうです。
狐さんのお話も心温まり良かった。狐さんと巫女さんたちの場面を想像するととても微笑ましく可愛らしくて頬がゆるみます。




4巻目
意味深なタイトルに背中合わせの表紙のふたり。まさに急展開!
お正月に訪ねた賀茂のおうちは、私が思っていたよりは堅苦しくない家庭的なおうちでした。(色々普通ではなかったですが。吉雄さん、さすが吉乃さんの弟さんなだけあって只者ではない。)
そして小春の夢の秘密が明らかに。
玉椿と若宮と……前世においてはそういうことだったのか。と。雅な世界観にうっとり。(平安もの大好物な上に前世ものにも弱い私)
ひたむきに若宮を慕う玉椿がいじましくてとても可愛らしくて、読んでいて幸せでした。それだけにあの結末は辛い。玉椿も辛いし左近衛大将も辛かったです。
現世における若宮君とのつながりが気になっていたところに、ラスト付近で思いがけないところからいくつもつながりの矢印があらわれて、ええっいったいどういうことなんだろう!(混乱)
澪人のお兄さんがキーパーソン?と思ったところで、ラストの澪人の発言と落ちた椿の花の場面はどういうことだ!まさか小春ちゃんへの接し方も過去の何かが理由なの?
バレンタインの小春ちゃんは、本当につらかったけれど、でも正面切って逃げずに勝負に挑んだ小春ちゃんは、すごくよく頑張った。えらかったです。
そして分からないのが三善君。絶対何か裏の顔がありそうなんだけど……。
あと前世における若宮のお天気についての言葉は、結局どういうことだったんだろう。このタイミングで若宮君が姿を消しているのも気になる。
椿の花の落ちるころ、とラストの澪人の和歌の場面が、ひどく美しくて切なかった。
これは続きが気になるよ~!!!
コウメちゃんとお別れするのも寂しいし。

望月麻衣さんのブログや、かつくらの特集などで、シリーズの裏話や設定集など色々読めたのも楽しかったです。
ホームズさんシリーズとのコラボ短編は笑いました。(清貴君のギャップが面白すぎて)

さらさらととても読みやすく可愛らしいお話で、ちょっと軽めのお話が読みたいとき、心が疲れているときなどの読書におすすめです。
京都、陰陽師もの、時代もの、現代学園もの、いろんな要素がほどよく取り入れられていて、世界観に深みがあるので、意外とと言ったらなんですけれど、読み応えありますよ。
友風子さんの表紙イラストにピンときた方なら、ぜひぜひ。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣 

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