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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『コンビニたそがれ堂 小鳥の手紙』村山 早紀 




『コンビニたそがれ堂』シリーズ第七弾。
大事な探し物がある人がたどりつけるという風早の街の伝説のコンビニたそがれ堂。
幼い日に不思議な手紙のやりとりをした女性、ねここが出会った困り顔の優しい少年、そして星野百貨店ゆかりの少し前の時代の少年たち。
春の街を舞台とした二話と、『百貨の魔法』番外編の計三話収録。


村山早紀さんの『コンビニたそがれ堂』シリーズの、待っていましたの新刊でした。
続きを一日でも早く読みたいと待ちわびるというよりは、ふと新作の便りを目にして、あの世界の物語がまた読めるのね、嬉しい、とぽっと幸せな気分が胸にゆっくりひろがるような。

早い春の今の季節にぴったりな、花の香りがするやわらかくて優しい物語、三編でした。
シリーズの中では気持ちボリュームは薄めでしょうか、さらさらと優しくきれいな文章でつづられていて、どのタイミングでもとても読みやすく上質の幸せ感が得られます。
またシリーズの中では気持ちダークさが控えめで明るく幸せなイメージがおもてに出てきて、いいですね、春ですねえ。
個人的にはシリーズ一巻目にイメージが近かったかなと思いました。

『雪柳の咲く頃に』
淳君のお人好しさ優しさが際立っていて、読んでいてきゅっと胸が痛いくらい。
あのタイタニックのお話のたとえをした少女の気持ちも分かります。ただその無邪気なたとえ話に自分自身縛られてしまった淳君が、ちょっとかわいそうでしたけれど。失恋の下りもせつない……。
こんな優しいいいこになぜこんなにかわいそうなことばかり降りかかるのか、とやるせない気分になってきたところで、ねここ登場。
淳君に対しては頼れるお姉さん的なポジションのねここ、格好良かったです!
そして鮭のおにぎりおいしそうです。コンビニたそがれ堂の配達販売ってまた胸をくすぐる設定ですね。
そのあとの壺の魔人とねここのやりとり、ねここ、強い!!さすがです。お腹壊さなかったかな。
雪柳の花も、花の名前も、美しいですよねえ。よいものです。
たばこ屋のおじいさんの愛情にもほろり。

『小鳥の手紙』
結婚を控えて幸せな若い女性が主人公の優しい春の物語。ささやかな幸せで満たされているこういうお話もいいものです。
幼い日の千花さんの不思議な手紙のやりとり。ラストまで読んでほわりと心温まりました。
千花さんと婚約者さんの馴れ初めエピソードもなんだか好き。手紙のやりとり、空に羽ばたく小鳥のつばさ、千に散る花々、なんというかひとつひとつのイメージの重なり合いが素敵です。新天地の蛙の島と不思議な手紙のやりとり、おとぎ話なイメージがまとまっているのもよい。千花さんは蛙好きの王子様に見初められたお姫様みたい、とか少女小説の読みすぎかな(笑)。
ところで千花さんがアップルパイとコロッケパンを買いに行ったパン屋さんは、例の三日月パン屋さんなのかしら。
違うとしても同じ町の人々に愛される同業者として、お店同士馴染みではあるんだろうな、きっと。と勝手に想像してみる。

『百貨の魔法の子どもたち』
星野百貨店のデパ地下のパティシエさんが主役……素敵な設定!(きらり)
冒頭からシュトーレンの美味しそうであたたかな描写にやられてしまいました。
そして瑛太少年と想少年のかつての物語へ。
あの思い出エピソードはそうか、ここにつながっていたのか!!
ふたりの少年の、塾の先生へのひたむきな思い、優しさと勇気と友情がぎゅっとつまった、一夜の冒険譚。
奇跡の猫とコンビニたそがれ堂のコラボ。なんというか、豪華ですね!!ふふふ。
大人たちも伝説や奇跡を心のどこかですまわせている風早の街が、やっぱり素敵だなあ。
シュークリームやレモンパイやマドレーヌや、今となってはどこか懐かしいお菓子がどれも美味しそうで心惹かれました。
シュークリームというと未だに『やまんば娘、街へいく』に出てきた、膨らみ損ねたシュークリームにクリームをふわっと、の描写を、思い出さずにはいられないです。あれを読んでいたのがまさに中学生の私でした。

あとがきを読んでいて、村山先生、それほどに大変な時期を過ごされていたとは……。
そんな中で、こんなに優しくて温かな物語をこの世に作り上げてくださって、ひたすらに感謝を申し上げることしかできないです。
これからもずっと応援させていただきます。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 村山早紀さん

タグ: 村山早紀 

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