Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『エスケヱプ・スピヰド』シリーズ 九岡 望 



昭和101年夏、廃墟の街「尽天」にて、元女中の少女・叶葉は、かつて軍最強の兵器とうたわれた「鬼虫」の「蜂」の少年・九曜と出会う。
訳あって叶葉を暫定司令として契約を結んだ二人は、ぎこちなくも徐々に心通わせてゆく。
しかしつかの間の平穏な日常は、同じく「鬼虫」である「蜻蛉」の竜胆によって打ち砕かれ——。

ネット上で親しくしている方の中に読んでらっしゃる方が多くてずっと気になっていた近未来ライトノベルのシリーズもの。完結済。
こんなにしっかりしたバトルものを読むのは久しぶりで、正直最初はついていけるかどうか不安だったのですが、ぐんぐん勢いがついてきて面白くなってきて、いやあ、このお話すっごくいい!!
大戦のあと、それでも信念を持って戦う登場人物たちのすがたはそれぞれ格好良く、惚れ込んでしまいました。
いえ、バトル自体は読んでいて最後までほとんど理解できていないんですけれど、それでも全然問題なく面白かったです。


すべての巻の感想を書いている余裕がなさげなので、ダイジェストで。
ネタばれはあまりしないように書いたつもりですが、もし何かあったらごめんなさい。注意して読んでいただけると幸いです。


なにより私の好きなポイントは、主人公の叶葉と九曜のふたりの絆と関係性。
働き者で料理上手で気立てがよくていざというときには並々ならぬ度胸を発揮する叶葉ちゃん、大好きです~。
そもそも私がこのお話にひかれたきっかけのひとつが、「元女中」の少女というキーワードだったのでした(笑)。
ストイックでどこか古風で堅苦しい言葉遣いと態度の少年・九曜も、本当に私好みのヒーローですね!
九曜と叶葉がそれぞれ寄る辺なく寂しい身の上から、徐々にお互いに存在意義を見出してゆく様が、ストレートに胸にきて震えました。
どこまでも無機質で機械的だった九曜が、少しずつ変わってゆくところが好き。実はけっこう負けず嫌いで熱くなるところがあるのも。
叶葉という守るべき存在を得て、最初のうちの不安定さが嘘のように巻が進むごとにぐんぐん成長し強くなってゆく九曜が、もう本当に格好良くって!!

巻が進むごとに蜻蛉と蜂以外の「鬼虫」が登場したり過去話の中で生きていたり、みんなそれぞれ性格が違い何もかも違うんだけれど、お互いがお互いを仲間として信頼し合い共に戦う様が、また格好いいのなんの。
初期の段階で九曜たちの前に姿を現した巴と剣菱が私は特に好きだなあ。
普段飄々としているのに戦いとなるとこれ以上ないほど頼もしい剣菱が格好いい!!
天才科学者でもある変人美女の巴さんもまさに姉御キャラです。どこまでもついていきます。
万字と少女の過去の触れ合いに泣いたし、敵中に落ちてしまった庵さんと楓さんの関係性に泣いたし、あとなんといっても柊ちゃんの明るさとやさしさと覚悟にまたぽろぽろ泣きました。
あと竜胆はやはり鬼虫の中でゆるぎなく最強の皆のお兄さん的存在で、格好いい~!!彼の冷静さと思慮深い性格に惚れ込んでしまいそうですよ。
五巻目の最初の竜胆視点で鬼虫のはじまりから仲間の一人一人のエピソードが追想されていく場面が印象的でお気に入り。
竜胆は確かに鬼虫たち皆の「兄」であったのだとしみじみ胸に落ちました。
かつて人であり、兵器になると同時に過去を捨てた鬼虫たち。彼らの過去のエピソードはいずれもどこか切なくほろ苦い。

非常にやっかいな敵であった「黒塚部隊」。
何度も出し抜かれ窮地に追いやられる九曜たちにはらはらどきどきが止まらなかったですが、敵役たちの信念も徐々に見えてきて、どんな理由にせよ全力で己の意志で戦う彼らは、やはり格好良く強いのは確か。
しかし色々やり方がだいぶえげつないですけどね……そこはまったく共感できない。
日足と久留守の扱い方のひどさはなんか、もう。
しかし朧の正体にはびっくりしました。いや、薄々感じてはいたのかな。
九曜と朧の戦いは緊張しました……。
叶葉の安全がふたりとも第一なんだと分かる7巻目のあの場面がもう、ぐっときますね。
実は因縁の兄弟げんかであった夕馬さんと竜胆の戦いも読み応えあった。

守られる立場の女の子達もみんな迷って成長して頑張ってる姿がやはり格好いい。そして可愛い。
叶葉の友人としてそばにいる鴇子さまも菘ちゃんも、強くなったな。すごい頑張ってましたよ。
あ、あと菊丸も大好きです!九曜と菊丸の戦友コンビもなんかいい。初期で将棋を指しているふたりの場面が地味に好きでした。九曜負けず嫌い……。
鴇子さまの秘密がどう転がるのかと思っていたら、また重いな。
お姉さま、もう本当に届かないと思っていたから。鴇子ちゃん、良かった。
それにしてもお姉さまの「小人の妬心か……」というつぶやきがざっくり突き刺さりましたね。





すべての戦いが終わった後、重い役目からようやく解放された九曜が、叶葉の元に再びやってくる場面が、もうとても好きです。
九曜の率直で強引な殺し文句にごろごろ転がりました。
叶葉も今度こそ本当によかった!お幸せに!!



この番外編集も良かった。胸が痛くなるバトルはほぼなしの日常のお話、この作品こういうのも面白いのです~。
学園ものパロディでもおしどり夫婦を素でいってる主役ふたりが美味しすぎました。
どこまでいっても叶葉がいちばん大事で何があっても守り抜く九曜の姿はぶれないですねえ。ときめきます。
あと叶葉は最高の女中であった!
後日談のふたりのラブラブと残りの人生を楽しんでる竜胆さんとだんだん強気になってきたミナちゃんをなんだかんだ面倒見る井筒と、色々楽しくて、ああ、良かったな。と思いました。
九曜の言葉を受けてのラストの叶葉の台詞がとても素敵で笑顔にあふれていて、いい感じにしめられていました。

なんというか、ロマンがつまって読み応えある、とっても素敵なライトノベルシリーズでした。
出会わせてもらった皆さまに感謝。

カテゴリ: 読書の感想

タグ: 九岡望 

この記事に対するコメント

コメントの投稿
Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://hananomi691.blog10.fc2.com/tb.php/1681-883513be
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)