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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『わが家は祇園の拝み屋さん8 祭りの夜と青い春の秘めごと』望月 麻衣 




澪人が作った対策チームの頑張りによって平和が戻ってきた京都。
ついに澪人と付き合い始めた小春だが、彼の態度はなぜかそっけなく目も合わせてくれない。
彼の態度に不安を覚えながらも、小春はチームのみんなで祇園祭を楽しもうと準備するのだが——。


『わが家は祇園の拝み屋さん』シリーズ第八弾。
新章スタートとのことで。
表紙イラスト、本を手に顔を少し隠す小春ちゃんの表情と仕草がかわいらしくて、ときめいてしかたありません。
どことなく愁いを秘めた澪人さんの表情も、素敵です。

前世の事、京都に迫る危機の事にひと段落がつき、ファンタジー要素は控えめ。物語はささやかな日常に戻ってきた感じ。
ただ小春と澪人をはじめ、チームのメンバー達それぞれの人間関係の変化もあり、ロマンスももちろんあり、とても楽しく読めました♪
このシリーズはいつもながらに比較的薄めの文庫本一冊に、すらすら馴染みやすい文章で楽しみどころがぎゅっとつまっていて、満足感が高いのです。
澪人さん達のはんなり京都弁もこのシリーズ独自の魅力。

なんといってもお付き合いをはじめたての小春ちゃんと澪人さんのことがいちばん気になっていたのですが。
確かに澪人さん、そっけない……。おーい……。
それは確かに、戸惑いとかあるのも推測できるけれども、こんなに小春ちゃんがそっけない態度に悩み傷ついているのに、いっこうに態度を改善させない澪人さん、読んでいて正直もどかしくてしかたなく、だんだん腹もたってきました(苦笑)。
とにかくもう、ひとり不安に悩みまくる小春ちゃんが、読んでいてかわいそうすぎて。身を引くところまで思い詰めてしまうなんて!
……最後の祇園祭のときにようやく本音を言ってくれて、安心しましたけれどね。
確かにまあ、澪人さんと小春ちゃんならではの悩みですよねそれは。しかたない。納得。好きでたまらない相手に自分の本心を奥深くまで見抜かれるかもというのは、確かに怖い。
それでも覚悟を決めて、自分の過去や本心を語る澪人さんの場面にきゅんときました。
彼が動物に対して持っている特殊能力の秘密も明らかに。最後に母に戻った狐さんのエピソード、素敵でした。
なにより素敵だったのははじめてのキスの場面でした。
作中で語られた、特殊能力持ちの人間にとってはなによりも特別で大変な行為だというキスシーン、ふたりとも相性よく幸せ感がよく伝わってきて、読んでいる私もじわーっと幸せでした。良かったねえ。
そして最後の最後に出てきたコウメちゃん、グッドタイミングすぎます。まあ今のところはこのあたりがふたりにとって、妥当ですよね(笑)。
いやあ、それにしても、あのはんなりやわらかで色気のある京都弁で切々と愛を語る澪人さん、本人があくまで真面目で真剣なだけに、破壊力がすごい。読んでいるこちらがちょっと恥ずかしい(笑)。

そんな小春ちゃん達の側でぎこちなさを感じてそれぞれ心配するチームのメンバー達も、皆もうこのシリーズのキャラとしてしっくり馴染んでいて私も愛着がわいていて、読んでいていとおしくてなりませんでした。
朔也君と澪人さん、なんか一見正反対に思えるのだけれど、案外着実に友情を育みつつあるようで、うん、良いですね。彼らならではの悩みを共有できるのっていいですね。澪人さんの麗しの君な外見の裏にある「くそまじめ」さを朔也君がちゃんと認めて尊敬して心配している感じが伝わってくるのがいい。
賢くてしっかり者で情にあつい愛衣ちゃんも、可愛いもの大好きな自分を段々認められるようになってきた由里子先輩も、それぞれ大好きです。
由里子先輩と朔也君は、前巻くらいからかな、姉弟みたいな関係かな~。お似合いだな~。とひそかに胸の内で思っていました。
ふたり相性よさそうなので、ロマンスに発展しても、素敵だな。
由里子先輩の意外にちょっと抜けているところを朔也君がさりげなくフォローしているところとか、読んでいてほっこりします。
あと今回新たにちょっと気になったのは、愛衣ちゃんと和人さんでしょうか!
このふたりはまだちょっと未知数ですが、年の割にしっかりしていてファザコンっぽい愛衣ちゃんには(笑)、和人さんみたいな人はお似合いかもなあと思います。

そうそう、和人さんと澪人さんの兄弟関係も、今回やっぱりいいなあと思いました。
和人さんの澪人さんへの愛情にちょっとほろっときました。
小春ちゃんが澪人さんに前世の親子関係のことを打ち明けた場面も、付き合いたての初々しいカップルにはなんだかあべこべな会話でしたが、でもしっくり馴染んでいて彼の感謝の気持ちがひしひしと伝わってきて、また胸がいっぱいになりました。
キャベツの千切りが不得意な末っ子澪人さんのエピソードにほのぼのしました。
(そしてその後しれっとスライサーを取り出した小春ちゃん達女性陣ににくすりと。笑)

ミステリー研究会の瞳ちゃんのおうちのおじいさんとおばあさんの会話にしんみりしました。(あのお話で隠れていた小春ちゃんのこと「斎王」と呼び共によろしくお願いされる場面が好きでした)
あと、吉乃さんと弥生さんの昔語りも良かったですねえ~。
松子さんを救った吉乃さんのきっぱりした態度と台詞に読んでいる私も救われる思いでした。
その後の宗次朗さんの台詞も重ねて、そうですよね、完璧な人間なんて人間じゃないですよね。未熟なところを持っててもいいんですよね。うんうん。
吉乃さんだって完全な人間ではなく現に親子関係ではいざこざもあったりしましたしね。そして傍らにいる弥生さんの存在もやはり尊い。

あとこのお話で特に印象だったのは、祇園祭の描写。
『寺町三条のホームズ』シリーズの一巻目のいちばん盛り上がるところでしたものね。やっぱり思い出して重ね合わせてしまいます。(それにしても清貴君の方は付き合いはじめのあたりも少なくとも外面は本当にそつがなかったですよね……と今回澪人さんとやっぱりちょっと比べてしまいました。澪人さんの不器用さがいとおしいです。いや、清貴君の器用さも好きなのですが)
吉乃さんのひまわりの浴衣を身に着ける小春ちゃん、小春ちゃんらしいです。ふふふ。
(あのお着換えの場面の事件、ラストまで読んでから読み返すととてもたのしい……吉乃さんも慌てたでしょうねえ)
やっぱり祇園祭、一度この目で見物してみたいなと改めて思いました。
焼きそばやたこ焼きやアメリカンドッグ、さくら庵でのプチ縁日も、楽しそうだしおいしそうでした!

和菓子の描写が今回ちょっと少なめだったかな?夏色団子の涼し気な見た目とさわやかな美味しさが伝わってきて、この蒸し暑い夜に、私もいただいてみたいです。

それにしても気になるのがラストの宗次朗さんの衝撃発言。
宗次朗さんと吉乃さんのいつものやりとりがなくなって、いつも店ででんとかまえて揺るぎなかった宗次朗さんがいなくなるのは、ちょっと気掛かり……。どう転がってゆくのか。
続きがとても気になります。

最後の掌編、私は既読のものでしたが、文庫にこうしてきちんとおさめられたのは、嬉しいです!!

7月に出るらしいホームズさんの新刊も併せてとても楽しみにしています。


昨日それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣 

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