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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『左京区七夕通東入ル』『左京区恋月橋渡ル』瀧羽 麻子 






京都の文学部四回生の花ちゃんが、七夕の夜に理学部数学科のたっくんこと龍彦君と巡り合いそこからはじまるロマンスあり友情あり京都の学生さんたちの日常青春もの『左京区七夕通東入ル』。
その続編で、龍彦君の寮の友人山根君が雨の下鴨神社で巡り合った「姫」にはじめての恋をする『左京区恋月橋渡ル』。
(おそらく)舞台は京都大学、年季の入った男子寮に暮らす理系男子学生三人組シリーズ(?)。
どちらの作品も数年前に既読だったのですが、年末に読んだ安藤君のお話『左京区桃栗坂上ル』があんまり素敵で良かったので、懐かしさに駆られて、この前作二作品も再読しました。

いやあ、やっぱり瀧羽麻子さんのお話いいなあ~。
ふんわり柔らかでみずみずしいタッチで描かれる大学生たちの日常、恋、友情、研究、京都という街や文化や風習、すべてがすんなりまとまっていて。
とびきりキュートで素敵なお話です。
やはり主人公が違うとお話の雰囲気もがらりと変わるなあと新鮮な気持ちになる一方、時間軸や出来事や主役たちを取り巻く登場人物達は意外と重なりが多くて、読んでいると色々答え合わせしているみたいで、とても面白かったです。
あと出てくる京都の街の名所や年中行事、カフェや古着屋さんやレストランや、ひとつひとつがとっても魅力的!
お店の名前は明記されていないのですが、なんとなくここがモデルなのかな~と思えるカフェもいくつかあったりして、京都のガイドブック片手に徹底的に読み比べて、シリーズ三作も同時に広げて、めっちゃ散らかった状態で幸せな読書にひたっていました(笑)。

以下、とりとめのない再読感想メモを。(ネタバレあまり考えてないのでご注意を。でも三作品完全に独立したお話なので、多分どこから読んでも楽しめるし、知っているからこその楽しみもある、と私は勝手に思ってます。
どのお話もそれぞれの主役以外のストーリー、特にロマンスに関しては、肝心なところはふわっとぼかされているし)

まずは花ちゃん一人称の『七夕通東入ル』。
序盤の七夕とブルーベリー、花柄のワンピースのイメージが、とっても鮮やか。
いちばんふんわりフェミニンな可愛らしいお話。
お洒落で好奇心旺盛で多趣味で落ち着きがあまりない花ちゃんですが、真面目な勉強家だし(そりゃそうだ)男気があるしっかり者で、恋に落ちてしまった彼女の目から眺める世界のみずみずしく美しく魅力的なこと!
彼女の目から見るヤマネくんとアンドウくんはかなり奇天烈ですね。最初のうちは特に。
それでもちゃんと友情を育んでいてそれがちゃんと伝わってくるのが良い。安藤君のタコ焼きはやはりおいしそうです。
数学馬鹿で淡々としていて恋愛ごとには程遠い人生を送ってきたであろうたっくんが、花ちゃんのことをきちんと大切に想っているのが、物語が進むごとにじわりじわりと伝わってくるのが、なんとも心ときめきます。きゅんきゅんです。
ふたりで自転車を取り戻しに行く場面にブルーベリーのタルト、東京への旅行案を練っている場面がお気に入りかなあ。
たっくんさりげなく大胆発言しますよね……。というか龍彦君の引っ越し先は、そこだったのか!わすれてた!究極の人生の選択だった!(笑)
『活字倶楽部』の瀧羽先生のインタビューにもちらりと書いてあったように、花ちゃんは確かに、龍彦君をこちらがわの世界につなぎとめる、大切な存在なんだなあ、と。
あとアリサちゃんが花ちゃんの友人であったというのも忘れてました。そして恋のキューピッドでした。
花ちゃんのバイト先の古着屋さん・ソレイユとオーナーの陽子さんも何とも言えずに魅力的。おしゃれ。
剛くんは不憫でした。もっとももし彼らが実際にいたら私は剛くんタイプの男子には気後れしてしまって絶対に話しかけられないな……。
この三人卒業旅行(?)で高知に行っていたんだな。そういえば『桃栗坂上ル』にもさらーっと書いてありました。

次は山根君視点の『恋月橋渡ル』。
花火を手に深夜の鴨川をひとり駆けまわる姿は想像すると相当異様ですが(笑)、研究一筋奥手な男子学生山根君の、純情な初恋の物語。
花ちゃんのアドバイスを熟読し事前に頑張りすぎてから回ったりちょっと格好悪いこといっぱいしていたとしても、彼の一途さ一生懸命さ真心がひしひしと伝わってきて、なにより相手の「姫」こと美月さんも楽しんでいるのが伝わってきて、読んでいていいな~幸せ感にひたれました。
なんとなく端々から想像できる切ない終わり方でしたが、最後の最後の贈り物が、心憎いですね。
あと山根君視点なだけあって、理系学生さん達の日常、寮生活のリアルな暮らしぶり、安藤君をメインに寮生たちとの交流、そういうのが三作の中でいちばんメインに出てきていて、これも楽しかったです。
寺田君の腰の低さや異様なくらいのていねいな言葉遣いはそういうお家で育ったからこそだったのか、と納得したり。そして彼の進路の悩みも等身大で分かる。
川本君も初登場。鰐のモモちゃんも話のタネにちらっと出てきましたね。
あと安藤君の食い意地のはりっぷりがもう端々から伝わってくるのも、やっぱり食い意地のはった人間である私には共感できることが多々あって、これも楽しい!
もっとも璃子ちゃん視点からの安藤君の方が圧倒的に断然格好いいな。そりゃ当然か(笑)。
まあ確かに、特に果菜ちゃんみたいな女の子にとっては、安藤君みたいなお兄ちゃんはさえないオタクと評されてしまうのも、まあそういうものかな~と思いはしました。
のんびりやでどっしりした安藤君が、まさか半年後くらいに鰐と格闘することになろうとは、色々想像しつつ楽しいです。
そしてあの大文字焼きと七輪パーティーの日こそが、菅沼さんたちの馴れ初めの日だったんだろうか。読み返して気づいた。

読み返してみて、三作とも三人ともが、自転車(スクーター)の二人乗りをする場面があって、なんだか三シーンとも爽快で弾む気持ちが伝わってきて印象的で好きだな。
時間が進むごとに龍彦君と花ちゃんがしっくり馴染んだカップルになっていく様も良いですねえ。
『桃栗坂』のラストで、皆のその後が集大成のようにまとめられていたのが、読み返してみて改めて良かったです。
特に花ちゃんと龍彦君の未来がとてもふたりらしいなあと思い、良かった。

一気に三作を読むと、モデルになっている大学周辺の地理をガイドブックでこれでもかと読みこむので、一層にわか京都知識が深まりました(笑)。
やっぱり女の子らしいカフェと言えば花ちゃんが強いな~。涼真君がセレクトしたカフェと花ちゃんお気に入りのカフェは多分同じなのかな。花ちゃんと涼真君は話が合いそう。そして花ちゃんは璃子ちゃんを妹みたいにとても可愛がってそうだな。
研究や学問に対して皆それぞれ内面で考えて悩んでるんだな~と改めて思ったり。安藤君の方向転換は重みがあったな。
三作読んでどれも好きだけれどいちばんはやはり『左京区桃栗坂上ル』かなあ。幼馴染もの年の差ものが私好みストライクなのと、主人公達が美味しいもの大好きでたくさん食べるキャラなのが、いいんだな。改めて思いました。
私も食後にケーキもちゃんと食べよなと言ってくれるひとのおよめさんになりたい。(←言ってみただけです)
それにしても最初に読んだときは断然花ちゃんの歳と立場に近かったのが、今ではいちばん立場が近いのが川本君と璃子ちゃんの研究室の秘書の羽鳥さんになっていたというのが、改めて時の流れを感じてしみじみしました。これは前も書いたかな。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 日常のお話

タグ: 瀧羽麻子 

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