FC2ブログ

Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『星をつなぐ手 桜風堂ものがたり』村山 早紀 




桜野町の小さな書店「桜風堂」を任され、かつて務めた銀河堂書店のメンバーを含む人々と『四月の魚』をヒットに導いた青年・月原一整。
変わらず誠実に書店の仕事に打ち込むも、人気作品の配本がない等、小さい書店ならではの苦労にも直面する。
そんなある日、銀河堂書店のオーナーに店長とともに呼び出された一整は、思いがけない提案を受け——。


『桜風堂ものがたり』の続編にあたる一冊。
一整さんはじめ銀河堂書店の人々、桜野町の人々、その周りの人々。
新しい物語の中で、彼らにまた再会できるのが、とてもとても嬉しくて。楽しみにしていました。

酷暑としか言いようがない一週間の、電車通勤のお供に、夜のひと時のお供に、少しずつ少しずつ、大切に読んでいました。
暑さと眠気で頭がぼーっと溶けそうな間にも読んでいたので、なんか伏線とか抜け落ちていたかもとかちょっと不安ですが。
それでも美しくて優しくて心地の良い文章は、すうっと私の心にしみわたっていくようで。
少しずつ少しずつ、癒しの成分を摂取していっている感じでした。
そして一整達の仕事に打ち込む真摯な姿勢は、読んでいるとごく自然に、私もお仕事頑張らないとな。と辛くならずに思うことができる。
おかげで一週間、暑さに心荒むことなく、おだやかな心持ちで過ごせたと思います。
大感謝です。

物語の中だからこそ、優しくて心根の美しい真面目にこつこつ頑張る人達は、報われて愛されて幸せになってほしいものです。
まさに一整や苑絵さんや渚砂さん達のような。
一巻目に引き続き、たくさんの人々のたゆみのない努力を下敷きに生み出された、優しい奇跡の物語でした。
美しくて上品でていねいな文体で紡がれる、大人のためのおとぎばなし。
作品世界に安心してひたりきることができました。

書店や本というものにたいして、様々な立場から関わる人々が新しく何人か登場してきて、みんな魅力的な人達で、それぞれの人生の物語を新たに読むことができたのも、良かったです。
そして書店や出版業界に関する現在の様子を、垣間見ることができるのも、良かった。
やはり厳しいものなのだなあと、私自身の仕事にも重なる業界なのもあり、骨身にしみて実感せずにはいられない。
それでも人の誠実でたゆみない手に支えられて、ひとつ生み出された、明るくて幸福なひとつの書店の物語が、ここにありました。
明るく優しい未来を信じられるのって、幸せですよね。

一整たち若者世代をある意味上回るくらい、人生を重ねてきた大人達の物語がどれも格好良かったな~!と思いました。

『序章 白百合の花』
なるるさんの定宿の旅館のエピソード、とても好きで印象に残りました。
なるるさんというひとりの女性の生き方が好き。
がっつり心つかまれたのは、ちょうど私自身が旅行の計画を立てていてホテルをネットで色々探していたタイミングで、心情的に重なったからかもしれない(笑)。
私も人生の心の糧になるような読書をしてゆきたいなあ。

『夏の終わりの朝に』~『遠いお伽話』
『紺碧の疾風』というシリーズがすごくおもしろそうなのですが!!読んでみたいです!!食べものがおいしそうな作品は絶対楽しい。
久しぶりに柳田店長に会えて良かった。一整さんが星野百貨店に、銀河堂書店に、あたたかく出迎えてもらえていて、私の心も温かくなりました。
オーナーに会いに行くのにちょっとびびっている店長がなんかおかしかったり。ふふふ。
実際のオーナーは渋い魅力がある貫禄もあるすごいひとで、でも優しいひとで。オーナーの過去の物語もずしりと印象深いものでした。ここで星野家の人々が出てくるのか!
オーナーの提案は正直私には知識がなく良いものかどうか判断がつかなかったのですが、でも最後まで読むと色々結果につながっていて、良かったんだろうな。銀河堂書店良い書店ですものね~。
そして高岡源先生も、桜風堂に颯爽と助けの手をさしのべに現れる姿は、まさに冒険活劇の世界から抜け出してきたヒーローみたいでした!格好いい!

『ケンタウロスとお茶を』
優しくて繊細で感受性の強い漫画家のたまご・くるみさんのエピソード。
読んでいて心が痛くなりました。こういうことって起こり得るよなあ。つらい。
『ケンタウロスとお茶を』私はそのままのかたちの作品がとても素敵だと思うし、読んでみたいな。

『人魚姫』
苑絵さんと渚砂さんの親友ふたりの物語。
やはり「そのえさん」という名前の響きからとても素敵で読んでいてふるえる。(響きが好きといえば、『ポワソン・ダブリル』の響きも読むたびに美しくて浸ってしまう)
苑絵さん自身心根の美しい可愛らしいお姫様みたいなひとで、なんというか、とても好きです。彼女の絵の描写も相変わらずとても魅力的。
そして渚砂さんのお父さまへの複雑な葛藤と彼女自身の秘め恋の物語も、ひどく印象的で、切なかった。
母と自身を守るため、大好きな親友を守るため、強く格好良く生きることしかできなかった彼女の姿が、なんだか痛々しい。
大きな救いになっているのが、やはり、蓬野先生の存在です。
渚砂さんの辛い時に優しく大人の態度で寄り添ってくれる彼の頼もしさよ!!本当に王子様みたい。
苑絵さんも渚砂さんもそれぞれ子ども時代に辛い経験をしたひとで、でもふたりの辛さは比べられるものではないしそういうのがあってもふたりは無二の親友で揺るがないし、そういうのが、今の年齢の私的にはよくわかるなと思ったし、良いなと思いました。

『Let it be』『神様の手』
桜風堂に、新たな頼もしい仲間がふたり。
毬乃さんとくるみちゃんの姉妹仲にじんわりきたり。
くるみちゃんが、苑絵さんの絵をはげみに、新たな一歩を踏み出せた一場面が、とても好きです。
すずめ書店さんの魅力もすごく伝わってきました。
藤森先生の存在も素敵。

『星をつなぐ手』
最後はとってもにぎやかな、まさかの(笑)三人合同サイン会。
規模がどんどん大きくなっていって、読んでいて正直ちょっとドキドキしていたのですが、頼もしい助っ人が色々なところから大勢来てくれて、みんな一整がこれまで誠実に仕事をしてきた中でできたつながりで、しみじみ浸ってしますよねえ。
桜野町って改めて素敵なところだな。私も観光に行ってみたい。
星祭りの鞠姫様の伝説も、ロマンティックで厳しさもはらんでいて、心に残りました。『天空のミラクル』や『はるかな空の東』に出てくるお姫様達を心の中で重ね合わせてしまいます。
そして一整と苑絵さんのふたりも良い雰囲気で、ふふふっと微笑みたくなりました。
実際にどうこうなるには、奥手同士なふたり、まだ時間がかかりそうですけれど。
そしてやっぱりここで気持ちを打ち明けないのが渚砂さんだよな、となんか納得してしまった。彼女の隣に蓬野先生がいて、重ね重ね、良かった。彼女こそ、幸せになってほしいのです。

ここで『桜風堂ものがたり』完結とは、正直ちょっと寂しい。
特に渚砂さんと蓬野先生がくっつくまでは見届けたかったな~!!とか思ってしまいますが(笑)、いつかどこか別の物語の中ででも、その後の彼らに出会えると、嬉しいな。

そして胡蝶堂さんや星のカケスさんの書評ブログに憧れの気持ちを抱かずにいられないです。
私のブログは書評なんてとても言えない適当な行き当たりばったりのブログで更新もとぎれとぎれですが、それでも本を愛し祝福をできればという気持ちはあってその場を消すことだけはしたくなくて、これからもせめて続けられるだけは続けてゆきたいと、読んでいて改めて思いを新たにしました。
Twitterや読書メーターで短い感想を書くのとても便利で楽なのですが、私はやっぱり、この形のブログがとても好きで、人さまのブログを読むのもとても好きで、ひとつでも火を消したくないし、続けてゆきたいので。
なんてちょっと脱線してしまいましたが。

蒸し暑い夜にげみさんの表紙イラストの夜空と雪の結晶のひんやりした美しさが染み入りますねえ~。ふう。
そして帯にあるように、優しい人が幸せであるように、祈りたい。
ほんとうに。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

関連記事

カテゴリ: 村山早紀さん

タグ: 村山早紀 

この記事に対するコメント

コメントの投稿
Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://hananomi691.blog10.fc2.com/tb.php/1761-e830e56b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)