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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『かくりよの宿飯七 あやかしお宿の勝負めし出します。』友麻 碧 




大旦那様の帰りを待つ天神屋に現れた雷獣。鬼神の大旦那はもう戻らない、この雷獣が新たな大旦那になるのだと、不吉な予言を残す——。
消えた大旦那様、天神屋最大の危機の中、銀次たち従業員たちは団結して動き出す。
葵も大旦那様を捜すため、妖都へ向かう宙船ツアーの屋台で料理を振舞うことになり——。


『浅草鬼嫁日記』と同時発売だった『かくりよの宿飯』七巻目でした。
こちらの方もストーリーが大きく動いて、大旦那様達の過去や「隠世」のそもそもの成り立ちも明かされ、そして糖分増量(微増?)で、読んでいてとっても盛り上がりました!楽しかったです!!
そして葵が次から次へとこしらえるごはんが相変わらず美味しそうで美味しそうで。
葵が作る料理の「力」というか「存在意義」というか、そういう立ち位置がしっかり確立した、そんな巻でもありました。

表紙イラスト、今回は白系男子ということで。
確かに白夜さん今回大活躍でいらっしゃった……あと砂楽博士の外見がなんだかちょっと頼りなく優し気で知的で好みです(笑)。
そして大旦那様は一体どこに?……探しまくりました。
葵の影にあたるところなのですかね。なんて影の薄い……不憫(苦笑)。
ほとんど実際に登場している場面がなくても、それでもきちんと存在感がある、大旦那様ってある意味やっぱりすごい。

読んでから間が空いてしまったのですが特においしそうだった食べ物のこととかやはり感想メモとして書き残しておきたい!

追記以下はネタバレ含み感想ということで。


律子さんや白夜さん、砂楽さんのお兄さん達の口から語られる隠世、天神屋、そして大旦那様の過去や真実。
前々から思ってはいましたが、この作品、やはり骨組みから細部の設定まで独自の味付けで作りこまれている世界観があって、それが素敵だなと思います。
隙のない完成度に圧倒される世界というよりは、どこか気さくでほどよくゆるくて親しみやすさのある世界で、そこがこの作者さんの持ち味だよなあ。(あまりうまく言えない)
確かに隠世ってちょっとちっちゃいですよね、言われてみれば。
折尾屋の件であった常世とか、そういうつながりであったのか。
あと天神屋の初期の成り立ちやメンバー達のお話も興味深かった。
大旦那様の正体の真実も。
多分、大旦那様が「禁忌」である感覚は、あやかしでないと真には理解できないのだろうけれど、それでも大旦那様を慕い支えてきた白夜さん達やそのほか天神屋のメンバー全員の存在があるので、この難しい状況をそれでも!!なんとかできると信じています。

場面で言えば、竹千代様と律子様と葵の三人で、嫌いな野菜克服のためお子様ランチを作ろう!とお料理にいそしんでいる場面が、楽しくてお気に入りでした。
ロール白菜も高菜のピラフもこの季節おいしそう!作るのも楽しそう。
私がこの巻でなによりひかれたのは、大根入りいも餅でした。いも餅と大根餅を合わせるという発想はなかった。簡単そうだし今度作ってみたいです。
葵が竹千代様にご飯を作って教えたものは、とても当たり前でささやかなことだけれども、真心がなければけしてできないことで、竹千代さまにも響かなかったと思う。
後半で精神的に追い詰められていた葵に竹千代様が勇気を出して反論してくださった姿に、葵の頑張りがまたひとつ報われているのを感じて、ちょっと泣きそうになりました。竹千代様、成長したね。

律子様再登場で嬉しかったです。相変わらずお可愛らしくて、それでいて芯の強い素敵な方だなあ。
あやかしと人間の女性の婚姻の頼もしい先輩、しかし今回さらに身近なところに先輩が。
まさかまさか、あの白夜さんに結婚歴があり、しかもそれが人間の女性だったとは。予想外もいいところでした(笑)。
鈴女さんと白夜さんのエピソードは、ドラマチックというよりはなんてことないごく普通の夫婦で、最後までしみじみおだやかな愛情が感じられて、お別れまで切なくも愛おしさを感じました。
室町時代か……。『浅草鬼嫁日記』の長い長いスパンにも感じたことですが、あやかしって、本当に、一途で愛情深い生き物だなあ。
豆腐田楽とおでんのつながりにまたほろりときました。

それはそうと、妖都野菜そのものもおいしそうです~。京野菜みたいな感じですかね。
(葵も幼いころ大根が苦手だったとは、意外でした。)
律子さんが準備してくださってた水炊きおいしそう……わさびもおいしそうでした。
あと砂楽さんのお兄さんの奥様(奥ゆかしさが可愛らしい)作のそば粉とスパイスの素朴なお菓子にも心惹かれました。
葵が作っていた料理だと、まず『シローのぼうけん』の「まっころん」ですかね。
物語に出てくる食べものやお菓子って本当に魅力的なんですよね~!!と作中作のエピソードで再認識。
しかし確かに出てくる食べものがまっころんとはいやにハイカラ。成立背景が気になります。
アーモンドパウダーから自作とはやはり葵ちゃんには恐れ入ります。あえて白いマカロンにする葵の選択が好き。
マカロン、恐ろしく手間がかかっていますが、葵は本当に楽しそうに生き生きと作っているなあ……。
あと南の地の特産品を活用したハンバーガーも、野菜がおいしいスープ料理も、野菜の手鞠寿司も、みんなおいしそう。スープのサイドメニューのお米とチーズ入りピロシキもおいしそう……(ごくり)。

サスケ君も銀次さんも砂楽さんも大活躍で。
うっかり本心を漏らしてしまった銀次さん、あまりにあっさりスルーされてしまって大分不憫……。
でも銀次さんなので、自分から三角関係には持ち込まないんだろうな、たぶん。せつない。
同じ狐でもミクズとは全然違いますね。
どこまでもしぶとくイライラする悪役つながりではむしろ雷獣ですね。

そう、葵の大旦那様への心も、本人は未だに自覚できていないけれど確かに芽吹いてきていて、椿の花のかんざしが花開いた場面は、まだ意味が分からないながらにはっと印象的でした。
暗く冷たいところに閉じ込められるイメージを共有してしまう葵がなんだか切ない。
それにしてもザクロさんってそういう立ち位置の方だったのか。
葵にかける言葉がなんというかじわじわ嫌な感じに刺さってきましたが。彼女は敵なのか味方なのか。
雷獣とは別な意味で手ごわい感じがします。
津場木史郎の呪いの正体、あとそもそもなぜ葵は大旦那様の許嫁にされたのか、色々事情が分かってくるだに、単なるその場の思いつきとかでは全然なさそうで、気になります。
史郎さんがどこまでクズだったのかはまあともかく(笑)、葵は少なくともたくさんのあやかし達を今まで料理で救ってきて、彼女の人の良さや優しさや根性やきっぷのよさや、みんなにしっかり認められていて味方も今ではたくさんいて、これは葵自身が作り上げてきたもの。とても頼もしく心強いです。
あ、あとひとつあるか。あやかしと人間の、生きる時の違い。葵と大旦那様の場合はどういうことになるのか。

もっと直接的な甘い場面も読みたいので、がんばって戻ってきてほしい、大旦那様!!

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カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

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