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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『京洛の森のアリスⅡ 自分探しの羅針盤』望月 麻衣 




『京洛の森』で本屋の店長として、新しい暮らしをはじめたありす。
しかしある日想い人の蓮が、突然老人の姿になってしまう。
戸惑うありすは彼を病院に連れてゆくのだが、その帰り道に、元いた世界から迷い込み老人になってしまった女性二人と出会い——。


『京洛の森のアリス』第二弾です!!
一巻目がとても好みなお話だったので、続きが読めて嬉しいです。
庭春樹さんのパステルカラーのファンタジックな表紙イラストがとても素敵で、読む前からワクワクドキドキ楽しくなってきちゃいます。
きれいなピンクのお花もお茶の準備をするナツメも本を読むハチスも、山羊さんも大きな猫さんも、読み終えて改めて眺めると物語のキーポイント。
お着物にふりふりのエプロンのありすもかわいらしい。

一巻目同様、京洛の森の独特の仕組みやファンタジー世界観が、読んでいてたいへん楽しい。
現実世界の京都と重なりもありつつ、現実世界では難しいことが、魔法のようになんなくしゅっとできてしまったりすると、びっくりしちゃいます。値段を気にせず美味しい中華料理をお腹いっぱい食べている場面が楽しかった。(←食い意地が張っている私)
しかし、ある意味理想郷な「京洛の森」ですが、一歩間違えると、めちゃくちゃ怖い世界だな。というのも、改めて。
思えば『ふしぎの国のアリス』だって、そういうお話ですよね。(私は子供の頃アリスの物語が怖くて読み返せなかった)
「自分を偽らない」って、物語として読んでいるだけでも、簡単なようでとてもとても難しいことだと思います。
蓮のこと、そして春香さんと夏美さんのふたりのことでは、色々考えさせられてしまいました。
それでもひたむきに前向きにがんばるありすと蓮、見守るナツメ、彼らの姿に読んでいる私も元気になれるような、基本明るくてのびやかな空気につつまれた、すてきなおはなしでした。
想像の余地がある物語って楽しいですよね~。


以下若干ネタばれあり感想ですので、お気をつけて。


幼い日からの想いを通じ合わせた蓮、そしてふたりを見守りサポートしてくれるナツメとの、「ありす堂」での共同生活、スタート。
蓮とありすの初々しいカップルのやりとりに、読んでいてほのぼの微笑ましくなっていたのですが。
甘い雰囲気に浸りきる前に、連の身に、大事件が。
こんな一見わがままで自分の好きなように生きている感じの蓮でも、そういうことになっちゃうのか~。
いやいや、そうじゃないよな。ありすのことが大切で守りたくてずっとそばにいたかった彼だからこそ、歪みを抱えちゃったんだよな。
想いあってる男女が単純に一緒に暮らせない事態も起こりうるって、なんてシビアな世界なんだ。
と、ちょっと戦慄してしまった。
どっちも心から充足感を得られていれば何の問題もないけれど、あれ、でもどちらかが少しでも心に無理をかかえているとしたら、愛し合っていたとしても別の仕事を持って別に暮らした方が、本当は良いのか……?
……色々ぐるぐる考えてしまいました。

そしてもうひとつ、春香さんと夏美さん、ありす達との、出会いと関わりと。
見事に対照的な道を辿ってゆく二人に、これまた考えさせられました。
春香さん本当にお花屋さんが似合うなあと思いました。生き生きした彼女の姿が拝めて良かった。
夏美さんのスタイルも、京洛の森には合わなかったのだけど、物語として否定はされていなかったのも、良かったと思います。
菖蒲姫のヘルプに呼ばれていったときの夏美さんは、格好良くて有能で良き魔法使いでしたもの。
春香さんと夏美さんの友情、女同士の友情に多かれ少なかれこういうのってありますよねえ。
最終的にはふたりそれぞれ幸せな道を見出してその道に進めそうで、ふたりの友情も損なわれていなくて、良かったです。
ありすの立場からのアドバイスも、むずかしかった!!
彼女の側に大人の落ち着いたナツメさんがいてくれたのがいつでも心強かったなと今回思いました。

連の方も、ありす堂の仕事とは少し距離を置きながら、自分のやりたいことを見出していってくれました。
そっかあ、本を作る人か!!それはいい!!
マダムの物語に遠慮なしにばしばしダメ出しをしている場面がおかしかった。でも彼は物語への愛情もまっすぐにぶつけてゆくものだから、読んでいて気持ちがいいなあ。マダムがほだされる(?)のもわかる。
しかもありすの仕事にも関わりがあるのが、なんというか、読者的にはやっぱり嬉しいわけです。
これならふたりこれから、関わり合って側にいられるということにつながりそうですし。
第一王子としての役割にひとつの決別の答えを出したのも、良かったなと思いました。
柊君、できた弟さんだな……感心してしまいました。

やっぱりこの世界でも、ロマンス小説は女性に好まれるのね、とうんうん頷いて読んでいました。
京洛の森に本が届くシステムがやはり独特で、そういうことか~。面白いです。
私的には、『ジェイン・エア』とか『赤毛のアンシリーズ』とか『落窪物語』とかも推したいなあ。(勝手に考える)
『月の見えない夜に咲く花』も、素敵ですねえ。私も読んでみたくなりました。
そして確かに、どうして今までこの世界では、本屋さんが存在しなかったのだろう?
ふしぎ。
そしていつもおだやかにありすと連を守って側にいてくれるナツメのことも、じわじわとふしぎに思えてくるのです。
いつかもっと謎が解けてほどけてゆくといいな。

アカシア先生のバイオリンと過去の恋物語がまさかそうつながるとは!!
ロマンティックで、月夜にひとりぼっちで見ていた悲しい夢の続きから、ようやく目覚められたような。すてきでした。
現実は小説より優しかった。
マダムのツンデレっぷりが可愛らしく思えました。ふふふ。
あと紅葉さんや牡丹さんたちともちらりと再会できてうれしかったり。
亮平さんも、やっぱり蓮が悔しくなってしまうのも分かる、頼もしくて格好いい人です。男の子は特に憧れちゃうのかな。
お話に出てくるめぐみさんがやはり素敵でした。
あと、山羊さん二人組がかなり印象的でした。『狼と七ひきの子ヤギ』、改めて読むと確かに残酷ですよね……お気に召して良かった。

三巻目もきっと読めますよね??
望月麻衣さんのもうひとつの「京都」を舞台にしたものがたり、楽しませていただきました♪
できれば初々しいカップルにもう少し進展がほしいかも(笑)


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣 

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