Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『これは経費で落ちません!~経理部の森若さん~ 2』青木 祐子 




天天コーポレーション本社経理部の森若沙名子さん、多くの領収書を処理する彼女には、社内の色々な人間関係が見えてくる。
必要以上のことは期待せず、されず、精神的にも経済的にも「イーブン」でいることを大切にする沙名子は、他人の面倒ごとには関わりたくないのだけれど、ときには巻き込まれることも。
有能な経理女子の目線から見るお仕事小説第二弾。


『これは経費で落ちません!』の続編が出ました~!
最近の青木先生の作品の中ではいちばんのお気に入りだったので、とても嬉しいです。

実際に読んでみても、二巻目も期待を裏切らない面白さ。
いやあもう、森若さんがとにかく格好良いです。惚れ惚れ。
いかなるときでも冷静沈着有能、自分のポリシーを崩さない森若さんが今回も健在。彼女の仕事ぶりや冷静な人間観察、内心での突っ込みなどなど、読んでいて小気味よい。たのしい!
別に正しさや正義を振りかざしているわけではなく自分にとっての「イーブン」を保ちたいという彼女のスタイルが読んでいてリアルに共感できる。
なんだかんだいって沙名子さん、結局お人好しですし。だからこそ内心色々悩んでいるわけで。

マニキュアや香水をたしなんでいたりお洒落には気を使っていたり、女性らしい部分もしっかり持っていて時と場所を踏まえてちゃんと楽しんでいるのも、優秀さの一部という感じでますます惚れ込んでしまいます。
好きなものは好きだとはっきり自分を持っていて躊躇いなく楽しめる姿勢が憧れなんだな~。
自分の食事のサイクルも基本的にきっちり管理していてちょっとやそっとでは崩したくない森若さんのスタイルもいい。私もここまで徹底できたら理想だな(笑)。
でも私が何よりわかるわかる!と思ったのは、お弁当のおかずにブロッコリーと人参のグラッセを作ろうとして、考えすぎて、結局ほうれん草とコーンの和え物を作ってしまった、という下り(笑)。そのメニューの具体的なチョイスが分かりすぎてもう。

彼女の優秀さには程遠い私ではあるけれど、職場のあれこれ、わかるわかる~と何度も頷き笑ってしまいました。
女性の集団の訳の分からなさ。ほんとうに。
ちょうど電車の中で読んでいた時、遠からずなことでへこんでいたので、森若さんが陥った事態にものすごく共感してちょっと笑って心がだいぶ軽く楽になりました。感謝です。
結局きれいに白黒ついて解決したわけではなく、それでもいつの間にか改善されている、なんとなくもやっとしたものが残るこの加減が絶妙にリアルで、わかるわかる!(笑)

織子さんや山崎さんの件は、ああ~そういう人もいるんだな、みたいな感じで読みました。
山崎さんてっきり美月さんに気があるのかと思っていたら全然違った。というか太陽にちょっと意地悪かなとも思っていたけれどやっぱり違ってた。
織子さんはその後沙名子さんを微妙な立場から救おうともしてくれたわけで、悪い人じゃなく。というかそんな完全な悪人はこのお話には出てこないですね。皆癖があるし欠点もあるし時に気の迷いも起こしたり色々あるけれど、結局のところは普通のいいひと。そこは安心して読めるかな。

いちばん読み応えがあったのが経理部の同僚・勇太郎さんと友人のお話。
しかしいちばん重たい話でもありました。これだけはうやむやではすまされない。
辛いな……うーん。
というか勇太郎さんと沙名子さんの同類同士の信頼関係、お互いの仕事のやり方やひととなりはもう知り尽くしているみたいな感じが、なんというかすごい。格好良すぎ。

そんな沙名子さんと勇太郎さん含め、今回特に、経理部の四人の信頼関係が好きだったな~と実感したのが、再び真夕ちゃん視点のエピローグ。
沙名子さんにちょっかいを出している(と思われている)太陽に、三人ともが牽制っぽい態度を取っているのが、読んでいて笑えました。
三人とも沙名子さんのことが大好きで心配なんですよね。愛を感じます。愛(笑)。
「勇太郎が社内で認めている女性は沙名子だけである」という真夕ちゃんの見解も、うなずいてしまう。たぶん沙名子さん以外のひとにとっては勇さんはすごくとっつきづらい怖いひとなんだろうな……。
今回も沙名子さんの後輩真夕ちゃんはお気に入りキャラでした。彼女の仕事への姿勢もまた素敵だと思う。私もせめてこうはありたい……。

太陽も、一巻目の時点では正直どうかなーと思ってましたが(何様)、沙名子さんのことが本当に大好きで健気にアプローチをかけていて本当の彼女をちゃんと理解して大事にしたいという気持ちは伝わってきて、好感度がわりと上がりました(笑)。
こんなきっちりかっちりした沙名子さんだからこそ、太陽みたいな明るくあまりものごとを悩まないひとは、お似合いなのかもな、という気がしてきました。
あまり空気は読めないけれど沙名子さんの心を要所要所でふわりと軽くしていく太陽に、沙名子さんが自分のペースを乱されいらっとしつつも、だんだんほだされていっている感じなのが、可愛らしい。
ま、沙名子さんに完全に釣り合うためには、太陽にはもっと頑張ってほしいなーと思うのが、まだまだ正直なところですが。(なんて上から目線……それだけ沙名子さんが好きなのです、お許しを。笑)
勇さんと沙名子さんではどれだけ同僚として相性がよくても恋愛には発展しないでしょうけれど(たぶん)、あのふたりに負けないくらいの、また違う信頼関係を築けるようにがんばってほしいな、と、ついつい思っちゃいます。

読んでいてくすりと笑って元気になれる、素敵なお仕事小説でした。
三巻目も出ると嬉しいな!

(沙名子さん愛用の香水に、グリーン・ノートのポプリをついつい連想してしまい、『あなたに眠る花の香』を再読していたり。)

関連記事

カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 青木祐子 

この記事に対するコメント

コメントの投稿
Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://hananomi691.blog10.fc2.com/tb.php/1660-d280213b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)