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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『ぬばたまおろち、しらたまおろち』白鷺 あおい 




両親を交通事故で失い山深い村の伯父の家に引き取られた綾乃。
十四歳になる彼女の秘密の親友は、白い大蛇のアロウ。
村祭りで舞い手をつとめた夜、サーカスから逃げたアナコンダに襲われた綾乃は、村に来ていた女性民俗学者の大原先生に救われる。
けがを負った綾乃は先生の母校であるディアーヌ学院に連れていかれてそのまま入学することに。
だがそこは、妖怪たちが魔女と一緒に魔法を学ぶ奇妙な学校で——。


はじめましての作者さんのお話。
荻原規子さんの『RDG』に近いとか色々ネット上で情報をみてこころひかれて早速手に取ってみました。

幼馴染の大蛇に外国風の魔女の学校に寄宿舎ものに少女の成長と冒険と友情、淡い恋、キラキラした設定がこれでもかとつめこまれた、宝箱のようなお話でした。
作者さんが心から楽しんで描かれたのが伝わってくるよう。
私も読んでいてものすごく楽しかった!!
少女小説好き、和風ファンタジー系が好きな人間にはとくにたまらない仕様となっていました。
表紙イラストの雰囲気が本の内容にとても良く合っているので、あらすじと表紙でぴんと来た方は、手に取って損はないかと。


以下、ぼかして書いたつもりですがやはり一部ネタバレ含み感想です。ご注意を。


お話の舞台は、まずは綾乃が伯父に引き取られ暮らしていた岡山の山奥の村、そして関東にあるディアーヌ学院、さらには時を超えた世界にまで。
明確に章立てされているわけではないのですが、お話の流れ自体はシンプルで辿りやすい。
(たぶん全体がうっすらとつながっているからこそヒーローの背景が生きるのではないでしょうか)

なにより主人公の綾乃と幼馴染の大蛇のアロウ(雨太郎)の関係が微笑ましい。
十四歳にして大蛇の婚約者になるなんて、なかなか心ときめく設定ではないでしょうか(笑)。大蛇の結婚式の約束が素敵。
そんななかで村祭りの舞い手、不穏な昔ばなしもありなにかはあるなと思っていましたが、案の定。
大原先生とアロウがとても格好良かった!

そしてディアーヌ学院での新生活。
雪女やのっぺらぼうや人狼やあずきとぎ、妖魅(妖怪)達の子女が、フランス風の学院で箒に乗って空を飛び魔女の勉強をしているという和洋折衷ファンタジーとりどりの設定が、読んでいて斬新!とても面白くワクワクしました。
寄宿舎のルームメイトの絵葉ちゃんが食いしん坊で情にあつい良い子で彼女と綾乃の友情が好きだな~。
この学院にはこの学院なりにスクールカーストが存在し、異性関係や出自のことや色々ぎくしゃくもするのですが、はじめ異分子だった綾乃がしだいに学院に馴染んでゆき友達と楽しそうに学び楽しそうに過ごしている様も、また良かったです。
綾乃が箒で空を飛べるようになるまで、なかなかたいへんでした。みんなすごい技術持ってるんだな……。感心。
お茶会やパーティーのごはんや食堂の定食までごはんもおいしそうでした。「お八つ」という表現がなんだかレトロでディアーヌ学院の雰囲気に合っていてお気に入り。

そんな綾乃の学院生活で次第に大きな存在になっていくのが、大原先生のおうちの末の弟・雪之丞。
涼しい目をした読書好きの少年に私はとても弱い(笑)。彼と綾乃の距離がまた少しずつ縮まっていくごとに、アロウの存在を思うと複雑でどうなっちゃうんだろう……とどきどきしながら読んでました。
冬休みに大原家の家族たちと温泉で過ごす場面も好き。雪女のお姉さんたちとのぶっちゃけ女子トークが楽しかった(笑)。
(なにげに三重県の温泉だったのも親近感ましまし)
しかし綾乃と雪之丞の読書トークは良かったです。これも王道ですね!

ツチノコ騒動や恐怖の(笑)夜間遠足や下級生のケンカの仲裁やいろんなイベント目白押しで楽しんでいるうちに、綾乃の田舎への帰省、そして思ってもみなかったタイムスリップ。
箒に乗りたがるすけべな河童たちに和み華乃子さんの身の上にそういうことだったのか!と思ったり。
お初さんが有能で柔軟で合理的な思考の持ち主でとても格好良かったです!お菊さんも伝説で想像していたよりは明るくしっかりした女の人でした。あ、みどりさまもすてきでした。
なにより雪之丞の正体は、途中から薄々そうかなあ……と思っていたのがラスト直前に一気につながって、やっぱりそういうことか!そういうことならば良かったです!!彼の告白がシンプルで心がこもっていてよかった。

最後の最後でいろんなことが丸く収まって、後味も良かったです。
個人的に伯父さん夫婦とちゃんと話し合い納得の上今後を決められていたのがほっとしました。
『ぬばたまおろち、しらたまおろち』というタイトルも、ラストまで読むとしっくりなじみます。

いやあ、こういう楽しいお話が世の中に新しく出てくるなんて、読書を続けてみるものですねえ(笑)。
個人的にはとくに細部に至るまでオリジナルの設定をとにかく味わい尽くして楽しむタイプのお話でした。
王道パターンのお話ももちろん楽しかったですけどね!王道ばんざいです。

『ハリーポッター』や『RDG』を彷彿とさせる設定のお話で、でも面白いのが、綾乃ちゃんはハリーポッター実際に読んでいて学院生活のいたるところで実際になぞらえている、という描写がはっきりとあるところかなあ。
『カーリー』も読んでいる綾乃ならば、きっと荻原規子さん作品も読んでいるのではないかしら(勝手に想像)。
そしてアロウと言われると、ついつい『伯爵と妖精』シリーズを思い出してしまう私。このシリーズも実際遠からずじゃないかな、とか。

きれいにまとまっているお話ですが、これは続編とかあればぜひ読んでみたいです。
ディアーヌ学院高等部編とか。綾乃の友人達のその後やロマンス談もちょっと読んでみたい。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 白鷺あおい 

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